ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/10/24

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 今日もプチトマト刑事がいい味を出してくれてます(笑) ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 続きを読む
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お惣菜 @n7k7

#twnovel 「つまり君は昨日道路で水溜りを眺めていて中に閉じ込められたと」「いいえ違います.昨日からずっとです.今も水溜りの中に閉じこめられています.元の世界はこんなに平板ではありません.私が手を伸ばせばすぐにアスファルトに届きます.なぜ先生はそれに気付かないのですか?」

2010-10-24 01:24:43
水銀灯 [音信不通綺譚會] @slowlamp

#twnovel その薬屋の入口に立っている幟には「バカにつける薬」と書かれていた。気になって薬屋に入り、店員に訊いてみた。「バカにつける薬ってなんですか?」「在りませんよ」「え?」「昔からバカにつける薬は無いって云うじゃありませんか」

2010-10-24 01:31:08
ぼろいねこ讃 @nekoboro

引力があるということは、地下にもぐる価値があるはずだ。きみが空を目指すなら、わたしは下へ下へ掘り進もう。成層圏できみが燃え尽きるのが先か、わたしがマグマに溶かされるのが先か、やってみよう。案外、再会したりするかもしれないよ。 #twnovel

2010-10-24 03:10:46
はとう哉 @hatou_kana

夕方、彼女と散歩に出かけた。公園のベンチで、星新一の書く作品はSFかショートショートか軽い口論になった。でも、ぼくが空に一番星を見つけたことを彼女に伝えると、彼女は先程の口論の結論を先送りすることにした。そして、夕飯はカレーライスだと、ぼくに言った。 #twnovel

2010-10-24 04:03:56
すずララ @suzu_joker

帰り道の電車。乃梨子は、志摩子の肩に頭をかけて眠ってしまった。そういえば、今日が楽しみで、あまり眠れなかったと言っていた。そんな乃梨子に、志摩子はそっとささやいた。「寝不足なの、乃梨子だけじゃないのよ」 乃梨子の頭に、志摩子の頭が重なった #mari_mite #twnovel

2010-10-24 05:52:48
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 豊かに肉がある背中と違い、指の甲にタトゥーを入れるのは皮膚が薄い分物凄く痛い。けれどその痛みから解放された時の快感が忘れられず、また、十本もあるがために次々と新しいものを彫りたくなってしまう。限られたスペースだから小さな文字を。十本合わせて一編の短編小説を。

2010-10-24 07:00:35
たくわん @takuwan_takusan

女性のことをもっとよく知ろうと女装を始めた。僕の性別はほとんどばれず、合コンではお持ち帰りされそうにもなった。ある日、久々に女装をせず外出すると、先日の合コンのときに出会った男が家の前に立っていた。彼は冷たい目で言った。――あんた、彼女の何? #twnovel

2010-10-24 09:30:42
ジュン @jun50r

#twnovel ドラえもんがまた便利な道具をだしてくれた。ぱんぱかぱ~ん!「マジコン!これを使うと無料で色々なゲームが楽しめるんだ」「え?だけど著作権は?」「のび太君、そんなものは未来にはないんだよ」と、のび太はドラえもんの後頭部にmade in chinaの刻印を発見した。

2010-10-24 11:46:56
Tohru Ishizuka @operahaus

「大群」声鳥の大群が西からやってくるというので街のはずれで待機するが、いつになってもやってこない。さては誤報だったかとぞろぞろと家に向うと、なにやら図書館が騒がしい。なかを覗くともうすでに鳥の大群にすっかり文字を食べられてしまったあとだった。 #twnovel

2010-10-24 12:04:37
すわぞ @suwazo

#twnovel 天国に一番近い部屋のベッドに少女は横たわっている。天国に近いものだから、天国へゆく寸前の死者がときどき迷いこむ。「お話を聞かせて」少女のお願いに、死者たちは自分の知る一番美しい話を語る。少女が寝つくまで。少女の命はもう長くはない。それ故にこの部屋は天国に近い。

2010-10-24 14:00:08
140字物語 @shortshortshot

地球から数十光年離れた惑星Gからの信号を傍受し始めてから百年余り。遂に両者はほぼ中央の宇宙空間で邂逅を果たした。「新たなる歴史の第一歩になるでしょう」「同感です」惑星Gの大使は続けた。「つきましては今までの電波受信料をいただきたい。もちろん分割でも構いませんよ」 #twnovel

2010-10-24 14:31:06
Tohru Ishizuka @operahaus

「本舟」ある夜のこと、新しい本を積んだ舟が図書館に着くというので出掛けると、舟のなかは空っぽ。集まった人たちに「さ、並んだ、並んだ」というので並ぶと、順に匣を覗けという。自分の番になり匣を覗きこむと、しゅるんと吸いこまれ、気がつくと図書館の書棚に並んでいた。 #twnovel

