Educate Reminiscence of Admiral 「KANCORE」５

奈楽マン @SonoTaichi

続き７：「む、部屋に居ないと思ったらこんな所に居たのか」 執務室に入って来たナガトが大鳳を見て溜め息を吐いた。 「見付かってしまいましたか。流石は監獄戦艦さんですね」 おい、そいつは対魔忍だぞ。 「どっちも違う！！」 成程、こいつは悪い奴ではないらしい。 #艦これ航海日誌

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１６６日目：年末年始なので、と言われて輸血パックの補充を断られた。 血の気が引く、と言うのが冗談では済まされない。 下手をすると初日の出を拝むと共に己は木乃伊になっている。 どうにか手に入れられないかと探したが、有明の方で大量に使用される予定なのだそうだ。 #艦これ航海日誌

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続き：海の近くだと言うのに良く祭りなぞする物だとは思うが、そうであれば仕方無い。 などと調べている内に金剛がしな垂れかかって来た。 「Hey提督、喉が渇いたネー」 紅茶ならまだ残っているだろ。 「テ・イ・ト・クのBloodが飲みたいデース」 #艦これ航海日誌

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続きの続き：紅を差した訳でも無い唇が赤く艶めき、漏れる吐息が肌を撫でた。 以前ならば新月に向かうに連れて血を求める頻度は少なくなったのだが、此処数日は確実に増加している。 少なくとも、己と性交渉を行う場合に於いては血を吸わないと満足出来なくなりつつ有る。 #艦これ航海日誌

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続き３：血液淫虐症（ヘマトディプシア）か、どうにかしてこいつの欲求を抑制しなければ遠からず己は死ぬだろう。 他の最高錬度となった艦娘と比べても、金剛は特に己の制御から離れている。 提督だろうがサマナーだろうが止める事は出来ない。 血を吸われ、死ぬ。 #艦これ航海日誌

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続き４：我慢しろ。輸血パックが来ないと言う事はお前も知っているだろうが。 「そんな事言われても……、身体が火照って……」 バツン、と言う音と共に部屋の照明が消えた。 金剛の顔が暗闇の中で白く浮かび上がる。 瞳孔が拡大し、赤い唇がゆっくりと弧を描いた。 #艦これ航海日誌

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続き５：笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である。 金剛の笑顔は肉食獣が獲物を見付けた時のそれだ。 「提督……、私、もう我慢出来なさそうデース……。逃げて、下サイ」 辛うじて残った理性が言葉を紡ぐが、身体は欲求を満たす為に行動する。 #艦これ航海日誌

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続き６：一瞬の後、肩に熱さを感じた。 動きは全く見えず、気付かぬ内に己の肩肉は抉り取られていた。 首に直接齧り付くのはどうにか我慢したのだろう、金剛は少し離れた位置に屈んだ姿勢で荒い息を吐きながら音を立てて肉を咀嚼している。 #艦これ航海日誌

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続き７：逃げろとは言うが、暴走した艦娘からどうやって逃げろと言うのか。 まぁナガトや大和が助けに来るまで持ち堪えろと言う事だろうが、実に下らん。 飼い犬に手を噛まれたのなら「躾け」直すのが道理と言う物。 化け物め、良いだろう、相手をしてやる。 #艦これ航海日誌

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続き８：食い殺される前に犯し貫いてやれば良いだけだ。 己を嘗めるなよ。馬鹿げた膂力が在ろうと、命令を聞かせる事が出来なかろうと、言葉が届かなかろうと、誰が主なのかを教えてやる。 金剛がごくりごくりと喉を鳴らしてドロドロになった肉を飲み込んだ。 #艦これ航海日誌

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１６７日目：目が覚めると己は医務室のベッドに寝かされていた。 前にも似たような事が在ったな、確かあれは台風で陸奥が錯乱した時だったか？ あの時は金剛が居たが今回隣で寝ているのはナガトだ。 こいつも腕を組んで寝ている姿はクールな美女と言った風情なのだがな……。 #艦これ航海日誌

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続き：己の気配に気付いて起きたナガトから状況の説明を受ける。 どうやらあの馬鹿は理性を取り戻せたらしく、ギリギリの状態ながらも己は死なずにすんだようである。 そして金剛は自主的に拘束され、現在は戦艦と空母が一人ずつ付いて監視を行っているとの事。 #艦これ航海日誌

