映画『麦子さんと』感想

ムー @muu

【2014年劇場映画感想06】『麦子さんと』。『さんかく』をレンタルで観たら傑作だったので、急遽観に行ってみた吉田恵輔監督最新作。期待がデカ過ぎたかな、まあまあ面白いけど今一つ。丁寧な描き方は相変わらず好みなんだけど、あざとさを感じる場面も多く、どこかで観たようなシーンもチラホラ

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『麦子さんと』母親死去を境にぐっと心境が変わっていく展開は、『さんかく』同様、最初から最後まで濃密で飽きさせない。下手したら前半予想しただけの話かな？と思うところを裏切ってくれる。…ようでいて、死去後にその人生を辿るというのは、こないだ観た『四十九日のレシピ』的でもあり…

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『麦子さんと』「母親が聖子ちゃん世代でアイドル目指して上京」つーのも、タイミング悪くかなり『あまちゃん』的でもあり、親との関係性を描くとか山梨が舞台とかは『もらとりあむタマ子』的でもあり、ぼく自身の鑑賞範囲の問題でたまたまなんだけど、どうにも新鮮味を感じられなかったんだよねえ…

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『麦子さんと』身近に感じやすいオタク趣味とか田舎描写なんかは、どうしても好みに大きく左右される。ガダルカナル・タカとふせえりの田舎の夫婦ぽさや客予約ゼロの旅館なんかは好みだけど、「昔のアイドルの娘に群がる」鬱陶しさは、鬱陶し過ぎてあまり微笑ましく見守れずストレスが溜まってしまうし

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『麦子さんと』「それっぽく、チープに感じない」レベルのオリジナルアニメをきちんと作り込んでるのは良いんだけど、麦子が思ったほどオタクっぽくないのが中途半端。もっと全編に渡ってさりげなく（観客が一瞬引くくらいの）オタクぽさを出せば良いのに、いつもの「堀北真希」イメージは余り崩さない

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『麦子さんと』単行本を捨てられる下りもさ、あれ自分の身になって考えたらもっと怒るよ！放心するよ！引きずるよ！サイン本まで捨てるとか、もうもうあり得んよ！自分の趣味に置き換えられない人は、あのシーンを「親の他愛ない失敗」くらいに捉えるかもだけど、感情移入したらそれどころじゃないよ！

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『麦子さんと』ミチルさん（世話焼きおばさんで筋違いな当てつけされる眼鏡な麻生祐未、てのは良い！それはさておき）がBL漫画集めてるのも、「別に個人の趣味だし良んじゃね」くらいに思う人（ぼく）と「BLｗｗｗ 引くわーｗ」と思う人（こっちが作品の狙い？）とで受け取り方が全然違うだろうし

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『麦子さんと』狭い部屋に、麦子はオタク・兄はギャンブル…という他者から見て無価値っぽいものを…という構図・狙いはわかるんだけど、オタク趣味はとってつけたように見えてしまった。ひょっとしたら、ギャンブル好きの人とか『さんかく』なら車好きの人とかはそっちをそんな風に思うのかも知れんが

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『麦子さんと』やかましい目覚まし時計が大切なものだったとか、旅館の息子の横暴を観て無意識に頬を叩くとか、最大の伏線なんだろうけどあまりにもベタ過ぎて予想出来ちゃうんだよなあ。息子叩くのなんて、もっと早くて良いし（たこ焼きのところでもうダメだろ）。その後の仲直りとか、別に要らない…

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『麦子さんと』兄と麦子が泣くシーンは、母親死去後「全然泣かない二人」と見せておいてタメにタメてここぞという場面に持って来るのだが、兄がさらっと不意に！で上手かったのに比べ、麦子はタメ過ぎたかな。まあ、それでも泣いたけど。自分の母親が健在でも、テーマ自体にはどうしても泣いちゃったな

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『麦子さんと』ただその後の貯金通帳の下り、ダメ押しのお涙頂戴タイミングが微妙で、もうちょい早目でも良かったんじゃ、とも。まあ、井本タクシーからも解放された清々しい徒歩での帰り道に、「夢を応援」という感動と埋葬許可証という拍子抜けとが交互に訪れる可笑しさは、良い感じの脱力感があるか

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『麦子さんと』アニメショップ同僚の眼鏡っ子が合コンお誘いのシーンでやたら胸の谷間強調してたのってどういう意味だろ。合コン断られたときの地声含め、麦子よりオタクっぽいようでいて、中身は男が欲しい普通の女だし今日は露出高めで攻めるよ、みたいな？そこはリアルっちゃリアルな描写なのかなあ

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『麦子さんと』あの眼鏡っ子、顔見て若い頃の酒井若菜似だなと思ったけど、田代さやかと言う成程グラビアアイドルの胸だったのか。あと、超余談だけど、霊園の受付、顔が見えた瞬間に「あ！」と気付いたし、『恋の渦』の「男」と全く同じテンション・喋り方で対応していた松下貞治には笑ってしまった！