市川 大河氏『ごちそうさん』最終週感想纏め

【とんだごちそう】
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市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 最終回。終わりの始まり。悠太郎の行方と和枝の行く末だけが回収しきれていない中、満州の引き上げの話が出る。占領軍にして、現地で(集団としては)悪事の限りを尽くした日本人の引き上げは、現地の地元民の怒りを買いまくり、そこでの我先には凄惨を極めたという。待つめ以子

2014-03-24 12:47:00
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 満州で拘留されただろう悠太郎を待つと宣言する、凛とした表情のめ以子。そこから1年が経った中、忠犬ハチ公のように悠太郎を待ち続けるめ以子。静と泰介とめ以子の静かな朝食は、溢れんばかりの採光の中、グレン・ミラーがかかる。「それ」すらも今のめ以子には敵。め以子は溜めこむ

2014-03-24 12:50:18
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 室井の書く小説を感情論で否定するめ以子の姿は、この物語をして「こんな主人公(め以子)いるわけないさ」と嘲笑する視聴者への巧みな反論と抵抗。「いなければいけなかった」だけなのだ。戦争を経た日本、3.11を経た私達は、め以子のように「ごちとうさんという誇り」を戦いに。

2014-03-24 12:53:15
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん コメディタッチの室井の描き方は、森下佳子の「性差を越えきれない限界」を感じさせる。桜子の不在はあそこまで男性を激変させない。かつての駆け落ちに関する桜子の心境変化はスムースに描かれるのだが。全ての皆の生き様が「戦後民主主義の幻想」の中で回りだしていく。

2014-03-24 12:57:02
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん カメラワークと照明は、明確にロケーションの陽光の下で、影を感じさせずに写され続ける。め以子は戦争によって、悠太郎と活男と(かつての)ふ久、三人を殺された。なのでめ以子一人のシーンにだけ陰影が巧みにつけられる。家族を殺されたままのめ以子は迷走するしかない。

2014-03-24 13:00:06
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 戦後、シベリアで日本人拘留者に課せられた重労働の中には「建築物建造」というのも入っていた。その中には、今やオペラ劇場として世界的に有名な、ウズベキスタンの首都タシケントの「ナヴォイ劇場」も含まれる。悠太郎の建築家設定と希子の美声音感設定が、ここで交わる可能性もある

2014-03-24 13:08:05
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 悠太郎(建築家)のような「日本人シベリア拘留者」によって建てられた、希子のような者(オペラ歌手)が歌唄うためのナヴォイ劇場。その事を、室井のような児童向け作家が『ワシリイの息子』という著書で記している。

2014-03-24 13:17:15
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 芸術の世界ではモニュマンが最も大事という価値観がある。ラテン語で「個人や現象を永遠化させる事」ナヴォイ劇場には「1945年から1946年にかけて極東から強行移送された数百名の日本兵士が、このアリシェル・ナヴォイ劇場建設に参加し、その完成に貢献した」というモニュマン

2014-03-24 13:20:07
市川大賀 @ArbUrtla

しかし僕は一年半NHK朝ドラの実況を続けてきたが、#あまちゃん も #ごちそうさん も、肯定的な愛情あふれる意見が多く、その中に時折作劇や生きざまに否定的な意見があるというバランスだったのだが、こと #純と愛 に関しては、物語構造や遊川作劇を正論で肯定した意見を目にした覚えがない

2014-03-24 13:48:04
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん ラスト一週に来て、47年間鍛え上げてきた僕の「ドラマ脳」が「すごい物を見せてもらった」的な着地点に落ち着きそうな予感がしている。それは『あまちゃん』でも、言葉は違えど同じ台詞で賛辞するしかなかった状態。双方ともに、立派な「作品」として仕上がっていると言い切れる。

2014-03-24 22:45:11
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん あと5回。室井と女性ファン。覗く泰介。強烈な採光が部屋の中を包み、家の外の三人を包む照明は薄暗い。これはリアリズム重視の演出ではない。外が暗く、そこで驚くめ以子の顔でOP。桜子の登場なのか?と、セオリーでは思わざるをえない。

2014-03-25 12:48:01
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん やはり桜子。こういう時の「森下節女性」の強さという物は、理屈ではなく生理の部分で醸し出す事が出来る。この物語で「成長」した女性は一人もいない。どの女性も「強く」なったのだ。バイタリティを手に入れ強く社会に適応していく女性を「成長する」事と見る事は少し異なるのだ。

