藻類バイオ燃料の未来
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筑波大グループの藻類バイオ燃料の複合生産プロセス。二種類の藻類と既存下水処理施設の組み合わせて徹底的な効率化を目指す。
利点1:品種にもよるが、生成するのが炭化水素か脂質である。特に炭化水素の場合にはその特質が石油と類似しているため、既存の石油精製プラントや給油設備などをまるごと流用できる上、純粋な炭化水素が生産される場合には、脱硫等の工程が不要であり、かつ硫化水素等の環境汚染ガス源にもならない。
2014-02-13 23:26:52利点2:これまでのトウモロコシ等のバイオエタノールと違い、藻類は人類の食料と競合しない。 利点3:藻類は直接炭化水素等を生成するため、発酵プロセスの必要なバイオエタノール等よりも生産プロセスが簡易であり、生産時のエネルギー効率やコスト効率の劇的な向上が期待できる。
2014-02-13 23:27:19利点4:品種にもよるが、炭化水素の生産効率がバイオエタノール等に比して圧倒的(数桁レベル)に高い。 利点5:光合成藻類の場合には、CO2の吸収固定に利用できる。 (従属栄養藻類でも、栄養分次第ではカーボンニュートラルを達成出来る)
2014-02-13 23:28:22一方、難点も考えられる。難点1:生育条件が限られている。より強い太陽光、高温、高CO2環境が必要な場合があり、生育にエネルギー供給やCO2補給が必要になるケースがある。 難点2:従属栄養藻類の場合、有機養分、栄養塩の供給が必須である。海水、汽水等が必要になるケースもある。
2014-02-13 23:29:30難点3:他の藻類や雑菌などに晒されて負ける場合、生育が阻害され生産効率が落ちやすい。特に屋外での生産条件は非常に厳しく、稠密な管理が必要。 難点4:多くの藻類では、オイル生産とは環境ストレスに対する反応であり、良好な生育とオイル生産は相反し、そのバランスを見極める必要がある。
2014-02-13 23:30:58難点5:効率の良い藻類オイルの回収精製手段が確立しているとは言い難い。また、オイルが体内蓄積の場合、藻類を連続培養して連続回収することはできない。 難点6:オイル抽出後の藻類残渣や残存栄養分の「効率の良い」処分手段を検討しなければならない。
2014-02-13 23:31:25もどかしいのは、これら藻類バイオ燃料のエネルギー収支、経済収支の計算が非常にしづらい事。特に複合利用が前提になる事と、生産効率が藻類の改良に大きく依存するため、外部機関によるシミュレーションが非常に難しい。
2014-02-13 23:32:55現状、国内で藻類バイオ燃料に関する最新かつ確度の高そうなシミュレーションは、2012年に筑波大グループ自身が手がけたものがある。https://t.co/yvAUonsfyP
2014-02-13 23:34:02報告書を見ると榎本藻「モブラ」もそうだったが、2020年時点でトータルで100~200円/lの経済効率を目指す、というのが各グループのコンセンサスになっている模様。どれだけオイル生産へのエネルギー投入を控え、複合プラントでの効率化ができるか?が今後の開発のポイントになる。
2014-02-13 23:36:21また、早期の実用化には強力な事業推進体制が必要と論じられているが、特に榎本藻の様に事業化を前提とした民間が参入しているのは、ある意味心強い。ミドリムシのユーグレナなんてベンチャーもある。
2014-02-13 23:38:21(6)ところで、藻類バイオ燃料では「休耕田による大規模化」が語られる事が多い。これは、光合成藻類の成育はに「浅い水面」「潤沢な水資源供給」が必要な為で、休耕田はそのインフラを自ずと備えている事から、イニシャルコストの低減に資する、と考えられているから。
2014-02-13 23:41:19だが、榎本藻にしても、生産効率の向上を目指すと複合プラントが必要になるため、休耕田等で一気に大面積化、という訳にはいかなそう。という事。また、本邦は日照条件が悪く、温度、降水等の条件もあまり良好とは言えない為、特に光合成藻類には不利。
2014-02-13 23:42:01逆に、本邦は海水、淡水源は豊富であり、下水等の有機廃液や火発等のCO2源、余剰熱源も豊富である。これらを利用して、自国でオイル(炭化水素)を生産できるメリットは、輸送コストを別としてもエネルギー安全保障の観点からは非常に、非常に大きい。
2014-02-13 23:42:27(7)一方、藻類バイオ燃料の現在の目標は、高分子の炭化水素(オイル)の生産である事には注意を要する。これは、現状では生産されるのはオイルであってガスではないため、そのまま火力発電には使えず、原発の直接の代替電源としては使えない事を意味する。…新たに石油火発を作るなら別だが。
2014-02-13 23:43:17また、藻類によるオイル生産において、光合成藻類の太陽光エネルギー以外の資源が全て余剰資源である事にも注意を要する。余剰資源の持つエネルギーを超えるオイル生産は不可能だからだ。すなわち、藻類バイオ燃料だけでは国内のエネルギー需要は賄うのは困難。生産量も輸出困難なレベルだろう。
2014-02-13 23:43:51(8)余談だが、ここまで見てきた各株が(遺伝子組換えでない)株である事は、本邦の大きなアドバンテージである。これは、本邦が延々と蓄積してきた有用微生物の単離、育成技術の到達点の一つであり、かつ今後、(適切な)遺伝子組換えを行えば、さらに生産効率の向上が見込めるからだ。
2014-02-13 23:44:50(…そこ、他国の藻類バイオベンチャーなんか、安易に遺伝子組換えでの生産効率向上を目指して死屍累々じゃないか、とか言ってはいけない^^;;。)
2014-02-13 23:45:16まとめた当日にこれだよ!!~微細藻類をバイオ燃料に-Jパワー、大量培養へ研究設備http://t.co/BlGTI5Y3VD
2014-02-14 12:35:14