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ふらぅだったかもしれない @Titanfang
「サヨナラ!」着地しザンシンするニンジャスレイヤーの背後、マクシミヌスは爆発四散した。油断ならぬ強敵であった。負傷にぐらつく足もとに転がり落ちたUNIX端末を拾い上げ、画面を眺めた彼は僅かに眉を顰めた。これはおそらくよからぬ陰謀。すぐに向かい、止めねばならぬ。 1
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【ダーク・アズ・ブラッド・スイート・アズ・ハニー】
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冬の日の休日、女子高生チナヨはダッフルコートに袖を通した。蜜柑を食べながらテレビを見ていた母親が目を離さぬまま声をかける。「女学生の家出が流行ってるって。アンタも気をつけなよ?」「やだなぁ、そんなことしないよ。今日はミミコとお買いもの」「夕飯には戻るのよ」「行ってきます!」 2
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アザシュ・ストリートの待ち合わせ場所に着いたのは三分前。二分半前に到着したミミコは寒そうに白い息を吐いていた。「付き合わせちゃってゴメンね?勇気、出なくて」「ううん、チョコ大事だもんね。ガンバロ!」もうすぐバレンタインデーが来る。女子高生にはとてもとても大事な日だ。 3
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奥ゆかしさを重点する日本社会では、女子から意中の相手にコクハクするのは、はしたないアバズレのすることだ。そんな窮屈な日本社会で唯一女子からのコクハクが許される日、それがバレンタインデー。ゆえに恋する娘たちはバレンタインデーをとても大切にし、好きな人へと心を込めてチョコを贈る。 4
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「チナヨちゃんは誰かにあげないの?」「ううん、私はいいよぉ。好きな人、いないし」「えーっ、ホントー?」楽しげに話しながら、二人はカワイイに溢れた通りを歩き、目指す菓子店へ。『スイートアマミ』雑誌でも評判の店だ。「甘味」「恋しさ」「カワイく奥ゆかしい」丸文字看板が購買欲を誘う! 5
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「イラッシャイマセェ」白い帽子の美人パティシエールが笑顔で出迎える。「恋が叶うチョコありますよ。味見しますか?」「「味見?」」二人は顔を見合わせた。女の子は甘くて美味しいのが大好きだ。「イカガ?」「「イタダキマス!」」トロリと口の中でとろけてうっとり、夢のよう…あれ?夢? 6
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パタパタと眠りに落ちた女子高生二人を見下ろして、パティシエールは邪悪な笑みを浮かべた。「あまーいあまーいチョコ作りましょ。あの人にあげる恋のチョコ」大きな白いパティシエ帽の下にはメンポ! まさか……ニンジャのパティシエール!?女子高生の生血でチョコを作ろうというのか!? 7
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二人の引きずり込まれた厨房には、白衣を着たクローンヤクザ製菓助手と、おお!見よ!家出したと報道されていた女子高生たちが拘束され、生血を抜かれているではないか!グラグラと煮立つ鍋の中には少女の生血と甘い蜜!なんということだ。この店のチョコがこんな風につくられていただなんて! 8
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「さぁ、もうすぐ出来るわ渾身のチョコ。待ってて私の王子様…!」邪悪なニンジャパティシエールの果物ナイフがチナヨの手首に!「Wasshoi!」突然飛び込んでくる赤黒い風!トビゲリでショーケース破壊!ヤクザ製菓助手無惨!「ドーモ、ショコラティエ=サン。ニンジャスレイヤーです。」 9
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「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ショコラティエです。何故私の名を!?」ニンジャスレイヤーは血濡れのUNIX端末を投げ渡す。「そなたがチョコを渡そうとした相手は、もはやこの世にはおらぬ」「マクシミヌス=サン!?」「自らの手であの世へ渡しに行くが良い!」カラテを構える! 10
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「くっ、かくなる上は…カカオ・ジツ!イヤーッ!!」「グワーッ!」大鍋で煮え立つチョコレートがアンコクトンが如くニンジャスレイヤーに襲い掛かる!熱くべたついた触手を避けようとして、彼は痛みに呻いた。先ほどマクシミヌスと戦った時の傷!「アハハ!手負いなのね!」熱いカカオが迫る! 11
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「イヤーッ!」「グワーッ!」聞こえた声に、チナヨは目を覚ました。「アイエエエ……」製菓助手ヤクザ、捕まった女子高生たち、飛び散るカカオ、戦うニンジャ。「どうしよう!ミミコ!!」揺さぶってもミミコは起きない。ミミコはチョコを二口食べたからだ!ああっ!赤黒ニンジャがカカオに! 12
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チナヨは厨房を見回した。チョコが危険だ、やっつけなくちゃ。そうだ!あれだ!去年のバレンタインデー、手作りチョコに失敗してフラれた原因って確か!「…イヤーッ!」ステンレスのボウルに水を汲み、煮え立つカカオにぶっかける!「ああっ!なにをする!!」水が混じるとチョコは台無しだ! 13
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赤黒のニンジャはボロボロになったカカオから抜け出し、パティシエールニンジャを窓から外へ蹴りだした。チナヨと目が合う。赤い目が小さく会釈。ぽうっとなって立ち尽くす目の前で、敵を追ってニンジャは窓へ…。「……チナヨちゃん?」「ミミコちゃん!よかった!怖かった!」 14
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それから数日、ミミコはトモロ=サンにオカキをプレゼントした。「変な子、って言われたけどチョコよりオカキの方が好きだからうれしいって」「よかった!」「チナヨちゃんは渡したの?」「ううん、わたしは…チョコはもうまっぴらだから」きっとあの人もそう思ってるはずだと、チナヨは思った。 15
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【ダーク・アズ・ブラッド・スイート・アズ・ハニー】おわり

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