市川 大河氏『ごちそうさん』第十九週呟きまとめ

【窮すればうどんす】 (きゅうすればうどんす) 《窮すれば鈍す》
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市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 竹元の元に現れる悠太郎の2カットに「頭上の灯」「背後の灯」が設置。「こんなもん!洞穴を電車が走っているだけじゃないか!」竹元はエゴで我儘を叫んでいるのではない。与えられた役割の責任。どうすればこの「非常時」に、互いが手を貸しあい笑い合える社会を作れるかへの挑戦、

2014-02-10 12:47:57
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「守るべきは人命」悠太郎は竹元にそう言い切る。竹元が求めていたものはきっと「ごちそうさん、と言われる建築家」の夢だったのであろう。しかし、悠太郎と竹元を引き裂いたのも戦争であった。一方で、食事を再開できた源太が、今度は社会を向きあうことになる。悠太郎と源太の未来。

2014-02-10 12:51:40
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 竹元を見放してしまった事を、しかし一人で悔いり続ける悠太郎。そして源太。二人の男が人生を狂わせられた社会に、それでも拮抗しようと足掻く。しかし、二人とも玄関を出られない(社会に出られない)男は少年のまま、それでも巨大な「国家」を無視できずに生きる。

2014-02-10 12:55:34
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 竹元に会いに行くめ以子。仲を取り持とうとしため以子を「ニッキ棒」と呼びながら、め以子の差し入れだけは奪い取る竹本。迎え酒でもりあがる源太と悠太郎。森下佳子流「男の子って分からない」が、女性作家ならではの筆で描かれ、男性視点からは不条理しか感じないが楽しげに描かれる

2014-02-10 12:58:52
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「泰介はいつか甲子園に行くって決めたらしいですよ」それは起きえない「いつか」戦争への、市井の人間の戦争に及ぼす戦争の「日常破壊力」は凄まじい物なのだ。太平洋戦争に繋がる流れの中で描かれる、多分最後の「裕福な『ごちそうさん』」

2014-02-10 13:01:49
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 今の日本が向かおうとしている「戦時中の日本」という時代の中。日本は巨大な領土を保有しながら調子に乗って世界を敵に回し、それでも退くことが危機ない袋小路に入り込んでいた。常識的に考えて、この緑色の戦線を守るのは不可能。 http://t.co/Q60yeFitGQ

2014-02-11 12:48:32
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん そんな時代の中でも「ごちそうさん」と呼ばれるめ以子。生きるための、肉体や活力、希望を生み出す「食」が、最初の犠牲になり、人と人を切り離していくプロセスが丁寧に描かれる。配給の食糧。飢えた子ども達。強烈な「オレンジの陽」を閉ざした中で小池を迎えるめ以子。

2014-02-11 12:51:42
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 『私は貝になりたい(59年)』ではもっと切迫して描かれる「何もない食糧難の中での食事」それはまだ、時代が最終的に切迫していないからか。我々の時代認識が甘いからか、食い倒れの大阪の話だからか。め以子の子ども達はそれぞれに「当たり前の疑問」を問う。和枝の不在。

2014-02-11 12:54:03
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「食べられない時に、いろんな人に助けてもらったんでしょう?」桜子のこの考えの根柢にあるのはPay It Forwardの考え方。それだけが本当の「社会の在り方」。婦人会の中で陽が当たるようになるめ以子に対して、希子「ごちそうさんという生き方はどんな時代でも一番」

2014-02-11 12:57:14
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 特高警察の調査「米は…あそこです」強烈なオレンジの灯が、め以子の背後や刑事の周りで強く色彩を放つ。この物語が抱える「オレンジの灯が織りなす『もう一つの物語』」を彩る。「他人の為に生きる事」が、さらなる他人の嫉妬を呼び覚まし、巡り巡って我が身を脅かす時代、それが戦争

2014-02-11 13:01:17
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 蔵の中に集められておいた食料。暗闇の蔵に、差し込む二条の灯(め以子と悠太郎)「食べんと生きていけへんのですよ!」め以子と悠太郎の素の反応同士の「ボケ・ツッコミ」が、「生きよう」といいう人の切実な意志の下で描かれて、微笑ましく機能する

2014-02-12 12:47:49
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん とうとう現れる「西門家の地下室」闇市という「誰もがやっている事」であっても、嫉妬や猜疑心がめ以子をじわじわ追い込んでいく。子ども達の為の「ごちそうさん」が辞められないまま、そこに希子の『少国民の時間』がながれる演出と流れのなめらかさ

