伊東乾先生@itokensteinの「親父もお袋も子供の「なぜ」に答えると同時に、幼稚園児の僕に「これはなぜ?」と逆に問い返して考えさせる事が多かった。」

日本社会は音楽家にしろ一般の勉強にしろ「減点法」「相対評価」で人物をやせさせ意識の余裕をなくしていると思います。欧州で余裕と尊敬ある現場が多いのは「絶対評価」による「加点」のシステムでアプリシエートしているからで自信確信がありますよね。だから3週間とか平気でヴァカンス取れる訳です by
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Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

Ph.D Prof. Komponist-Dirigent / Raummusik Kollegium Berlin. Habe viele Interesse an der Wissenschaft und am Mitleben dadurch.

伊東 乾(いとう けん)ITO, Ken
東京大学大学院 情報学環・学際情報学府
准教授 学環所属(基幹・流動教員)
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/professor.php?id=379

伊東 乾(いとう けん、1965年1月27日)は日本の作曲家、指揮者、作家。東京都中野区生まれ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/伊東乾_(作曲家)
 
 

Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

.@HSarabande ギターでの作曲,最初に知ったのは小学生時代ベルリオーズ「幻想交響曲」でした。どうひっくり返してもピアノ的なポリフォニーではない。これ何なのだろう?と思ったらギターと知りました。すぐあとヴァーグナーはタンホイザー序曲、有得ない発想と思ったらギターでした^^

2013-12-03 09:35:07
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

よく触れる話ですが、僕は小学校一年次に父が入院~逝去して、それから中学に入るまで音楽教育にブランクがあります。自分としては今でも弱い所だらけで精進するしかないのですが、この時期に「なぜ?」という事を沢山一人で考えました。どうしてこんな動機を発想出来るのか?といった驚きの追求ですね

2013-12-03 09:41:27
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

理由を考えなさい、は早くに亡くなった親父、教師だった母親を初め周囲の大人多くから言われた事で、サイエンスでも美術や文学を考えるのでもHowではなくWhyの問いかけで見る習慣でしたが、一番大きかったのは作曲や演奏、なぜこの音(だとイイ)のか、どうしてこう演奏する(とステキな)のか?

2013-12-03 09:44:08
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

ピアノ的な楽句というのは、例えば「ドレミ・・・」と並んだ鍵盤、順次進行といいますが、それ上で弾きやすい手の形になるもの、普通に手に入ってくるものは、ああピアノで発想してるなとすぐ分かる訳ですが、同音域で鍵盤上弾き分け難かったり、同音の連打など鍵盤的でなかったりする楽曲も当然あって

2013-12-03 09:47:20
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

ピアノが達者な作曲家(ベートーヴェン、バルトークなど)にも熱中しましたが、ピアノが苦手だった作曲家、あるいは非鍵盤的な発想の物凄い楽案にかぶれました。主要なところを挙げるならベルリオーズ、ヴァーグナー、チャイコフスキー、ストラヴィンスキー、アルバン・ベルク、シュトックハウゼンなど

2013-12-03 09:51:28
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

ヴァーグナー「タンホイザー」序曲には「ホ長調」の音階を下がるだけなのですが、隣り合う音が近接してエコーの様に響きながら動く圧倒的な楽句があります。「これは発想できない!」と打ちのめされるような気がしました。ピアノではこうはならない。ところがギターだと躯体の残響で実現するんですね

2013-12-03 09:55:25
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

子供って「なぜ?」をよく尋ねると思います。僕も幼児の頃「どうして?」を連発したと思うのですが、両親とも大正生まれで良い時代の育ちだったのでしょう、親父もお袋も子供の「なぜ」に答えると同時に、幼稚園児の僕に「これはなぜ?」と逆に問い返して考えさせる事が多かった。父は特にそうでした。

2013-12-03 09:57:59
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

よく「受験地獄」とか「塾の弊害」とか、教育に関連してさまざまな問題が指摘されるとき思うんですが、メカニズムを含めて教師が生き生きと楽しみながら教えるとき、子供は長さを感じないと思うんです。退屈さはどこから生まれるかというと、ブラックボックス、意味の分からないお経的な部分が癌になる

2013-12-03 10:00:33
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

音楽もそうでしょ?小学生の子供がピアノのお稽古が苦痛なのは、意味も分からず、ただ機械的に動き難い指を動かさせられ、メトロノームテンポからのずれをメカニカルに直させられたりするからで、そういう勉強が不要とはいわないけれど、内発的な動機がなければ身につかない。ですべての大本は主体性。

2013-12-03 10:02:00
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

例えばこの秋数回上演した「トリスタン」まだこの作品の内奥は深く、僕的にはこれからですが、6時間を退屈に感じなかったというご感想が大半だった理由は、僕もそうだし、すべての歌手が、その瞬間に歌っている言葉の意味と気持ちがすべて体に入って、それが表現されている。当然の様で実は中々・・・

