百合マンガの消費構造~「桜Trick」の軽さの理由

「桜Trick」がどうしてあんなに軽いのか?その事情を「オクターヴ」「青い花」「ささめきこと」といった他の百合マンガ作品との比較で考えてみました。
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波のまにまに☆ @namima2

「オクターブ」「青い花」「ささめきこと」「桜Trick」。これ全部百合モノの漫画なんだけど、どれもこんなに「女×女」へのアプローチが違うんだよね。女性向けの「男×男」漫画にも、やはり多様なバリエーションがあるのだろうか?

2014-02-18 10:49:47
波のまにまに☆ @namima2

「女×女」漫画には、はりと顕著に「依存と自立」が描かれている場合が多く、「女×女」の関係性は女性の特有の「甘え」が見てとれる。もちろん同性同士の関係性ではあっても「タチ」と「ネコ」はいるわけで、「タチ」側の持つ男性性が「女×女」の関係性の永続を望まないパターンか、(続く)

2014-02-18 10:53:14
波のまにまに☆ @namima2

(続き)「ネコ」側の漠然とした不安と自立によって、関係性を破綻させる。「オクターブ」と「青い花」はわりとこんな感じ。ところがこれに「萌」の要素を導入しはじめると、とたんに関係性の永続が目的化する。「女×女」の関係性から「タチ」の男性性が排除されることによって、(続く)

2014-02-18 10:56:03
波のまにまに☆ @namima2

(続き)「女×女」の関係性が継続されることを望むようになる。ここで「萌」とは女性のかわいらしさを好むことと、その女性のかわいらしさの永続性を求める視線だとすると、「萌」が「ロリータ・コンプレックス」と同義になってくるので、わけがわからなくなる。(続く)

2014-02-18 10:59:43
波のまにまに☆ @namima2

(続き)「青い花」や「ささめきこと」では主舞台である学校という舞台を使いながらも、社会とちゃんとつながっている部分が多いため、「女×女」の関係性にある漠然とした不安や否定感を表現できている。ところが「桜Trick」には学校という主舞台以外がほぼ登場しない。(続く)

2014-02-18 11:02:36
波のまにまに☆ @namima2

(続き)「桜Trick」の原作1巻を読んで驚いたのだが、あまつさえ主人公たちのいる学校は3年後に廃校合併となる道筋が示されている。このことによって「女×女」の関係性に否定や不安を喚起させる要素を否定しており、主人公たちの思うままに「永続」まで望める状況ができている。(続く)

2014-02-18 11:04:56
波のまにまに☆ @namima2

(続き)つまり「桜Trick」にあからまさに表現されている百合の軽さは、社会性の排除に他ならない。問題敵の部分がまるっきり抜け落ちているから、その背徳的な部分を感じる必要性がないから、少女たちの思うままに「女×女」の関係性に埋没できる。(続く)

2014-02-18 11:06:59
波のまにまに☆ @namima2

(続き)そしてまた少女たちのかわいらしい百合の状況をながめる消費構造があるがゆえに、社会性が欠落した百合はジャンルとして消費されていく。「萌」の消費構造の一端には、「社会性の自発的排除」が不可欠であるのではないか? エロ同人漫画にも百合ものがなくならない事情でもある?(続く)

2014-02-18 11:10:10
波のまにまに☆ @namima2

(続き)「桜Trick」に特筆すべき点がもう一つあって、主人公たちの学園が廃校となるがゆえに、後輩が入ってこない。インターフェイスである主人公たちの関係性が保持される以上、関係性を揺るがす要素もうまく排除してしまっている。ところが先輩はまだいるのよね。(続く)

2014-02-18 11:12:21
波のまにまに☆ @namima2

(続き)ところが「桜Trick」における先輩たちというのは、この作品における社会性の象徴であり、「女×女」の関係性の背徳感に気付いている存在であるがゆえに、主人公たちの関係性にちょっかいを出して物語を彩りはするけれど、関係性に大きく影響しない。どこまでも排他的。(続く)

2014-02-18 11:14:46
波のまにまに☆ @namima2

(続き)最初の4作品に話を戻せば、道徳的な問題提起による話を重さを持つ「オクターブ」、それでも関係性より人の想いを重視する「青い花」や「ささめきこと」に比べて、「桜Trick」があきらかに軽く感じるのは、「萌」の消費構造と社会的背徳感の排除にある。(続く)

2014-02-18 11:18:46
波のまにまに☆ @namima2

(続き)しかも「桜Trick」には「女×女」の関係性に特化して、しかもより先鋭化させる設定があるがゆえに、より軽く、消費しやすくなっていると。今後の百合モノ漫画はおそらくこうしてどんどん消費されていくのではないかと。いやすでに「百合姫」とかの雑誌で消費されている現状なのかも(終)

2014-02-18 11:20:59
波のまにまに☆ @namima2

(追記)「萌」というのは純粋な女性らしさ(かわいらしさ)の鑑賞であり、主体からの男性性の排除であり、視線はあくまで男性性のみ(たとえ視線の持ち主が女性であっても)という構造が浮き彫りになる。しかもその女性らしさやかわいらしさとは視線側の独自性でしかない(続く)

2014-02-18 11:26:41
波のまにまに☆ @namima2

(続き)その視線の独自性ゆえに、同じ趣向の持ち主は横のつながりを欲してしまう、ネット環境の広がりと並行して、いわゆるオタクが水平方向につながっていくようになったのも、この「萌」の文化ゆえかと。個人の独自性がものを言わしていたオタク第1世代とは隔世の感がある。(終)

2014-02-18 11:29:56
波のまにまに☆ @namima2

ご指摘いただきました。「オクターブ」は「オクターヴ」が正解ですね。ごめんなさい。

2014-02-19 08:31:44
波のまにまに☆ @namima2

まとめてから時間をおいて気がつきましたが、「ゆるゆり」や「ひだまりスケッチ」、「かなめも」なんかもどれも百合っぽい。作中にはちゃんとタチとネコが出来上がっているし、どれも社会的なつながりが断絶されていて、背徳感を排除している。

2014-02-19 08:40:33
波のまにまに☆ @namima2

「ひだまりスケッチ」が意外に百合っぽく見えないのは、百合カップルであるサエとヒロが主体とならないからだが、2人の関係は実体としてはかなり百合なんだけどね。「ゆるゆり」や「かなめも」はあまりにも百合っぽくしすぎているけど、コメディ側にふることで、背徳感を逃がしている。

2014-02-19 08:43:21
波のまにまに☆ @namima2

「桜Trick」もそうだけど、こうした百合っぽい漫画やアニメには、物語の中で問題提起する気がまるでなくって、その関係性と萌としてのかわらいさを消費するだけ。「男×男」の作品群に残された背徳感は、もはや最期の砦なんじゃないか?

2014-02-19 08:47:14