茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【タイガージェットシンの一秒目からトップスピード】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１１３０回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、「連続ツイートクラシック」。以前にも（確か）お届けしたことのあるネタですが、今、改めて古典落語のようにふり返ることで、新たな視点が生まれるかどうか、試してみます！！！

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（１）小学校の時、島村俊和君というプロレスキチがいて、いつも『ゴング』を読んでいた。それで、影響を受けて、ある時、一緒に、越谷市民体育館にタイガージェットシン対アントニオ猪木を見にいった。入り待ちをしている時、島村君が言った。「タイガージェットシンだけは、目を合わせるな」

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（２）「他の選手は演技だけど、タイガージェットシンだけは本気だから、シンが体育館に入る時、絶対を目を合わせててはいけない。実際、目が合って、殴られて怪我をしたファンがいる」。緊張して待っていると、車が止まって、タイガージェットシンが、サーベルを振り回しながら出てきた。

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（３）今考えると、銃刀法上どうなっているのかと思うが、とにかくシンがサーベルを振り回しながら出てきた。目を合わせるどころか、身体が凍って、動けなかった。やがて体育館の中で、試合が始まる。アントニオ猪木がリングに立って、紹介され、花束贈呈が始まったその時である。

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（４）タイガージェットシンが、サーベルを持って乱入してきて、リングの上で、花束贈呈を受けているアントニオ猪木に殴りかかった。猪木も応戦して、あっという間に場外乱闘。猪木とシンが並べられたパイプ椅子を蹴散らして走り回る。すると、観客が、わーっと言いながら逃げ惑う。

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（５）猪木とシンが動き回ると、真っ暗な体育館の中で、サーチライトがそれを追う。場内アナウンスが、煽るように、「お気を付けください、お気を付けください！」と叫ぶ。私と島村くんも、猪木とシンが自分の方に来ると、わーっと逃げて、また近づいていった。サイコーに興奮した！

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（６）やがて、よきところで、猪木とシンがリングの中に戻って、ファイティングポーズをとったりする。そこで、まるでタイミングを図ったように、ゴングが一つなって、場内アナウンスが、とりすました口調で、「ただ今試合が始まりました」と言う。それで、私は、なんじゃい！　と思った。

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（７）ただ今試合が始まりましたって、今までのタイガージェットシンの乱暴狼藉は、ルール違反じゃなかったんかい！　お目こぼしかい！　と心の中でどついているうちに、試合は、タイガージェットシンのチョーク攻撃と、猪木の怒りの鉄柱攻撃で、ますます白熱していったのだった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（８）私が、この、小学校５年生の時に見た試合から得た教訓は、「花束贈呈なんてしないで、いきなり行け！」ということ。談合、根回しが好きな日本社会では、つい、来賓の挨拶とか、本日はお日柄も良くとかどうでもいい段取りをしがちだが、そうでなくて、一秒目から、トップスピードで行け！

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（９）そして、一秒目からトップスピードでサーベルで殴りかかるというようなパフォーマンスを支えるのは、最高の知性と鍛錬された身体だということ。タイガージェットシンの素顔は、知的なビジネスマンで、カナダで実業家として成功している。その人がサーベル振り回すのが、面白い。

茂木健一郎 @kenichiromogi

はい（１０）もう一つ、日本人は、実は花束贈呈ではなくて、心の奥では、タイガージェットシンのような一秒目からトップスピードが好きだし、求めているということ。シンは、日本での人気が突出していて、日本のファイトマネーを元手に、カナダの事業を興したのだとさ。段取りなんて、蹴散らしちまえ！

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第１１３０回（連続ツイートクラシック）「花束贈呈なんてしないで、いきなり行け！」でした。みなさま、明けまして、おめでとうございます。