「人生でなにも誇れることがないヤツでもアニメ漫画ラノベを語って何者かになった錯覚をするのってどんな気持ち?」と毎日囁いたら妹が自殺した~俺の妹がこんなに心弱いわけがない~

俺と妹の気があったことなど、10年以上の歳月のうちでただの1度もなかった。同じ小学校に通い、同じ中学校に通い、あまつさえ同じ高校に通ったが、俺たちの間では、たとえ顔を合わせても、言葉を交わすことは暗黙に禁じられていた。
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狂える中3女子ボレロ村上/陶芸C++er @bolero_MURAKAMI

「人生でなにも誇れることがないヤツでもアニメ漫画ラノベを語って何者かになった錯覚をするのってどんな気持ち?」と毎日囁いたら妹が自殺した~俺の妹がこんなに心弱いわけがない~というラノベを考えたので誰か書いてください。

2013-12-04 11:56:41
パスフィアイコンの人 @pasberth

俺と妹の気があったことなど、10年以上の歳月のうちでただの1度もなかった。同じ小学校に通い、同じ中学校に通い、あまつさえ同じ高校に通ったが、俺たちの間では、たとえ顔を合わせても、言葉を交わすことは暗黙に禁じられていた。

2013-12-04 12:08:45
パスフィアイコンの人 @pasberth

俺も妹もお互いが嫌いなわけではない。性格は合わないが、問題はそうじゃなく、学校で話すことは、簡単に言えばどこか恥ずかしさがあるわけだ。ところが皮肉なことに、学校で、俺と妹は毎週のように顔を合わせていた。俺と妹の学年は当然違い、校舎も離れているにも関わらず。

2013-12-04 12:13:35
パスフィアイコンの人 @pasberth

じつは俺も妹も図書館が好きだったのだ。学校に図書館は1つしかない。だから昼休憩なんかには、運が悪ければ毎日のように同じ部屋で本を読んでいたわけだ。お互いにそれがちょっと恥ずかしかった。「どんな本を読んでいるの」と聞こうものなら、妹はすぐに黙って本を畳み教室へ戻ってしまうだろう。

2013-12-04 12:16:41
パスフィアイコンの人 @pasberth

俺と妹は2人とも本好きだったけども、その本の趣味が合うことは絶対になかった。俺は図鑑や歴史書を好んで読んだ。対して妹は漫画やラノベを読んでいたのだ。本好きというのは、読んだ内容を誰かに話したくなるものだ。だから俺も妹も、自分の好きな本の内容を兄妹に自慢したけど、

2013-12-04 12:20:51
パスフィアイコンの人 @pasberth

どちらも相手の好きな本には興味がなかった。俺の話す本の内容は、妹にはちょっと難しすぎる内容だったようだし、妹の話す本の内容は、俺にはちょっと幼稚すぎるように思えた。

2013-12-04 12:21:47
パスフィアイコンの人 @pasberth

今思えば、俺は自分の好きな本を、妹に「そんな頭のよろしそうな本を読んでたいそうご満悦ですこと」などと馬鹿にされたのが我慢ならなかった。だからあのとき、「人生でなにも誇れることがないヤツでもアニメ漫画ラノベを語って何者かになった錯覚をするのってどんな気持ち?」と言い返してしまった。

2013-12-04 12:24:47
パスフィアイコンの人 @pasberth

そんな俺たちの関係は大学でも続いた。俺と妹は悲しいかな、同じ大学に入ったのだ。なぜかといえば妹か両親に聞くしかない。俺は先に大学に入ったのだから無実だぞ! 妹はなにを思ったのか俺と同じ大学を選び、俺と同じ大学に入学した。そしてそこでも、やはり同じようなことが起こっていたのだ。

2013-12-04 12:27:56
パスフィアイコンの人 @pasberth

それを俺はちょっと嫌に思っていたけど仕方ないので、大学でも高校までと同じように、妹は存在しない空気のようなものだと思って接していた。

2013-12-04 12:29:37
パスフィアイコンの人 @pasberth

それから、ここから話はちょっと急になる。あの嵐の日、俺はいつものようで図書館で本を読んでいた。嫌な嵐だった気がする。今思えばあの嵐はなにかを知らせようとして、はやく家へ返れと言っていたのかもしれない。その日、帰宅すると、妹が風呂で死んでいた。