2010-10-24 14:57:48
nohironogi on earth @nohironogi

#twnovel 人類が系外惑星からの電波を受信してから、三年がすぎた。それは、そこそこ高度な文明を持つ種族からの通信だった。内容は、ロボットの設計図みたいだった。全世界の頓智が、そのロボット製作のために結集した。そうして、完成したロボットが言った。「トリック、オア、トリート!」

2010-10-24 15:27:43
@mozuku_tanaka

#twnovel いいからいいから。決まってお爺さんはそう言って、何度も色んなものを色んな人にあげてきた。挙句彼はもうあげるモノをもっていない。ありがとう。お礼にこれ。世話になった人たちが恩返しをしようとしたけれど、赤服を着た彼はいつものように、いいからいいからと微笑むだけだった

2010-10-24 15:39:41
@K_Ichida

#twnovel B子が身体天気予報器を買った。触れると身体の状態を報告してくれる。彼女が手を触れると装置がしゃべった。「手足など局部的に冷え込むでしょう」B子が冷え性だからだ。試しにあたしも手を触れてみた。「下半身に異常乾燥注意報が出ています」

2010-10-24 16:58:10
clum @clum_memo

#twnovel 女の子は父親との確執が強いものなのだそうです。それは、あたしも例外ではないのです。ロクでもない父親を見て育ってきたのです。わたしに甘い一方で、母を困らせ泣かせてばかりの父親を。だから、一途なあなたが新鮮に見えたのです。新しい「男(ひと)」に見えたのです。

2010-10-24 17:28:56
layback @laybacks

少年の空は四角だった。高さ20mはあるであろう石塀に四方を囲まれた砂場。そして四角い空。それが少年の世界の全てであった。砂場の隅には小屋がある。雨はしのげる。風は吹かない。少年は風を知らない。少年は少年の世界以外を知らない。足元の扉が開く。白い手に冷たいスープ。 #twnovel

2010-10-24 18:15:08
シンイチVR2 @shinichikudoh

「差別しない=無差別だよね」「間違ってはいないが、どっちも良い印象がない。差別の対義語は公平じゃないか?」「不公平=差別ってことか」「そうなるね」「無差別殺人は公平殺人で、差別用語は不公平用語でもいいはず」「どうも違和感があるな」「それは言葉差別じゃないのか?」 #twnovel

2010-10-24 20:15:06
@_140

#twnovel エレベーターのボタン表示はどの階も「いいね!」だった。適当に押すと上昇した。ドアが開いたので降りると、誰かをべた褒めするコメントで壁も音も占められていた。こりゃたまらんとエレベーターに引返す。下向きボタンを探すが「ツイート」と書かれたボタン以外に無いようだった。

2010-10-24 20:29:56
穏やかに健やかに(๑´◡`)_旦 @chotto1koto

#twnovel 現場付近でプチトマト刑事は聞き込みをしていた。殺された主婦の評判を聞く「あの奥さんならいつも庭の手入れをしててプチトマトとか作ってましたよ」。これで怨恨のセンはなくなった。プチトマトを栽培する人に悪人はいない…とも限らないことを、まだ彼は知らない。

2010-10-24 18:10:07
穏やかに健やかに(๑´◡`)_旦 @chotto1koto

#twnovel プチトマト刑事は裁判に出廷していた。検察官が聞く「張り込み中、被告が部屋に戻ったのは何時でしたか?」「あれは確か37個目のプチトマトを食べ終えた時なので午後8時50分頃です」その証言が裁判員にあまり信用されなかったことを、まだ彼は知らない。

2010-10-24 21:25:54
穏やかに健やかに(๑´◡`)_旦 @chotto1koto

#twnovel 犯人が発砲した弾丸がプチトマト刑事の股間を貫いた。足元にボール状のものがボトッと落ちる「たっ…玉がぁぁ!」だが、よく見ると撃たれたのはズボンのポケット。落ちたのはプチトマトだった…。この話が後に行きつけのスナックでの鉄板ネタになることを、まだ彼は知らない。

2010-10-24 22:41:50
德薙零己 @rtokunagi

#twnovel うちの太郎がバイクで事故を起こして警察に捕まったという電話があった。被害者は妊婦でこのショックで流産してしまったとのこと。示談にするため指定の口座に振り込むようにというのが警察からの電話だった。太郎は我が家で飼っている犬なのだが。

2010-10-24 22:14:08
じぇのば @sro_jnova

#twnovel 今日、旦那に太ったかと聞かれた。「少しね」と答えると「食べてる物一緒だし、何でだろうなぁ」と言われた。太った理由・・・それは単純です。貴方と結婚したからです。

2010-10-24 22:38:00
nohironogi on earth @nohironogi

#twnovel その洋館は傾いでいた。爵位を賜った家系というが、ひどい没落ぶりだ。現在は、当主の一人ずまいのはず。戸籍によれば、もう百五十歳。「有角さん、役所のものです」返事はない。苦労して踏み込むと、奥の部屋に棺を見つけた。何も考えずに蓋を取った。それが、永遠の夜のはじまり。

2010-10-24 23:06:24