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続きの続き：「それにしても……、あの部屋は酷い有様だったぞ。まるで山賊が女を輪姦して殺した後のような血と精臭でこのナガト、不覚にも濡れた」 濡れるな阿呆。 「……提督は医務室に連れて来られた時の自身の損傷度合いを覚えているか？」 #艦これ航海日誌

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続き３：右手の小指と左手の小指と薬指、それと肩が食い千切られていたな。 「唇もだ」 ああ、そう言えばそうだ。それと背中が掻き毟られていた気もする。 「戦艦の握力で、な」 もし抱き締められていればサバ折りだっただろうな。 #艦これ航海日誌

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続き４：「……金剛は解体されても文句は無いそうだが」 お前はどう思う？ 「馬鹿を言え、だな。食い殺され掛けても女を抱くような男が奴を捨てる訳が無かろう」 そう思うのなら大鳳を連れて来い。 「大鳳を？」 今の所、奴が第一容疑者だ。くれぐれも逃げられないようにしろ。 #艦これ航海日誌

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続き５：「――で、私が引っ張って来られた訳ですか」 さっさと何をしたか吐け。 「全く、コピー元に恨みが有るとは言え、厄介事と簡単に結び付けるのは勘弁して欲しいわ」 自分が原因ではないと？ 「そうね。でも何が原因なのか察しはつくわ」 #艦これ航海日誌

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続き６：ご推察をお伺いしたい所だが。「先ずはこの拘禁を解いて貰えないかしら」 言い方を変えよう。命令だ、さっさと答えろ。 「怖い、怖いですね。……分かったわよ、ちょっとした冗談でしょう」 大鳳が両手を上げると己の合図に合わせて周囲の銃口が下ろされる。 #艦これ航海日誌

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続き７：「大晦日（おおつごもり）と言えば最大の節分よ、年が変わるこの時期はどうしたって邪気が湧くわ。まぁ艦娘の溜まり場である鎮守府でそんな物が悪さを出来るとは思ってなかったけど、此処の門って北東（うしとら）に開いてるわね？どう考えても他所から流れ込んでるわ」 #艦これ航海日誌

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続き８：まぁ横須賀は色々と在るからな、考えられない話では無い。 「本来ならこう言うのは空の器、例えば素体とかに入る物なのだけど……」 確かに艦娘に取り憑いたのは妙だな。 「或いは、彼女が招いてしまったのかもしれないわ」 ふむ？ #艦これ航海日誌

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続き９：「改二且つ最大錬度、しかも『契約』を結んでいるとなれば艦娘としての純度が高まり過ぎてるもの。素体である人から大きく離れればそう言う物を取り込むようになるのも不思議じゃないわね」 ……心当たりが在り過ぎる。 #艦これ航海日誌

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続き１０：「だとすれば門の位置を変えて、定期的に厄払いを行う事ね」 ナガト、頼んだ。 「門の方は分かるが、私には厄払いなど出来んぞ」 鬼やらいだろ？白リリスの方だけどお前なら大丈夫だって。 「だから対魔忍ではないと言っているだろうが！」 #艦これ航海日誌

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続き１１：「……今なら大掃除でもしたら？汚れを落とす事で新たな歳神を迎える準備をすると共に穢れを落とす事にも繋がる訳だから」 大、掃除？……全員集合！！ これより大掃除を開始する！あの馬鹿も連れ出して来い！ サボる奴は年越し蕎麦も御節も無しだ！！ #艦これ航海日誌

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続き１２：「……提督、貴方大掃除の事を忘れていたわね？」 残り三時間だ、そんな下らん事を気にしている暇は無いぞ。 「ねえ、忘れ」 良し、それでは第一次年末大掃除作戦を開始する。第二次が無いようにきっちり掃除するぞ！ #艦これ航海日誌

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１６９日目：新年の挨拶と共に武蔵が南方棲戦鬼へ向けて４６ｃｍ三連装砲を放つ。 久し振りの南方征伐、大和型戦艦の戦闘が映し出されるスクリーンを眺めて食べる年越し蕎麦も又一興だ。 砲撃を百八つ数えて引き上げさせ、出撃組にも蕎麦を振舞った。 #艦これ航海日誌

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続き：「あの、すみません。大掃除が終わったと思ったら即出撃ってどう言う事なの？」 ぐったりとした顔の大鳳が己に聞く。 いや空砲が厄払いとして使われる事も有る訳だし実弾なら効果も高かろうと思ってな。 大型のスクリーンとスピーカーを新調した甲斐が在った。 #艦これ航海日誌