市川 大河氏『ごちそうさん』十五週呟きまとめ

【今日でおわカレー】
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市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 加藤あいのアップから始まるアヴァンタイトル。加藤あいの出世作は、前作『あまちゃん』のクドカンが書いた実質の連毒ドラマデビュー作『池袋ウェストゲートパーク(00年』だった。その「ずっとずっと好きでした」ワンショットだけがアヴァンなのには、重要な心理効果を含んでいる。

2014-01-13 12:46:43
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「仕事がな?」すまない、いきなり数秒で前言撤回しなければいけないかもしれない(笑)しかし、それも「裏をかく」で本当に悠太郎が好きなのかもしれない。アヴァン出オチを(この話執筆当時の)『あまちゃん』を脇で見て思いついたネタなのかもしれない。それでも悠太郎は朴念仁。

2014-01-13 12:48:33
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 俯瞰でクレーン撮影(状況と客観)で写した市場から(顔を写さず)手元の食材に移るモンタージュが13分半の凝縮。竹本教授のエキセントリックさも、トリックスターぶりを発揮する辺りも、森尾下恵子がここ数年で一気に成長した部分ではあるが、教授ネタは腐女子ネタではない(笑)

2014-01-13 12:51:23
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子と悠太郎の間のカレー。アキ子を間に挟んで揺れるのは実は悠太郎の側というレトリックは女性作家ならではの地に足を付けた立ち方。め以子と玄太のエピソードにはない「ドラマティックへの渇望への代償として『男性の優柔不断さ』がレトリックとして用いられるの」は女性作品の常

2014-01-13 12:54:06
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん アキ子、悠太郎、希子、三人三様の「恋と愛の在り方」オレンジの灯の下で揺れるめ以子と紀子のところに、悠太郎が戻ってきたタイミングで「希子ちゃん不倫はあかんよ」で大れ九t歩に動揺する悠太郎(笑)祖母のナレーションにまで突っ込まれるが、男性が等しく優柔不断ではない。

2014-01-13 12:56:57
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「罪悪感って便利な言葉ですよね」祖母のこのナレーションのバックボーンにあるのはやはり、森下佳子が06年に書いた、純愛カップルピカレスクロマン『白夜行』が血肉になっているからだろう。悠太郎を一々試すような言動を繰り返すアキ子。人間模様が「南海やな予感するなぁ」

2014-01-13 12:59:15
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 最悪(笑)のタイミングでアキ子の存在を見つけるめ以子。これが明日以降のけん引力と、年末の予告にあった「二人の信頼関係を『試す』流れ」になることは確定。しかし冷静にパズルのピースを集めれば、事故まで計算して悠太郎がアキ子に近づくのは不可能だと分かるはず。

2014-01-13 13:01:51
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 陽光をフラットに受けるアキ子と、完全逆光で映し出されるめ以子。完全にゾンビ状態のめ以子の演技(笑)この辺りの脚本が書かれたのは、毎年の状況から行くと『あまちゃん』が放映されてどんどん話題になり始めた頃。年末までの展開が『純と愛』の影響下にあった事も併せて考察できる

2014-01-14 12:47:35
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 森下佳子脚本は『MR.BRAIN』辺りでもそうだが、朴念仁ラブコメディ調になるとギアチェンジがまた別の角度で加速していく。想像通りめ以子はヤケ食い(笑)玄太と室井の冷やかしにも反応せず「朝の診察室に二人きり二人きり!嘘ついてたのよ!」ダイアローグコントロールが完璧

2014-01-14 12:50:30
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 年末までの前半戦折り返しまでが、ある意味ストレスを溜めさせ過ぎる事で視聴者の気を引く「『純と愛』方式」だったのだとして、この微妙かつ絶妙な角度の転進は、しかし一切ブレないキャラ描写が路線変更的な違和感をもたらさない。祖母ナレーションも調子あげている(笑)

2014-01-14 12:52:49
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 必死にフォローする悠太郎の無理が、どんどん状況(とめ以子の状況把握)を悪化させていく絶妙なプランニング。「あかん、耐えられへん!」そしてめ以子は悠太郎を「寒色の光が差し込む部屋」へ放り込む。ここまでの色彩設計を全て逆算した演出の「繋ぎ」の巧みさ。

2014-01-14 12:55:18
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 一方で希子のストーカー騒ぎは暖色で彩られる。ほんわかした希子。そしてまたまた一方で、寒色の部屋でサシで向き合い口論をするめ以子と西門。俳優陣の演技も絶妙だが、め以子と悠太郎のカットバックと、全景煽りカットを入れるタイミングが絶妙。悠太郎の主張は屁理屈でしかない。

