初霜の候

取敢えず纏めておいたぞ。
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うむ、取敢えずハッシュタグは #初霜の候 で設定させてもらうぞ。検索の助けとして欲しいな。完結したらtogetterにも纏めるからな

2013-12-31 21:40:00
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それと、我々が考えている出撃での艦娘ドロップ像は、俘虜となっていた艦娘の救出であるという点を念頭に置いてくれ #初霜の候

2013-12-31 21:47:19
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初霜が吾々の指揮下に入ったのは何時のことだったか……。はっきりと分かっているのは、大和が何処にいるのかも分かっていない時期だったということだ。 彼女は随分と背伸びをしているな、というのが俺の第一印象だったよ #初霜の候

2013-12-31 21:59:50
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初霜は優秀で頑張り屋で、そして自傷行為にも近いような厳しい訓練を自らに課す子だった。嗜めても取り付く島もない笑顔を返されるだけで、ひたすらに自らを苛め抜き続けていたな。 大和の存在がある今でこそ分かるが、当時は周囲も度し難い頑固者という印象を拭えずにいたよ #初霜の候

2013-12-31 22:04:34
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そして、初霜は毎日手紙を書いていたんだ。届く宛のない手紙を、まだ其処に居ない相手に向けた慚愧の手紙を。告白の手紙を。 このことを知っていたのは、当時だと恐らく提督、秘書艦を務めていた球磨姉と、天一号作戦に参加した仲の霞くらいのものだったろうな #初霜の候

2013-12-31 22:12:22
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そんな初霜に転機が訪れたのは八月の初頭、南方海域にて新たなる敵が出現したとの報が齎された時だった。威力偵察を行った部隊からによって、その海域に大和が囚われているという確定情報が得られたからだ。 #初霜の候

2013-12-31 22:21:48
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初霜は異様なまでの情熱でもって、提督に自分を南方艦隊に編入するように頼み込んだらしい。この辺りの事情は提督及び球磨姉が残したメモから確認できるが、熱病に浮かされたかのような勢いだったらしい。 #初霜の候

2013-12-31 22:25:44
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初霜の情熱は、一部の艦娘及び提督を除いた大多数から理解されることはなかった。大半の艦娘は出撃に当たっては最精鋭の島風や第六駆逐隊を推す声が大勢を占めていたし、実際に戦力的な見地から言っても、そうした方が正解だということは提督も理解していただろうな #初霜の候

2013-12-31 22:28:45
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最終的に提督が出した結論は、駆逐艦の最主力として島風を温存し、代わりに初霜を抜擢。そして残りの一枠を第六駆逐隊がローテーションで務めるというものだった。この件に関しては異論や不満が出なかった訳ではなかったが、提督や球磨姉、霞による説得によって沈静化していった #初霜の候

2013-12-31 22:32:06
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自らの悲願が叶えられた初霜の活躍は、八面六臂と評しても遜色ない程だった。無茶のし過ぎで旗艦を務めていた飛龍から嗜められることもしばしばだったようだ。 そして、初霜の手紙は毎日増えていった。内容には、思慕の念が綴られることが多くなっていたみたいだが #初霜の候

2013-12-31 22:35:11
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このころの初霜はもう精神が肉体を凌駕しているような状態で、あまりの勢いに周囲が辟易させられることもしばしばだった。あまりのことに、提督命令で丸一日の休暇……という名の軟禁を命ぜられたことも有ったほどだ。それほどまでに、初霜の大和に対する念は膨らんでいた。 #初霜の候

2013-12-31 22:38:23
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それでも、そんな状態になっても、提督が初霜を第一線から遠ざけることだけは無かった。彼女の想いを知っている提督だからこそ、初霜の無茶を抑制できなかったんだろうと球磨姉はメモに記しているな。 #初霜の候

2013-12-31 22:40:46
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初霜に、何故そこまでして海域突破に執着するのかを聞いたことがあったな。彼女はこう言っていたよ。 「私は何としても、大和さんを助け出さなきゃいけないんです。助け出して、ちゃんとあの時お守り出来なかったことを、運命を共にできなかった不孝を誤らないといけないんです」 #初霜の候