2014-02-12 12:52:10
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 『少国民の時間』は戦前にNHKが定めた子どもの為の放送時間の事であり、戦後80年代前半までの間民放でも、テレビでも夕方の4時や5時になると子ども番組が再放映されたり、子ども向けバラエティが放映されていたのは、その名残であったのだ。

2014-02-12 12:54:18
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「ごちそうさん」と呼ばれる事と同等かそれ以上に、自己愛や、自分自身が蓄えてきた調理器具への愛情を捨てられない。作家の京極夏彦氏も語っていた「愛って結局執着なんですよね。ストーカーに近い」という。京極曰く「執着は地球を救わないでしょう(笑)」

2014-02-12 12:56:57
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん ハレーション気味の照明(屋外)の中、ストレスをぶつけ合ってしまうめ以子や主婦たち。それはコミカルではあるが醜悪な描写に至る。一方で、自分の「伝える力」が、確実に一人の少年を「人殺しの兵隊」へと進ませてしまった希子の葛藤「君達は御国の将来を担う大事な少国民なのだ」

2014-02-12 12:59:28
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「他人の為によかれと想い」自分なりに貫いてきた「ごちそうさん」という生き方を、勢いとストレスゆえに捨てると言いだすめ以子。まさにサブタイトルの「貧すれば鈍する」それは決して人の生き様に根付いた感覚ではない。国民全てを貧させたのは、個を殺す事でしか公を貫けない国家だ

2014-02-12 13:02:17
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 佐々木守「(かつての)テレビの午後7時台の子どもの時間、それはかつてラジオの黄金時代には午後6時台、5時台であった。この時間帯には放送局各社に子ども番組がひしめいていたものである。いうまでもなくこれは敗戦直後のNHKのラジオ番組『鐘の鳴る丘』から(続)

2014-02-12 15:48:48
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん(続)『新諸国物語』の伝統につながるものであろうし、さらに遡れば戦前の『子供の時間』戦中の『少国民の時間』へと結ぶこともできよう。(中略)とはいえ子ども番組は世の「良識」ある人々の眉をひそめさせる対象でもあった。「お手軽だ」「言葉遣いや行動が悪くなる」(続)

2014-02-12 15:49:00
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん(続)「ちゃんとしたものの見方や筋道だった物の考え方が出来なくなる」……などなど。(中略)こういったすべての批判を受け入れつつもぼくは思う。それでも「多数決」や「話し合い」を金科玉条に、戦後日本をこんな馬鹿な世の中にしたあなた方より(続)

2014-02-12 15:49:55
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん(続)子ども番組の方がよっぽどがんばって来た、と。そして、さまざまな意味をこめて、ぼくたちがまだ幼いころ親や教師からあらゆる媒体を通していつも言われてきた言葉を、今あらためて思いだすのであった。――「君達はお国の将来をになう大切な少国民なのだ」

2014-02-12 15:50:00
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「ごちそうさんをやめる」人は恋愛でも仕事でも「感謝の言葉」を求めるのは当たり前であり、それを求める事は決してエゴではない。エゴであってたまるものか。しかし希子が叫んだ「それがちぃねえちゃんの反抗じゃなかったんですか!?」その言葉は今の時代を生きる我々に突き刺さる

2014-02-13 12:47:14
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「御国の為に」元々「少国民」は「御国の将来を担う存在」として重んじられるべき言葉であった。それは決して「御国の為に」とは異なる価値観。そこで育まれた「少国民」が、どんな未来や社会を築くのかは、大人達がどんな社会で育んであげるかが影響して、独自に成り立っていくのだ。

2014-02-13 12:49:52
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん なぜめ以子は「めんどくさい」と、イデー論争を放棄したのか。まるで論理や筋がどこにもない存在のように振る舞って見せたのか。簡単である。め以子が目指し求め、突き進んでいた道こそが「人という生き物が選ぶ、当たり前の選択」であったからに過ぎない。

2014-02-13 12:51:53
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 戦時下「非常時」の名のもとに、歪められていく表現。捻じ曲げられていく発信。森下佳子は現代に、「これからのNHK」に、今を生きる僕達に問いかける。「焼き氷を生み出した『人の活力』を忘れていませんか? 社会とは、人と人が繋がって成り立つ物ちゃいますか?」と。

2014-02-13 12:54:52
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 馬介が、源太が、め以子達が「平和の時代の夢の思い出」を再び築こうと知恵をひねり合う。そこで苦悩する「焼き氷の再生」を成したのは、国家も国旗も国歌も関係ない「大自然」がもたらしてくれた雪にあった。「自分が書こうと思った事と違った話になった事」その違和感を希子が問う。

2014-02-13 12:57:54