中森明夫の松下竜一考

ｲﾜｻｷ @barbarmadrid

@a_i_jp 『ｱﾅｰｷｰ・ｲﾝ・ｻﾞ・JP』ついに入手！これから読むのだが、参考文献を見たら、なんと松下竜一『久さん伝』『ルイズ』まであるではないか。松下竜一も大杉のDNAをもつ作家だったと思う。

中森明夫☆新著『推す力』11月17日発売 @a_i_jp

松下竜一は『豆腐屋の四季』から『狼煙を見よ』『怒りて言う、逃亡にはあらず』のほうへ行ったのがすごいね。単なる左翼、市民運動家じゃない。地べたから人々の声をひろいあげるところから、実感的リベラリズムへ―アメリカだと近年亡くなったスタッズ・ターケルがこのタイプ。

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松下竜一『砦に拠る』もいいね。単なる反権力じゃない。地方君主の反中央、土着的ノーブレス・オブリージ…あの一徹ぶりは奥崎謙三をも思わせる。だけど一番泣いたのは『風成の女たち』だね。おばちゃんたちが故郷の海を守るため入水して体を張って権力と対峙するところ(泣)

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今度、川本三郎の『マイ・バック・ページ』が映画になるんでしょ？ 妻夫木聡が若き日の川本さん役で。60年代、朝日の記者だった川本氏が自衛官殺害の左翼青年をかくまった容疑で逮捕された件。ずっと川本氏は沈黙しとたのが、80年代後半になって文章にした。

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で、川本さん曰く政治的動機ではない。件の左翼青年がニューロック、CCRの『雨を見たかい？』なんか好きだと言うんで信用したんだと。西部すすむの『60年安保 センチメンタル・ジャーニー』も同タイプ。政治的ではなく若き日のセンチメンタルな出来事にすぎなかったと。

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だけど個的な趣味判断が政治性とは無縁なものなのかね？ たとえばリリアン・ヘルマンなんか保守的な育ちのお嬢様だけど、『ジュリア』じゃ友人のため反ナチ的行動を取ったり、赤狩りで友人を売るの拒否したり…まあ作られた神話だってメアリー・マッカーシーが猛批判してるけど。

ｲﾜｻｷ @barbarmadrid

@a_i_jp 僕は松下竜一では『狼煙を見よ』が忘れられない一冊。東アジア反日武装戦線狼部隊を、こんなにも優しく厳しく書いた松下竜一の思いの深さにただただ驚き感動した。

ｲﾜｻｷ @barbarmadrid

@a_i_jp 松下竜一から学んだこと。怒りの大切さ、世の中を澄んだ目で見ようとすること。しかし中森氏とツイッターで松下竜一氏について語りあえる驚き！なんだか世界はまだまだ面白いな。

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だから松下竜一／ターケル的な実感のリベラリズムは、川本／西部の回顧に見られる非政治的政治性と裏腹の関係にあり、両者ともとても魅力的でありかつ(その分)危うさを孕むものではないのかな？ という疑問は残りますね。

ｲﾜｻｷ @barbarmadrid

@a_i_jp なるほど。松下竜一の土着的リベラリズム、土の匂いのする文章には、あこがれもするがそれを完全に自分のものとは感じられない…とは思います。

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20歳頃、東中野の新日本文学会へ川本三郎・宇波彰の講演を聞きに行き(客10人ぐらい)、「川本さんの言ってることは知的遊戯にすぎず、現実変革の契機にならない」と異議を唱えたら「遊戯で結構！」と真っ赤な顔した川本さんに怒鳴られた。私も若かったな〜ｗ

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その後、僕らがやってたミニコミに原稿料なしで川本さんが原稿を書いてくれた。どんな小さな低予算の日本映画でも川本さんがあたたかい応援文のような評をパンフに寄せてたりする。こういうところが実は川本三郎の凄いところ。

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あの『リンダ・リンダ・リンダ』『天然コケッコー』の山下敦弘監督の撮る『マイ・バック・ページ』がどんな映画になるのか？ 妻夫木聡が『悪人』の次に演じる若き日の川本三郎がどんなものなのか？ 本当に楽しみ(^^)

