ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/26

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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@K_Ichida

#twnovel 歯磨きが嫌いだ。久しぶりに歯を磨いていたら、口の中から小さなおじさんが出てきた。「うるさいなあ」と怒って、また口の中に戻る。歯ブラシを動かすと出てきて怒る。その様子がかわいいので、僕は歯磨きが好きになった。

2010-10-26 02:10:39
(ゆないキズト) @Kyzt__

死んだら驚いた。死後の世界は生前の世界とまるっきり逆の世界だったのだ。人間は老人の状態で土の中から生まれ、80年ほどかけて若返っていく。赤ちゃんにまで戻ったら、穴の中に入って別世界へ生まれ変わるという…。 #twnovel

2010-10-26 02:24:05
hizmi @donkideouda

#twnovel 「最近夢見が悪くてさあ」「獏に食べてもらったら?」「お、それいいね」 「最近どう、よく眠れてる?」「ああ…最近はまた違う悪夢を見るようになった」「へえ、どんな夢?」「得体の知れない化け物が、世界を食い尽くす夢」

2010-10-26 04:19:10
土曜日 @doyoubi

#twnovel 私のこだわりその2は容姿。オバサン体型には絶対なりたくないの。ランニングもアスレチックもやってる。だからお店では私が目立つのね。釣り銭を渡すときに手を握り締めるスケベオヤジが何人かいるぐらいなの。その話をしたら彼、黙りこんで不機嫌な顔をしたわ。男ってバカね。

2010-10-26 06:10:04
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 図書館が水浸しになった。本が溶けていく。すると、インクがそこから染み出て来た。その黒い液体は、最初は薄かったけれど、だんだん一塊になり、最後に巨大な竜になった。そうしてそれは己の翼を使って、天に羽ばたく。一番上まで昇った竜は雨になって、僕たちの上に注いだ。

2010-10-26 07:03:13
浅葉積木 @tsumiki_a

ほんの悪戯心だったんだ。デートに遅れたフリをして物陰から彼女の様子をうかがいながら、わざと彼女の不興を買うようなツイートをしてみた。 俺は自分の愚行を悔いている。ツイートがTLに流れた瞬間の彼女の顔を、一生忘れられない。どんな顔だったかは……想像にまかせるよ。 #twnovel

2010-10-26 07:04:16
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 30年前に飲み忘れたホットミルクが、乱雑な机の上でまだ湯気を立てていた。カップに描かれたクマさんは笑顔のまま懇願する。もういいでしょ、もういいでしょ、ボクはミルクをまもったよ――。そっとクマさんの顔を指で撫でる。夢がおわるほんの少し前の、懐かしい再会だった。

2010-10-26 08:29:40
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 高度3万5千キロメートルの展望台で窓を外からノックしたのは陽気な天使だったが、地上に工具を忘れてきたエレベータ技師はちょうど途方に暮れている真っ最中だったので、身振り手振りで「またあとできてください」と伝えた。天使はそれを新しい祈りと勘違いして、優しく微笑んだ。

2010-10-26 08:42:29
@ttmmsys

私は長い間、自我について考えた。社会的には散逸構造体であり、生理学的にはホメオスタシスを持つ。客観的にはひとつの主体として認識され、そして主観的には支離滅裂なコラージュである。私は悟った。自我とは共有された幻想であり、本当の私とは #twnovel に投稿された文章なのだ。

2010-10-26 08:50:57
@_140

#twnovel 誰にも数えてもらえない羊が居ることに気付いてから、夜になかなか眠れなくなった。世界中が数えているのに仲間はずれが居るなんて。最初に数えてあげることにしたが、数え終わらない。皆が数えている羊も数えたいので、仲間はずれのと交互に数えてみたら、ようやく眠くなってきた。

2010-10-26 15:47:32
@KAGANOAKIBA

元カレとの関係を清算できずに結婚。夫は薄々、勘づいている。そして、赤ちゃんができた。 夫は隠れて遺伝子鑑定を依頼した。ばれない、絶対にばれない、あたしは、100%自信がある。 だって、、お父さんは、あなたの父親なのだから。。。。。 #twnovel

