トリチウム汚染水の放出について:奥山俊宏記者(朝日新聞)
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ジャーナリスト。著書に『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実』、『バブル経済事件の深層』、『秘密解除 ロッキード事件』など。司馬遼太郎賞、日本記者クラブ賞を受賞。朝日新聞記者33年を経て、いまは上智大学 文学部 新聞学科で教え、「Atta!」を編集。ご連絡はokuyama-t@protonmail.comに。
福島第一原発。放射性物質トリチウムを含む数十万トンの汚染水をどうするかが今年の焦点となる。政府は「トリチウム水タスクフォース」を設け、今後、「分離、タンク貯蔵、洋上貯蔵、地下貯蔵、蒸発、海洋放出」の6つの選択肢についてどのように評価していくか検討するという。
2014-01-01 01:11:39福島第一原発トリチウム水タスクフォース。政府の事務局の説明によれば、「複数の選択肢について中立的な立場から総合的な評価を行っていただきたい」という。「選択肢の一本化を行うものではありません」「その後、社会的合意形成に移っていけるための基盤をつくっていただきたいということです」
2014-01-01 01:15:09福島第一原発のトリチウム汚染水。政府の事務局から「社会的合意形成」という 言葉が出てくるということは、社会の側にそれなりの議論と覚悟が必要だということなのだろう。示された六つの選択肢のうち二つ(蒸発、海洋放出)は環境への放出だった。 http://t.co/kOtGkSMgjQ
2014-01-01 01:23:09年を重ね(as years go by,)、ときを経るに従って(as time goes by,)、小さくなっていく問題がある。時が解決する問題もある。だから前向きでいられる。
2014-01-01 01:48:51もし仮にトリチウム汚染水を海洋に放出すると決めた場合、どのような方法でどのような濃度に下げ、どのくらいの年月をかけて、どこで(海岸線からどのくらい離れた地点で)それを行うのかという問題についての議論がさらに必要となる。一般の原発に現に適用されている基準に従うのは難しいだろう。
2014-01-01 10:16:55もし仮に、「分離」ではなく「希釈」によってトリチウムの濃度を下げてそれを海洋に放出すると決める場合、なぜ分離しないのかを説明しなければならない。特に、「分離できるかも」という技術があるとの主張があるのに、その技術を使わない理由を説明するのは容易ではないだろう。
2014-01-01 10:36:43トリチウム汚染水を海洋など環境に放出する場合、その決定に至る手続きの適正(実質的に適正であり、かつ、外観上も適正であるように見えること)はとても大切だろう。手続きを省略したり踏み外したりすると、それはのちのちに大きなツケとなって戻ってくるに違いない。
2014-01-01 10:40:131979年に事故を起こした米国のスリーマイル島原発の汚染水は蒸発させて大気中に放出された。事故の2年後に検討はまとめられていたが、実際に放出を始めたのは1991年。福島第一原発よりはるかに少ない量だったが、放出を終えたのは1993年。事故から14年が過ぎていた。
2014-01-01 10:49:33トリチウム汚染水。分離する技術はあるが、福島第一の汚染水は、その量が多すぎて、それらの技術を使うのはほぼ無理--というのが多くの専門家の見解。多くは「希釈して海に流すべき」との意見だが、これを正当とする手続きは「専門家としての直観」だけではない何かに依拠しなければならない。
2014-01-01 11:01:29政府が昨秋に世界に呼びかけて技術提案を求めたところ、トリチウム分離技術については延べ52の提案が寄せられた。暮れに政府は「即効性があると認められる技術は見受けられなかった」との見解をまとめたが、個々の技術の将来の適否については保留中とせざるを得ない。
2014-01-01 11:08:58トリチウムは水素の同位体で、三重水素とも呼ばれる。放射線を出すが、エネルギーが小さく、紙1枚で遮られる。12年余で半減する。酸素と化合して水の形で存在していることが多く、それについては体内に入っても濃縮されない。昔、学生時代に誤って素手で触れた記憶がある。その夜はビールを飲んだ。
2014-01-01 11:15:12東京電力の福島第一原発では今後、「アルプス」と呼ばれる装置が本格的に動けば、トリチウム以外の62種類の放射性物質を汚染水から除去できる見通しで、その結果、トリチウム入りの水が数十万トン残り、それをどうするかが問題となってくる。
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