市川 大河氏『ごちそうさん』第廿四週感想まとめ

【チョッコレイトな開戦】
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市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 食べる事は生きる事、生きる事だけが生きる喜びの根底を支える。「美味しく食べて感謝する事」が、唯一健全に社会を回していく不文律であり、それを守り抜くことが、本当の意味で自分の環境や背景、自分を大切に思う人達への感謝である。これは『美味しんぼ』でも変わらない作品の核

2014-03-17 12:47:46
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん それでも「国家」に、自分の存在性を賭けた米を奪われるめ以子。泰介と共に戻ってくるめ以子。ここでの室井のキャラ造形は、前期の #あまちゃん の影響の強さを想起させる。米を取られて罰金を払わされため以子の憤り。この時代の生存背景を知って、闇市を肯定するか否定するか。

2014-03-17 12:50:57
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 納得がいかないめ以子と泰介。め以子の項垂れた表情をピンボケして、母を見つめる泰介を映し出す。翌朝「借金、懐かしい響きやな」と静に送られて闇市へ向かう母子。しかし闇市はしばし封鎖。「世間の倫理」と「裏社会の理」が、め以子を闇市から排斥しようとする。どこまでも男社会。

2014-03-17 12:53:44
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「いやいやかがむわ!」「もう表に出んな!」「ショバ代ってなんのためにあるんですか!?」クドカンの影響を如実に受けた台詞劇ではあるが、その背景にあった、進駐軍の存在が示唆される。日本人はこの状態を、今も引きずって支配されている。「アメリカのせいで……」アメリカの属国

2014-03-17 12:55:40
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん GS介入による希子の放送検閲。終戦当時、日本を占領した米国GHQは、情報・軍事を統括するG2(通称・キャノン機関)と、民主政治化を推し進めるGS機関とに分割された。双方は日本統治に協力しつつ対立関係にあったが、当時のNHKを裏から統括していたのはGSである。

2014-03-17 12:56:39
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 戦争直後の有名な「米軍のチョコ配り」をも義憤で噛みつくめ以子。「人の一番弱いところついて汚いわ!」め以子と希子の憤りは、現代の原発や基地問題にも同じことが言えるのではないだろうか?ここでも森下佳子の筆による、社会の俯瞰を見て取る事が出来る。弁当販売を考案するめ以子

2014-03-17 12:59:51
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 弁当販売に至る中で、悠太郎との思い出の世界に視線を向けるめ以子。「それ」は幸せな時間であった。そこではめ以子も悠太郎も、ひたすらに「少しでも幸せになれますように」と、日々を願いながら過ごすだけであった。国家と戦争はそこから何もかもをも奪った。め以子はそれを取り戻す

2014-03-17 13:01:42
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 米を炊く手元とめ以子の顔のUPから入るコンテ。「屋根よりも食べ物・お金」という「正しい価値概念がめ以子を月後貸す。生きる事を笑顔ですごせっるだけではない事は誰しもが知るが、国家や社会に「笑顔の条件」を奪われし者は、ある種の裏ワザに走るしかない。

2014-03-18 12:47:53
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 希子の放送局にやってくるGSの大尉。当時のNHKにとって進駐軍のGS(民生局)は、戦時下の天皇よりも絶対的な存在であったが、広瀬正のSF小説『マイナス・ゼロ』等では、しおれゆえに真実を見抜き謎が説ける展開が描かれる。あと、ふ久の妄想が全開中なのは置いておこう(笑)

2014-03-18 12:50:52
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 急かれる子ども達の現状と未来への対応。「御祖母ちゃんバリバリ稼ぎまちゅからねぇ」これは大阪人の心意気「食い倒れ」が、反体制・反権力、そして人間の生きる権利を問うた価値観なのだと知る。め以子の弁当が米兵によって金になった。そして回りだす「め以子の『ごちそうさん』」

2014-03-18 12:54:02
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん タコと格闘するめ以子。「どんなに瓦礫と煙に包まれたセカイ」であろうとも、「生きる為に食べなければいけない。食べて笑顔になる」サイクルだけは守り抜くめ以子。人は国家や国歌や国旗の為に生きるのではない「生きる為に生きる」のだ。そこで笑顔を求める生きものなのだ。

2014-03-18 12:57:58
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子は家を守ろうとする。自分の生き様を、頑なに守ろうとする。源太ほどには楽観的になれないめ以子は、それでも「自分の料理を食べて喜んでくれる人が好き」を足掛かりに、わらしべ長者のように転がりだすめ以子の人生。そこに「共にいるはず」だった悠太郎。

