昨日発生していたサイトログインできない不具合は修正されております(詳細はこちら)

山村の限界集落で大量殺戮を行った人間の心理2

1
アドリア海 @keizi80

「なあ。お前みたいなゴミがよ」 「・・・・」 「お前みたいな、いい年したおっさんが、働きもせずようまあ毎日毎日遊びほうけてよ」 「・・・・」 山村33

2013-12-30 10:11:36
アドリア海 @keizi80

「その車動かすガソリン代はどうした?また親の遺産か?」 「・・・・」 「それとも盗んだか。先週俺の倉庫の灯油がなくなってたような気がするんだが、あれお前か?」 「・・・・」 山村34

2013-12-30 10:12:28
アドリア海 @keizi80

「ほんとにまあタダメシ食いのゴミが、車なんて転がしやがってよ」 「・・・・」 「働きもしないクズが、車に乗って公道走っていいとでもおもってんのかい。税金はどうした税金は」 「・・・・」 山村35

2013-12-30 10:13:12
アドリア海 @keizi80

「税金払わないやつが道路使っちゃいけませーん」 三軒先の男はわざとらしく両手を広げておどけてみせた 「ま、こんなやっすい車どうでもいいけどね」 三軒先の男は泥雪のこびりついたつま先で〔50円玉〕の座る運転座席のドアをつついた。 山村36

2013-12-30 10:14:19
アドリア海 @keizi80

「とにかくここ退いてくんね?邪魔」 「・・・・」 「退いてくんね?」 「・・・・」 山村37

2013-12-30 10:14:48
アドリア海 @keizi80

「邪魔なんだよ」 「・・・・」 「あれー?**(50円玉の苗字)くーん」 「・・・・」 「もしもし**(50円玉の苗字)くーん。聞こえてんのー?」 三軒先の男は〔50円玉〕の座る運転座席の窓を拳で小突いた。

2013-12-30 10:15:37
アドリア海 @keizi80

「・・・・」 「**(50円玉の苗字)くーん。どうした~?頭だけでなく耳までおかしくなっちゃった~?」 「・・・・」 「このままだと俺が通れないよねえ。困るよねえ」 山村39

2013-12-30 10:16:49
アドリア海 @keizi80

「・・・・」 「**(50円玉の苗字)くーん。まさか退かない気なの~?」 「・・・・」 「おい**!!」 三軒先の男はにわかに鬼の形相になり、運転座席めがけて思い切り吼えた。 山村40

2013-12-30 10:17:21
アドリア海 @keizi80

衝撃はガラス窓を貫通して〔50円玉〕にダイレクトに伝わり、その全身を震わせた。 生まれながら臆病にできている〔50円玉〕の心を挫くには、それだけで十分だった。 数秒後、〔50円玉〕は無言のまま、のろのろ後ろに退いていった。 山村41

2013-12-30 10:17:49
アドリア海 @keizi80

雪道に老朽化したサスペンションの軋む音が、〔50円玉〕には自分の心を代弁しているように聞こえた 三軒先の男は腰に手を当て、遠ざかり行く〔50円玉〕を見送っていた。 山村42

2013-12-30 10:18:47
アドリア海 @keizi80

〔50円玉〕にその顔を直視する勇気はなかったが、きっとこの世のすべての邪悪を詰め込んだかのような ニヤケ顔で悦に浸っているに違いなかった。 車道の膨れた曲がり角まで戻ると、〔50円玉〕はその隅に小さく愛車を止めた。 山村43

2013-12-30 10:19:29
アドリア海 @keizi80

しばらくするとカーブの向こうに一旦は視界から消えていた三軒先の男の軽トラが顔をのぞかせ、 やけにもったいつけたペースでゆっくり接近してきた。 山村44

2013-12-30 10:20:41
アドリア海 @keizi80

最終的に三軒先の男は、〔50円玉〕ができるだけ余裕をとろうと 路肩のぎりぎり端にまで己が車を追い込んでいたにもかかわらず、 車体と車体がこすれんばかりにわざとらしく幅を寄せ、運転座席から 運転座席を覗き込んできた。 山村45

2013-12-30 10:21:50
アドリア海 @keizi80

〔50円玉〕はハンドルを握り締めたまま、再び体を硬くした。 「死ねよ!」 三軒先の男はそう叫んだ。 座席の上で〔50円玉〕の体が跳ねた。 山村46

2013-12-30 10:22:22
アドリア海 @keizi80

その単純明快な三文字を、しかしながら〔50円玉〕はすぐには理解できなかった。 「死ねよ!お前『も』!!」 三軒先の男はもう一度吐き捨てると一気にアクセルを吹かし、猛烈な勢いで遠ざかっていった。 山村47

2013-12-30 10:22:51
アドリア海 @keizi80

バックミラーにその影も形もなくなった5分後も、 〔50円玉〕はやはり同じ姿勢で俯いていた。 山村48

2013-12-30 10:23:32
アドリア海 @keizi80

「はい。働くのは無理です」 その夜、PCのみが灯りを宿す自室で、〔50円玉〕はマイクに向かいぼそぼそ言葉をつむいでいた。 漆黒の空間に電磁色の顔が悪夢のごとく浮かび上がっていた。 山村49

2013-12-30 10:24:12
アドリア海 @keizi80

『そんなこと、ないんじゃない?』 『さがせば仕事、あるよある』 ネット回線の彼方の住人が、彼に応答し文字列を送り返してきた。 「いや、無理です」 〔50円玉〕は生気のうせた声で同じ発言を繰り返した。 山村50

2013-12-30 10:24:56
アドリア海 @keizi80

『でもこのままだとお金、足りなくなるんじゃない?』 「足りないですね。もう足りないです」 『じゃあ仕事、見つけないと』 「仕事はないですよ。ここには仕事ないです。田舎だし」 山村51

2013-12-30 10:25:27
アドリア海 @keizi80

『都会に出れば、いいじゃない』 「都会、都会は・・・逃げ帰ってきました。通用しなかった」 『でもそこにいるよりマシでしょ?』 「どうせ働けないから同じです。それに部屋代もかかるし・・・」 山村52

2013-12-30 10:26:29
アドリア海 @keizi80

『何で働けないの?』 「なんでだろう・・・」 〔50円玉〕は虚空を見上げた。 液晶画面の光域からはぐれたその顔面にいかなる表情が宿っているかは定かではなかった。 山村53

2013-12-30 10:27:18
アドリア海 @keizi80

「どの職場へ行っても、すぐ爪弾きにされます。周りの人も、最初は普通に接してくれるけど、 僕が働いているうちにだんだん険悪な顔になってきて、邪魔もの扱いされます」 『そうなることについて、何か心当たりあるの?』 山村54

2013-12-30 10:28:08
アドリア海 @keizi80

「うまくしゃべれないのが悪いんだと思います。コミュ障なんで」 『今ちゃんとしゃべれてるけど?』 「これはネットだから。本物の人前にしたら全然しゃべれないです」 『もうナマポ、もらいなよ』 山村55

2013-12-30 10:29:10
アドリア海 @keizi80

「もらわないです」 『どうして?』 「もらったら、この家とられちゃうらしいから」 『とられちゃうの?』 山村56

2013-12-30 10:29:39
アドリア海 @keizi80

「はい。持ってる財産は全部手放さないといけないらしい」 『そうなんだー』 「ここは僕が生まれ育った家なので、手放したくないです」 『でもこのままだと飢え死にしちゃうよ?そしたら元も子もないよ?』 山村57

2013-12-30 10:30:38