2013-12-04 12:32:42
パスフィアイコンの人 @pasberth

両親はまだ帰っていなかった。玄関には妹の靴が揃っていたから、妹が先に帰っていることはわかった。それからキッチンにいくと、血のついた包丁がまな板の上に転がっているではないか。俺は混乱し、はじめ、それは牛肉かなにか切ったのだと思おうとしたが無理があった。どう見ても人間の血だ。

2013-12-04 12:35:52
パスフィアイコンの人 @pasberth

俺は心配になって妹の部屋に行ったが妹はいなくて、家中を探しまわったところ、結局風呂に辿り着いた。妹はうなだれるように風呂で眠っていた。湯船は真っ赤に染まっていた。俺は急いで救急車を呼んだけども間に合わなかった。

2013-12-04 12:37:49
パスフィアイコンの人 @pasberth

その日から数日、彼女はなにか思い詰めることがあったのではないかなどと家族会議が開かれた。けれども結局、原因なんて誰もわからなかった。

2013-12-04 12:39:09
パスフィアイコンの人 @pasberth

妹が死んでも、俺の人生が止まることはない。俺は平日には大学に行き、抗議を受け、課題をこなし、いつものように図書館で本を読み、帰宅してシャワーを浴びて寝る。ぞっとするほどなにも変わらなかった。変わったことといえば、妹とバッタリ図書館で会うことがなくなったくらいだ。良いのか悪いのか。

2013-12-04 12:40:32
パスフィアイコンの人 @pasberth

妹が死んでから、図書館で本を読む俺はぼーっとしていて集中力がなかった。なにを読んでも目の焦点が定まらない感じがする。やっぱりいろいろあったからだ。気分転換に、俺は妹が好んでいた漫画やラノベを読んでみることにした。気分転換と言ったけど、本当のところは、彼女がどんな気分でいたのか

2013-12-04 12:44:32
パスフィアイコンの人 @pasberth

知りたかったからかもしれない。誰がなにを借りたかなんてちょっと調べればすぐわかる。俺は妹が読んでいた漫画やラノベを読んでみることにして、数週間の間、彼女が読んでいたラノベを読みまくっていた。

2013-12-04 12:45:25
パスフィアイコンの人 @pasberth

それからデジャヴのように嵐が図書館にやってきた。俺は「あいつが死んだ日の夜もこんな嵐だったなあ」なんてぼんやりと思いながら、ラノベを探していた。ついにあいつが読んでいたラノベをほとんど読み終え、知りうる範囲では最後の一冊のラノベだったが、どうも見つからない。

2013-12-04 12:47:59
パスフィアイコンの人 @pasberth

高い棚の端に探している本はあった。俺は背伸びして本を取り出そうとしたが、手が滑って本を崩してしまった。いくつかの本が俺に降り注ぐ。痛い。そのあと本を棚に戻していると、散らばった本に埋もれて、1枚の手紙があることに気づいた。あいつが読んでいた本に挟まっていたんだ。

2013-12-04 12:50:12
パスフィアイコンの人 @pasberth

俺はちょっとぎょっとしたけど、たしかに遺書くらい書くのが当然かもしれない。しかしこんなところに隠すなんて、家族に読んで欲しいとは思わなかったのか…と思いつつ手紙を開ける。

2013-12-04 12:51:23
パスフィアイコンの人 @pasberth

そのとき、嵐の雨と風と暗がりに隠れ、背後から忍び寄る気配にびっくりして俺は振り向いた。そこにいたのは猫だった。「……猫? こんなところに?」と俺が言うと、猫は囁いた。「やっと見つけてくださったのですね。素敵でございます」俺は目をまん丸にした。「猫が……喋った!?」

2013-12-04 12:53:27
パスフィアイコンの人 @pasberth

自殺ENDだとラノベとしてアレかなと思ったので自殺したら猫に擬態した美少女が登場!から始まる物語風にしてみました

2013-12-04 12:55:32