１月２６日の時系列のエンカログ

源 風香 @huka_tis

【１月２６日・田中さんと別れた後】

源 風香 @huka_tis

風香】すいすいと風香の横を人がすりぬけて行く。よけてもよけても前から次々に人がやって来る。人の川が流れているようだ。その誰もが知らない顔。顔は見えるが知らないからかにじんで見える。街の景色も確かにそこにあるのにどこか遠い気がする。

源 風香 @huka_tis

風香】このあたりへ来るのは初めてだ。どの道が正解なのかも分からず広大な迷路に迷い込み、自分だけ切り取られたようだ

源 風香 @huka_tis

風香】いつものことではあるが、中々慣れない。彼らも同じ人であるはずなのに自分とは違う、人の形をした別の何かに見えてしまう。立ち並ぶ街が切りそろえられた作られたものだということも痛烈に理解し始める。誰かと居る時は気にならないのに迷ってるとこうだ。

源 風香 @huka_tis

風香】きょろきょろとしっている道を探しながら歩く。どこへどう行けばいいのかも分からずやみくもに歩くしかない。

源 風香 @huka_tis

風香】早く帰って彼の顔を見たいのに、と思う。目的の無い迷子ならいいが目的のある迷子は段々焦ってきて余裕がなくなって来る。だからなのか道行く人にぶつかる頻度も増えてきていた。真っ黒なスーツの決められた規則の人たち。いくら歩いても知っている街には出ずここは本当に東京なのか疑いたくなる

霧島 庵 @noel_tis

休日の街中は賑やかだ。厚手のコートを着込んで来たが、風が少し冷たくて首をすくめる。日差しはあるので日向は温かい。せっかくの休みだし外に出よう、と特にあてもなく出てきたけれど、何処へ行こう。足を進めながら、きょろきょろとあたりを見渡す。

霧島 庵 @noel_tis

『SALE』の文字がちらほら見えるショーウィンドウの並ぶ通りには、ガラスに人集りが映っている。それに気付けば、なんとなくそちらに目を向けてしまい、わずかによそ見をして。

霧島 庵 @noel_tis

庵】すれ違う人たちは上手く人を避けて歩いて行く。触れれば無意識に相手を覗いてしまう自分にはありがたいことではあるのだけれど。

源 風香 @huka_tis

@noel_tis 風香】どうしよう、と辺りを見回しながら歩く。きょろきょろしているのが人にぶつかる原因だが、前だけを見て居るわけにもいかない。困ってきょろきょろしているとよそ見をしていた人とぶつかる。ただ、謝る心の余裕はなく、そのまま歩き続ける

霧島 庵 @noel_tis

@huka_tis 庵】マネキンに巻かれた柔らかそうなマフラーに目を留めて、そういえばしてくるのを忘れた、と自分の首元に手を添えるが早いか、どん、と人にぶつかった。「っ、あ……す、すみません」咄嗟に謝罪の言葉が口をついて出てる。ぶつかったのは長い髪の少女のようだ。

源 風香 @huka_tis

@noel_tis 風香】彼とぶつかっても歩いていたが謝罪の言葉が耳に届き、慌てて立ち止まって振り返って申し訳程度に頭を下げる。「いえ、すみませんよそみをしていて」急ぐ気持ちと比例して早口に言う。→

源 風香 @huka_tis

@noel_tis 風香】何処へ行こうか決めて居なかったので路地を曲がるか、近くの横断歩道を渡るか直進するか逡巡して進みだせない

霧島 庵 @noel_tis

@huka_tis 庵】ぶつかっても言葉を交わさないのは街中でもわりと見られるので、そのまま歩き出そうとしたところで聞こえた言葉に、なんとなくホッとする。「僕も前を見ていなかったので……。…あの…？」言って、首を緩く左右に振るが、立ち止まったままの相手に首を傾げる。

源 風香 @huka_tis

@noel_tis 風香】「いえ、あの、すみません大丈夫です」彼と目も合わせないまま返して何かを言われる前に近くの路地に早足で入りこむ。だが、道を聞いておけばよかったとすぐに後悔する。いつもなら出来るのに余裕がないからか思いつきもしなかった。今更戻って聞くことはできない

霧島 庵 @noel_tis

@huka_tis 庵】さっきは立ち止まらなかった相手が歩き出さないので何かあったのかと声をかけたつもりが、ぴしゃりと返されてしまった。思わず目を瞬かせる。「えっと…」ぶつかったときに少しだけ、何かに急かされているような感じをみたのだけれど、果たして本当に大丈夫、なのだろうか。

源 風香 @huka_tis

@noel_tis 風香】「……っ」結局、戻ることはせずそのまま路地を真っ直ぐ進み、最初の角を左へ曲がって歩き去る

霧島 庵 @noel_tis

庵】仕事ならさておき、追いかけて声をかけるだなんてそんな性分ではないしなあ、などと遠くなっていく背中を途中までぼんやりと眺める。やがてくるりと体の向きを変えて、歩き出した。

源 風香 @huka_tis

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霧島 庵 @noel_tis

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源 風香 @huka_tis

風香】割りと短い間にこの道に戻ってきた気がするが、実際はどうだろう。見慣れてきているのに知らない場所。異質な異空間のような、景色がねじ曲がっているような錯覚がする

霧島 庵 @noel_tis

庵】再びざわつく通りを歩く。葉を落とした木々を見れば少しさみしく感じる。人混みに埋もれて流されるようにゆっくりとあてもなく歩を進める。買い物をして、美味しいものでも食べて帰ろう、などと考えつつ。

源 風香 @huka_tis

@noel_tis 風香】さっきと同じか、それ以上に周囲の人々が見えない。ぶつかるたびに迷惑そうな顔を向けられることにすら気がつかず……さっきと全く同じように正面から、ぶつかる力はさっきよりも強く、彼にぶつかってしまう

霧島 庵 @noel_tis

@huka_tis 庵】黒っぽい服装で埋め尽くされた通りでは、一人ずつ姿形が違っているのにもかかわらず誰もが同じように見える。自分もその一人なのだけれど、そんな思考からふいに呼び戻された。一歩後ろに下がってしまいつつ、相手を見れば……先程の人物できょとんとする。

霧島 庵 @noel_tis

@huka_tis 庵】急いでいたようだが、まだここにいたのか。自分はまあ、男なのである程度耐えられるけれど、ぶつかってきた相手は大丈夫なのか。「え、っと、大丈夫…ですか？」また足早に去られるのではないか、と思いながらそっと声をかける。