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結局、松下竜一が歌人であるということが問題かもしれない。松下が『狼煙を見よ』を書いたのは企業爆破の大道寺らが獄中で『豆腐屋の四季』を読んで感動したことに端を発する。どうして日本の左翼は赤軍の坂口弘から重信房子に至るまで皇統に連なる短歌を詠むのだろう？

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村上春樹の『アンダーグラウンド』もカン・サンジュンの『在日』も方法論はスタッズ・ターケルのインタビュー集『仕事！』ですね。90歳を超えたターケルが9・11以降の米国人を取材した本に『希望』(文春文庫)がある。原題は「希望は最後に死ぬ」。つまり希望こそ最後の砦という意味。

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90歳のターケルが20歳のハーバード大学生をインタビューしている。ハーバードでは21世紀になって初めて学生たちが大学の清掃員や食堂従業員たちの待遇改善のためにピケを貼り、座りこみをやった。米国のトップ・エリート学生たちが、どうしてそんなことを？

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その学生は自分たちが学ぶ場所で働く労働者の価値に気づいたのだという。「どうして？」とターケルは訊く。すると学生は答える。「それはね、ターケルさん。あなたの『仕事！』という本を読んだからですよ」。この本でもっとも感動した場面でした。

ｲﾜｻｷ @barbarmadrid

@a_i_jp うむ。松下竜一が短歌から活動を開始したのは大事なポイントかもしれない。その短歌を含む『豆腐屋の四季』が刑務所の狼たちに感染する。刑務所は左翼に日本的情緒を植え付けるのか？大杉は牢屋で外国語を習得したが…考えると面白い。

ｲﾜｻｷ @barbarmadrid

@a_i_jp とはいえ松下竜一は、このまま埋もれさすにはもったいない。全集は刊行されたが…ノンフィクションの隠れた巨匠としてだけではなく、彼の歌人から、中森氏いうところの実感的リベラリズムへ、その振幅は、かなりスリリングかも。

中森明夫☆新著『推す力』11月17日発売 @a_i_jp

.@barbarmadrid そう、両義的ですね。政治的正当性だけで語ってもしょうがない。大杉栄と同じでまさに文学でしょう。全集・松下竜一の仕事における山口泉の解題にはやや政治的正当性の傾きを感じる。逆に沢木耕太郎や鎌田慧の解説は完全に文学的視点ですね。

中森明夫☆新著『推す力』11月17日発売 @a_i_jp

松下竜一『久さん伝』から『アナーキー・イン・ザ・JP』で孫引きしたギロチン社の古田大次郎の遺言「死よ！ さらば来い。美わしく、そして清らかに―」。その後、原典の古田『懺悔録』を入手して確認したら、えっ、こんな場所から引用したのか！ 竜一すごい!? と感嘆しました。

中森明夫☆新著『推す力』11月17日発売 @a_i_jp

昨日おとといの自分のツイート読み返したらけっこうすごいね〜。こんなこと考えてんだ、私。浅田彰からベンヤミン、ツヴァイクの。松下竜一にターケル、川本三郎か。へぇ、三島と春樹にライプニッツ症候群!? 大昔に批評空間で読んだきりなのに。よく言うよって感じ。

中森明夫☆新著『推す力』11月17日発売 @a_i_jp

私のしゃべりがこういう感じなのね。バーッとしゃべって翌日すっかり忘れちゃってる。ツイッターだと残るからね。あ、ちゃんと残しとけって助言ツイートもきたな。ツイログ？ 何それ？ わっ、勝手にまとめてくれてる人まで、いるよ、おい!?

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.@kazupy1961 へぇ〜、「中森明夫の松下竜一考」か。ありがとう！ こりゃ便利だ。あ、だけど個的な趣味判断が政治性と無縁でいられるかねってとこ抜けてない？ あそこ案外重要なんですけどね。ま、読む人が想像力で埋めてくれりゃいいけど。もともと思いつきのツイートなんだし…。

中森明夫☆新著『推す力』11月17日発売 @a_i_jp

誰かこの調子で私のツイート勝手にまとめて本つくってくんないかな？ そしたら内田樹センセイ並に著書の量産体制に入って、その上、小林秀雄賞も獲れるかもしんない…って、いくらなんでもそりゃ無理か、ははは(^O^)