2014-03-18 13:00:59
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 始まるバラック作り。意図的に暗めの照明の中で、差し込む陽光。そこへ現れるソウルフル竹元(笑)「どうなるんだ!焼き氷は!」人々が日常へ戻ろうとする社会。そうしないと人はそもそも「非日常」の中を生き続ける事は出来ない。「それ」を日常の代替にする事は出来ない。

2014-03-19 12:47:22
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 壮絶な体験を、以前と変わらず意気揚々と語る竹本の姿は、森下佳子による男性像のファンタジー。無人島論は、国家社会の全否定論。「そうだ!建てたいのだ私は!焼け野原で建て放題なのだ!」以前から評しているように、コントのような会話劇は#あまちゃん の影響だろうが直球で描く

2014-03-19 12:50:33
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 不在の悠太郎に拘るめ以子。再建される西門家が「戦前から半生を生き抜いため以子」を象徴する物になるだろうことが、源太の登場で示唆される。「窓が一つもないなんて斬新じゃないか!」窓から差し込む強烈な陽光を浴びて、竹元が叫ぶ。脚本と演出の妙味なコラボ。

2014-03-19 12:52:57
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 竹元以下「悠太郎の思い出」と共に、再建する建物のアイディアを語り合う一同のダイアローグ劇。コメディカルなディスカッションドラマでもあるこの話は、戦後安保闘争時期に大島渚監督達が興した「松竹ヌーベルバーグ」運動の象徴・パロディとなっているのかもしれない。政治用語羅列

2014-03-19 12:55:48
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「生きている」竹元が屁理屈で言い切る。悠太郎を罵倒し「そんな男を傍に置きたい神も仏もない!」そのロジックで悠太郎の無事を「証明してみせる」竹元。全作『あまちゃん』クライマックスでの、相米慎二監督リスペクトの1シーン一発撮りに対抗したのだろう「朝ドラヌーベルバーグ」

2014-03-19 12:58:39
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 悠太郎の生き様が、願いが、人生が、一枚のスケッチに込められていく。糠床ナメで写される一同。蔵屋敷の建設。それは『あまちゃん』での北鉄復興と同じように、全編のクライマックスを象徴して最期を飾る。最終コーナーを曲がるめ以子と悠太郎の物語。

2014-03-19 13:02:06
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 本作のメインライター・森下佳子は一年前の朝ドラ歴史的駄作『純と愛』の遊川和彦の弟子である。そういう意味で本作の全編執筆には、師匠の『純と愛』前作『あまちゃん』双方の模倣が随所に見られるが「居場所の再建と消えた男性の物語内復活」は遊川が大失敗した風呂敷。畳めるのか?

2014-03-19 13:05:29
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 進む倉座敷の準備。1カットの中に全員を収める群像劇。そこへ大八車を引いてやってくるめ以子。かつて自分が新婚時代に、和枝に自荷物を捨てられそうになった手段を。今度は自分が笑顔でこなすという対比。め以子は成長したのではない。明らかに「強く」なったのだ。

2014-03-20 12:48:29
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子の中に根強い反米感情。め以子はチョコを馬介に渡すが、それはPay it Forwardではなく、あくまでも反米感情である。その一方でバイタリティを取り戻しつつあるめ以子達だが、そこで「今を生きる為」なのか「大事な人を失った悲しみを忘れない為」に生きるか

2014-03-20 12:52:33
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「大和魂はどこへいったんや」そんなものは最初からなかった。カルトの洗脳用語でしかなかったのだ。そんな中でアメリカの政策が、希子の現場ですら「民主主義とは何か」を体現させていくことになる。それはGHQ内部の政治的対立ゆえのかりそめの民主主義だったが、民衆は驚く。

2014-03-20 12:54:58
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子の弁当がうごかしたGHQ。放送局を管理していたGSは民生局といって、民主政治化や平和憲法への道を日本に「教育」していた組織である。軍事強化を狙うキャノン機関とは対立していたが、その対立はめ以子達とは無縁に「人の喜び」がめ以子の周囲で回り始める。回れ!回りだせ

2014-03-20 12:58:08
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 生まれたところや 皮膚や 目の色で いったいこの僕の 何がわかるというのだろう もう昔に甲本ヒロトが叫んだ歌詞が、そのままにめ以子の気持ちに湧き上がる。活男と悠太郎。生まれたところも苗字も同じ「二人」がまだ戻ってきていない中で「その事」を知るめ以子。

2014-03-20 13:00:41
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん この物語は「階段」が、悠太郎とめ以子を結びつけるところから始まった。その階段が細やかなカッティングで写される技法は、膨大な時間の流れを示している。採光の良い建物と天窓。森下佳子の師匠・遊川和彦はちょうど一年前、この状態のから「夢の入れ物」を台風に破壊させたが。

2014-03-21 12:48:08