東京地判H24.12.25労経速2176-3

上司等から仕事を与えられず、精神的に追い込まれて視覚障害を発症した等と主張する労働者の損害賠償請求は否定されたが、休職後の自動退職扱いは無効と判断された例
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@inu_law

上司等から仕事を与えられず、精神的に追い込まれて視覚障害を発症した等と主張する労働者の損害賠償請求は否定されたが、休職後の自動退職扱いは無効と判断された例(東京地判H24.12.25労経速2176-3)

2013-12-15 07:15:26
@inu_law

上司らから罵詈雑言を浴びせられてきたという労働者の主張について、原告が録音媒体の存在を上司らに伝えていたことなどに照らすと、労働者は「証拠を保存、保全することの大切さを十二分に理解していたはずであるのに、録音媒体等が全く残されていないのは不自然」と判示。

2013-12-15 07:16:08
@inu_law

最近はスマホでも簡単に録音できるので、録音データや録音データからの書き起こしが証拠提出されることは珍しくない。

2013-12-15 07:20:15
@inu_law

これは、休職後の復職の可否について、片山組事件(最判H10.4.9)の判断枠組みを踏襲したもの。

2013-12-15 07:23:55
@inu_law

職種限定ではない労働者については、「特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても・・・当該労働者が配置される現実的可能性がある・・・他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているのであれば、なお債務の本旨に従った履行の提供がある」

2013-12-15 07:21:43
@inu_law

そして、「被告は、原告に産業医の診察を受けさせたり、原告の復職の可否について産業医の意見を求めた形跡すらないものであって、復職不可とした被告の判断こそ客観性を欠く」と判示され、自動退職扱いが無効と判断されている。

2013-12-15 07:24:14
@inu_law

復職の可否の判断にあたっては、専門家である産業医の役割が大きい。産業医が全く関与していないのは、かなりの痛手。

2013-12-15 07:24:46
@inu_law

なお、本件は、私傷病休職ではなく、会社都合休職の事案(「会社が必要と認めたとき」に当たるとして、休職を命じた事案)。

2013-12-15 07:31:35
@inu_law

そのような事案であっても、判決は、「復職の可否の判断は、基本的に労働者の心身の健康状態を初めとした客観的事情に基づいて決せられるべき」であり、復職の可否の判断にあたり、「原告の従前の言動、 態度等を過度に強制することは相当でない」と判示している。

2013-12-15 07:34:16
@inu_law

判決は、「被告は、多様な部門を擁する大企業であることからすれば、高々月額26万円程度…の給与水準の事務職が、被告の内部に存在しないとは考えにくい」とも判示している。「高々月額26万円程度」という部分はやや引っかかる。

2013-12-15 07:25:25