2013-12-31 22:46:19
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初霜にとっては、天一号作戦が発令されたあの時に、自分の死は決まっていたようなものだったそうだ。だからこそ、あの戦闘で大和と死を共に出来なかったこと、無事に帰還してしまったことを悔やんでも悔やみきれなかったんだそうだ #初霜の候

2013-12-31 22:49:25
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初霜はあの場で死ねなかった自分を責め苛み、そして悔いを残したままに艦としての生命を終えてしまったんだ。だからこそ艦娘としての生を享けたその瞬間から、彼女の使命は決まっていたんだ。 #初霜の候

2013-12-31 22:53:37
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大和を守り、共に生き共に死ねる程の強さを持った艦になること。 それこそが彼女のレゾン・デートルにほかならなかったんだ。 だからこそ彼女は、この海域突破に命を懸けていたんだ。 #初霜の候

2013-12-31 22:54:42
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初霜は遂に、南方海域最終戦闘領域に到達した。ここまでくれば、彼女のやることはただ一つ。敵の最高戦力たる南方棲戦姫を斃し、大和を奪還すること。 初霜の決意にも、敵の本拠に向けた魚雷発射管にも、寸分の狂いすら無かった。 #初霜の候

2013-12-31 23:01:23
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前哨戦など、南方海域を潜り抜けた初霜たち最精鋭にはなんの障害にもならない。一息に踏み潰し、南方棲戦姫の膝元へと、焦がれるほどに待ち続けた大和の元へたどり着いた。 #初霜の候

2013-12-31 23:10:25
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イラッシャイ……カンゲイスルワネェ? 煩い。貴様の歓迎なんて求めていない。早く大和さんを、私の想い人を返せ。 大和さんを、返せッ! 飛龍と隼鷹の航空戦力が、敵の航空戦力とかち合う。勢いは留まることを知らず、制空権を確保してしまった。まずは、先手を取れた形だろう #初霜の候

2013-12-31 23:18:48
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続いて北上姉と大井姉の雷撃が炸裂し、浮遊要塞を二基、海の藻屑と化す。 「これでまずは一つ。楽勝よね」 「私と北上さんがいれば、当然です」 長門の砲撃が風を切り、浮遊要塞をさらに叩き落とした。これで敵は残り半分。さらに残る浮遊要塞も、航空戦力の相手で手一杯だ。 #初霜の候

2013-12-31 23:26:55
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初霜は南方棲戦姫をキッと見据える。固より、奴以外の敵は視界にすら入っていない。 ワタシノ……コウゲキハ、ホンモノヨォ? 知った事か。こっちは貴様を斃す為にここまで来たんだ。 #初霜の候

2013-12-31 23:35:54
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初霜の12.7cm連装砲では、戦姫の装甲は抜けないだろう。大和さんの砲ならばあるいは抜けるだろうが、無いものを願っても仕方ない。ならば自分にあるものは何か。当然、魚雷だろう。北上が余っていた艤装から分けてくれた五連装酸素魚雷。これで奴を葬るしかない #初霜の候

2013-12-31 23:38:38
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魚雷の装弾数には限りがある。故に、味方が作ってくれる期を逃してはいけない。それまではひたすら防禦に徹する。長門の砲撃を躱した戦姫が、ここぞとばかりに打ち込まれた北上と大井の魚雷を砲撃して破壊する。高い水柱が上がって、周囲が水煙に包まれた。この瞬間しか、狙い目は無い! #初霜の候

2013-12-31 23:41:14
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解き放たれた5本の酸素魚雷が、過たず戦姫に殺到する。上がる水柱、呻くような戦姫の声。 ワタシモ……ワタシモ、モウイチドヨミガエルノ……カ…… 霧が晴れたとき、そこに戦姫は居なかった。初霜は勝利したのだ。呆気ない程ではあったが、しかし、勝利は勝利だ #初霜の候

2013-12-31 23:44:22
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大和を呼ぶ声が、戦域に木霊する。血を吐くような悲痛な叫びは、初霜のものだ。これだけの苦労をしてまで戦姫を斃したというのに、大和は居なかったのか?それとも、またしても私は彼女と生き死にを共に出来なかったのか? 思考は空転し、いつしか叫び声は子供のような嗚咽に変わっていた #初霜の候

2013-12-31 23:46:59