2014-01-14 12:57:26
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 翌朝、家族だんらんを低角度俯瞰で写す心象風景「これから朝は一緒に食べるから」「朝は……な」希子も静も正蔵も優しく声をかけるが、め以子は棘のある反応しかしない。「そもそも」論で言えば、嫁いだ頃のめ以子からは考えられないキャラと環境の変換。これが「女性」これがドラマ。

2014-01-14 12:59:47
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 多分、脚本執筆中に、脇で放映されている作品が『純と愛』から『あまちゃん』に変わったからなのだろうが、森下佳子女史の筆さばきが、13年内よりも年明けになってからの方が、軽快になってステップが軽やかになっている。枠を引き継ぐという事は「そういう影響」を受けるの事なのだ

2014-01-14 22:11:14
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 不服の種を積もらせるめ以子。「後ろ暗い人間は態度を変える」を契機に、疑惑を募らせるめ以子。その向こうにはアキ子なりの事情があるに違いない。馬介の店内には奥のドアから店内に向かって強い陽光が差し込んでいたのだが、ギャクギレしため以子は逆の画面手前に向かって去る

2014-01-15 12:48:25
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 静と正蔵の前で台所に向かうめ以子。悠太郎もめ以子との「弁当のコミュニケーション」を断絶させる。今週のめ以子に与えられたカラー「白」は、そもそも割烹着のイメージであったが、内水に失敗した図では白装束にも見える映像心理効果を産む。アキ子と悠太郎のシーンに陽は射さない。

2014-01-15 12:51:22
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 森下流に言うのであれば、悠太郎とアキ子は太陽の下を歩けなかった。その悠太郎が「美味しかった」と嘘をついてめ以子のところに戻る。刃物をリズミカルに使う狂気のめ以子。悠太郎の朴念仁ぶりは、女流脚本家の限界論の中でカメラから見切れていく。それをにらむめ以子。

2014-01-15 12:53:58
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子が戻るのは糠床にしかなく、それは俯瞰で描写される。め以子はいずれこの糠床を失う時が来るのだろう。それはここまでの蓄積が物語っている。正蔵の慰めにも焦燥して見せるめ以子。ならばなぜ悠太郎はめ以子を選んだのかへのエクスキューズが成り立たない事を正蔵が説く。

2014-01-15 12:55:49
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん ……と書いたその瞬間に、悠太郎がなぜめ以子を選んだのかを語りだす正蔵。しかしそこは女流作家のレトリック。「そこ」には女性が納得するロジックはないのだ。悠太郎がめ以子を選んだ「事実は動かない」人は心を揺さぶられた時に「動かない事実」を受け止められるか。そこが試される

2014-01-15 12:58:06
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 弁当の疑惑で頂点に達した「不倫疑惑」というこの手のドラマのありがちなガジェットが「空腹が鳴る」という動かない事実が証明せしめて「悠太郎への弁当」へと結実する、それが「ごちそうさん」の世界。そしてめ以子は悠太郎と決別を決意する。現実とはかくも残虐なものよね。

2014-01-15 13:00:40
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子と和枝の相似形的展開を、女性の森下佳子が描くからこそ巧いしロジックも成り立つ。同じ展開を男性作家が描けば当然「なに、女性は必ず同じ行動パターンをとるとか決めつけているのか?」になる。あと、キャベジ=和枝説は今のところ濃厚だと思われる。

2014-01-15 13:10:53
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「なぁんで?」ギャクギレするめ以子。ここでの悠太郎とめ以子の、ならんだ口論。め以子は常に右側に。悠太郎は常に肥立ち側に配置されて口論が描かれる。子ども向けヒーロー物でも時代劇でもそうだが、映像演出の基本として、視聴者の気持ちを担った「勝つ側」は右に配置される。

2014-01-16 12:47:31
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 代わって、馬介ではまるで舞台劇のように、中心に座っため以子を取り巻く玄太達。「そこ」には光源はどこにも設定されていない。いつもなら灯で照らされるか、窓から陽光が差し込むはずの店に、一切光が差し込まないのはめ以子の心象風景。

2014-01-16 12:50:00
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 悠太郎と正蔵。父にも息子にも決してなれない女性の森下佳子女史が、父子の深遠なシーンを描く。ここは多分、近藤正臣氏の力量が成せたシーンではないだろうか。一方、アキ子へ向かうめ以子は、本話初めての「きらびやかな陽光」を背に、不安な顔でアキ子へ向かう。

2014-01-16 12:53:06