2013-12-03 10:04:18
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

普通に洋物のポップスとかを考えても、なんとなく「空耳アワー」的にカタカナで歌詞は入っていても、その一言一句の意味というか「気持ち」「ニュアンス」は中々分からない。オペラはその最たるもので、母国語で歌うこなれたものを例外として国際化した現状ではどこの国でも中々練習に時間がとれません

2013-12-03 10:06:18
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

また、歌い手がオペラの出演契約をすると、レパートリーになっていればよいですが、そうでないものについては、かなりの分量の歌を、まずもって「歌わねばならない」当然、音程とリズム、それに最低限その言語として通用する発音といった所が先行しますから、語り歌う言葉としてのテクストへの道は遠く

2013-12-03 10:08:07
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

でオペラの楽譜に書かれている一言一句、あるいは一フレーズについて「なぜ?」なんて悠長な事を考えるヒマというか余裕が、なかなかない。ビジネスライクに仕事を回してゆくと、そういう時間がとり難いのは日本でもバイロイトでも変わりがありません。そこでWhyと問う事を芸術指導陣は問われていて

2013-12-03 10:10:27
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

若い頃僕が見た練習の中でも特に印象に残っているのはカルロス・クライバー「薔薇の騎士」のリハーサルで「リヒャルト・シュトラウスはこう考えた」と短く補足してオケ全体が納得した瞬間とか、ピエール・ブーレーズがN響に来て「中国の不思議な役人」「ダフニスとクロエ」を指揮した際のアナリーゼで

2013-12-03 10:14:16
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

.@zzzflutezzz 入ってこないことを繰り返しても、出て行ってしまうので、むなしいですよね^^ 身につく基本は興味、好奇心、愛情、あるいは喜びであり笑いであり、心の動きがあることが、つまるところ生きてるってことだと思います^^

2013-12-03 10:16:03
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

昔の人はよく勉強したと思うんです結構深い所から。オイゲン・ヨッフムとか偉い人だったと思います。むろん昔から能才型の人も居て、オーマンディとか大好きでしたし、今も特に古楽周りなど、深い探求に発する音楽家は少なくないと思うのですが、その時間的余裕がない現場というものも確かにあるわけで

2013-12-03 10:19:05
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

僕自身の経験で言えば、毎隔週2本ずつ「題名のない音楽会」を企画構成本番収録繰り返していた頃は、やはりなんと言うか、磨り減りますよね。黛さんも30年来あれをやってた訳ですが、最後のほうは企画と司会者だけで途中は全部若い人にまかせていました。そうじゃなきゃ自分の仕事をやってられません

2013-12-03 10:21:47
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

で、思うわけです「合格が目標だ!」式の受験勉強、これが悪いとはいいません。「一通り音が並ぶことが必要最低限」という音楽のガリ勉トレーニングも必要な事ががあります。確かに長尺の譜面を初見含めバリバリ演奏して行かねば仕事にはなりません。でもそれがプロの芸術家の十分条件では全くない訳で

2013-12-03 10:25:50
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

「一通り書いてある音並べましたよ、文句ありますか?」「一通り問いには答えましたよ、×がつきますか?」式のものは「不合格にはならない」けれど、決して人を感銘させるものにはなりません。逆に、入試や定期試験の答案でも採点している教官が感銘を受け唸ってしまうようなの、が本来はイイんですが

2013-12-03 10:27:32
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

減点法で考えたら、例えば奏者が音出すタイミング間違えるとかはあってはいけないことです。でも絶対評価で考えると、例えばソロの楽句でどうやっても他の人にはまねできない、素晴らしい節を歌い上げてくれる奏者や歌手の自発性、主体性が大事で、仮に出トチリなどあっても目配せ以上の事はいいません

2013-12-03 10:30:03
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

日本社会は音楽家にしろ一般の勉強にしろ「減点法」「相対評価」で人物をやせさせ意識の余裕をなくしていると思います。欧州で余裕と尊敬ある現場が多いのは「絶対評価」による「加点」のシステムでアプリシエートしているからで自信確信がありますよね。だから3週間とか平気でヴァカンス取れる訳です

2013-12-03 10:33:51
小倉秀夫 @Hideo_Ogura

藤木英雄先生は、かつて受験生として司法試験の口述試験に挑んだ時にそれをやってのけたという伝説がありますね。RT @itokenstein: 逆に、入試や定期試験の答案でも採点している教官が感銘を受け唸ってしまうようなの、が本来はイイんですが

2013-12-03 10:33:30
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

.@Hideo_Ogura 今日日大学では少ないですね。僕は正直15年でほんの数える位しかありません。逆に筋のいい中学高校では、まだ結構頻繁にそういうのがあるらしいので、希望はあると思っています。中1や高一の数学の問題を微分で解いたりする話は良くききます。伸びるかはその先ですが

2013-12-03 10:37:12