2014-03-25 12:50:50
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 仕組まれていた桜子の作戦。強くなった女性の生き様は、男性の浅はかな悪知恵などでは誰も欺くことなどできない。室井の心中と真実を理解していた桜子の想いは、即物的ではないロングスパンであった。人が焼け跡で何を生み出すのか。「酷いよ」酷くない。人はそうして試されていく。

2014-03-25 12:54:22
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 活男の死を再び重たく受け止めるめ以子。しかし詩人のアンリ・ド・モンテルランは語った。「人生は人を欺かないと。人生は人を一度も欺かなかったと」人は皆一人で生まれ、社会や国家や愛する人に振り回されながら、そして一人へ戻って生きていく。め以子は一人に戻って生きていくのか

2014-03-25 12:59:00
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 和枝のテーマの回収。物語世界は幕を閉じはじめる。『あまちゃん』は現代を舞台にしたからこそ「僕達のセカイ」へとその物語はバトンを受け渡された。しかし、め以子が生きた時代は遠く過去のもので、それでも僕達の世界に多く語りかけ続けてきた。全ては思い出の出来事として。

2014-03-25 13:01:03
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 人生を前にしてただ狼狽するだけの無能な、そして哀れな青春。だが今、最初の皺が額に寄る頃になって得られるのが、人生に対するこの信頼であり、この同意である、「相棒、お前のことならわかっているよ」と言う意味の微笑みだ。(続)

2014-03-25 13:07:00
市川大賀 @ArbUrtla

(続)#ごちそうさん 今にして人は知るのだ、人生は人を欺かないと、人生は一度も人を欺かなかったと。byアンリ・ド・モンテルラン

2014-03-25 13:07:05
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん が「あのドラマは時代考証がおかしい」と批判をされている訳だけれども。僕は「あの時代」を残念ながら生きていなかったので、仮に時代考証への検証や考察がなされてるまとめやサイトがあったら誰か教えてください。「~のはずがない」とかの主張は抜きにして。

2014-03-25 22:01:40
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 帰ってくる希子がロングで全員が撮られる。そこに2つの灯(め以子と悠太郎)GHQの民間情報教育局はCIEと呼ばれ、当時統治下の日本をGHQ内部で派遣を奪い合っていた「軍部のG2キャノン機関」と「民生局GS」との戦いの中に於いて、GS配下にあった機関である。

2014-03-26 12:51:57
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「野球」「甲子園」をキーワードに、走り回るめ以子や悠太郎。「GHQに市民の声を届ける事の大事さ。意義」日本では国会議事堂や首相官邸前で、3.11以降の反原発デモやTPPデモが何百回も行われてきたが、全て黙殺されてきた。森下佳子は軍歌まで謳わせて今の私達に活を入れる

2014-03-26 12:54:32
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 希子とめ以子のカットバック。何も言葉に出来ない、何も主張できなかった希子の心情が吐露され、その希子が今度はGHQとの戦いに挑む事になる。高校野球の未来を賭けて、銃なき戦争を戦う男子達。そこで出されるイジメのような腕立て計算は、かつてめ以子に課せられたイケズ。

2014-03-26 12:58:26
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子達「戦後民主主義の人々」とGHQを阻む「言葉の壁」その上で「最高の戦い」が提示される。愛する息子を殺し、最愛の人を奪ったままの「敵国」に対して「最高のもてなしをせよ」という命題。それが多分「戦後」をめ以子がのびやかに生きていくための最期の通過儀礼なのだろう。

2014-03-26 13:01:47
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 今日を入れて後3回。アメリカ人をもてなす「最高の日本料理」そこで「何を以て日本料理なのか」と自らに問いかけるめ以子。「日本らしさとはなんだ?」「この国とはなんだったのか?」「この国が保守というクラスタを必要とする時、その人達は何を保ち何を守るべきなのか?」森下節。

2014-03-27 12:46:59
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「日本」を求めて彷徨うめ以子。彷徨って彷徨って、きっかけを掴もうとして途方に暮れるしかないめ以子。父のアドバイスと横町の応援。「師匠、活っちゃん、宮本先生」既に亡くなった“愛する人達”に祈りを捧げるめ以子。当然その中に悠太郎の名前はない。

2014-03-27 12:50:11
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 手にしたアメリカ牛を手にして驚愕する一同。脂肪分の多い「霜降り肉」は、視点を変えれば「メタボの病気の牛」であり、アメリカなどで普通に食される赤身の肉の方が、健康的であり「本来の牛肉」である。それを見つめ「美味しそう」と感じため以子は「アメリカの本物」を扱う。

2014-03-27 12:52:29