2010-10-26 16:18:09
@slowlamp

#twnovel 『注文の無い料理店』駅から20分ほど離れた処に新しくフランス料理店が出来ていた。たまたま通り掛かった由美子はランチタイムに入ってみた。由美子がテーブルに着くと程無くギャルソンがやって来てこう云った。「いただきます」。店内には、もう客は1人も居ない。

2010-10-26 17:31:48
@ssssankaku

油断した。一生懸命作った夕飯が散乱する。机をひっくり返した勢いのまま、喚き散らす我が子を呆然と見る。いつも通り冗談でフライパンで叩いただけじゃない。それだけなのに、なんで。ああ、この子は私の子じゃない。だから、私のせいじゃない。私はフライパンを振り上げた。 #twnovel

2010-10-26 19:24:43
@K_Ichida

#twnovel 家族がうるさい。食べたい物を食べさせてくれないし、着たい服も着させてくれない。家族に干渉されるのはある程度は仕方がないけど、うちは異常だ。最近では制服も着させてくれないのだ。それじゃ学校に行けない。「おばあちゃん、あたしのセーラー服着ないでって言ったでしょ」

2010-10-26 20:12:02
@K_Ichida

#twnovel 完全な密室を作った。誰も入ることも出ることもできない、僕をのぞいては。そしてその中には、僕が殺した女が横たわっている。このトリックは誰にも解けない。問題は、誰も死体を発見できないことだ。僕の快挙は誰にも知られず朽ちてゆく。

2010-10-26 20:16:42
@ideimachi

#twnovel 大げんかの後、家出した。『遠くへ行きます』置き手紙に不思議そうな夫。だって私は目の前。行くとこもお金もないから、心だけ。会話もメールも無視して三日、私あての葉書が届いた。『ごめん』で埋まった裏面にくすりと笑う。二人分、料理を作ろう。彼が帰ったら、笑顔でただいま。

2010-10-26 20:25:21
@K_Ichida

#twnovel 将来に夢を持てない僕は、親を殺すことにした。まず父を殺す。すると母に保険金が入る。それから母を殺して保険金を相続する。その金で遊んで暮らすのだ。計画たてて父を殺した。保険金が母に入った。だが、母は金を受け取るとそのまま若い愛人と逃げてしまった。大人はずるい。

2010-10-26 20:25:37
@chotto1koto

#twnovel プチトマト刑事が逮捕した容疑者には一人の娘がいた。刑事が諭す「娘さんにとってはお前が唯一の家族だろ。親と子、つまりトマトとプチトマトみたいなもんだ」。そのたとえが正確でない上に、誰も納得できないということを、まだ彼は知らない。

2010-10-26 22:25:42
@chotto1koto

#twnovel 寂しいので犬を飼うことにした。マルチーズ。だが家にやって来たのはどう見ても人間だった。「お前、人間だろ?」そう聞いても「違ぇーよ」と否定する。領収書をよく見たら「マルチネス」と書いてあったが、誤植なのだろうと思うことにした。

2010-10-26 22:42:27
@chotto1koto

#twnovel ピルと間違えてビルを飲んでしまった。「ピ」と「ビ」、半濁音と濁音。デジタル画面なら余計に分かりにくい。飲んだのは10階建のビルで、森ビルとかと比べればまだ低いほうだけど、それでも少し胃がもたれている。ビルの一階が宅配ピザ屋だったのも影響してるかもしれない。

2010-10-26 22:56:24
ジュン @jun50r

#twnovel 食事を終えた女性客に代金を請求すると、カラダで払いますと言われた。軽妙な冗談だろう。「貴女の手は皿洗いには不向きですよ」と返した。女性客は魅力的に微笑み、カードで支払いを済ませた。次の日、向かいの焼き肉店にその女性が入っていくのを見たが、二度と出てこなかった。

2010-10-26 23:39:16
穏やかに健やかに(๑´◡`)_旦 @chotto1koto

#twnovel プチトマト刑事は岸壁に立っていた。容疑者の女が涙ながらに告白する。夫の暴力に耐えかねて殺人を犯した女。刑事は黙ってプチトマトを差し出した。それを女は口に放り込む。その時のプチトマトが涙と潮風で丁度良い塩加減であったことを、まだ彼は知らない。

2010-10-26 23:53:47