#リプした人をサタスペ世界の住人にする

杉田KuKio @KuKioJYHKM

その中から札束を一つつかんだウッカリ・デスは、無造作にそれを王牙に投げ渡した。 ｢それは前金です。残りは依頼達成してからということで｣ ｢ずいぶんと気前がいいんだな｣ ｢獄では、現世の紙幣など無価値ですから｣ ｢違いない｣ #リプサタスペ

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｢……というか、まだターゲットが誰かも聞いていないんだが。先にそっちを説明しろよ｣ ｢ああ、それもそうですね。私としたことが、うっかりしていました｣ その名前で私としたことがもクソもねえだろ、と思ったが、優しい王牙は黙っていた。　#リプサタスペ

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ウッカリ・デスは、一枚の写真を王牙に見せる。そこにはごく平凡だが、なんとなく煽り屋っぽい青年が映っていた。 ｢彼の名は康一君（こういつくん）。中華街に住んでいるそうです｣ #リプサタスペ

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翌日。 中華街にある康一君のアジトには、二人の男がいた。 一人は、康一君本人。 もう一人はかつて伝説といわれた亜侠、鷲尾澄彦である。

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翌日。 中華街にある康一君のアジトには、二人の男がいた。 一人は、康一君本人。 もう一人はかつて伝説といわれた亜侠、鷲尾澄彦である。 #リプサタスペ

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｢スミさんさあ｣ ｢何？｣ ｢なんで俺の家にいるの？｣ ｢いや、言ったじゃん。家賃払えなくて追い出されたから、次の家見つかるまで泊めてって｣ ｢でもさあ、スミさんずっとうちにいるじゃん｣ ｢うん｣ ｢それじゃ金稼げないから、家見つけてもまた家賃払えないよね｣ #リプサタスペ

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｢そうだね｣ ｢駄目じゃん｣ ｢うん｣ そういうことになった #リプサタスペ

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そんな会話をしながら餃子をつついていると、突然窓を突き破って何かが飛び込んできた。 ｢あ、手榴弾｣ 次の瞬間爆発が起き、康一君のアジトは吹き飛んだ。 #リプサタスペ

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｢あーもう、なんだよ急に！｣ がれきと化した家の中から、康一君が姿を見せた。 ｢スミさん、大丈夫……死んでる｣ そういうことになった。 #リプサタスペ

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｢なるほど、そう簡単には死なないか｣ 鷲尾の死に動揺しているようでそうでもない康一君の元に、一人の男が歩み寄る。 王牙その人だ。 ｢ならば俺も、本気でやろう｣ 王牙の姿が、突如として変化していく。 顔は馬その物になり、足は10本の触手と化す。 #リプサタスペ

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｢その姿……。てめえ、屍人か！　いーや、屍人はこんな太陽が高いうちから動かねえよなあ～！　つうことは、話に聞いた仙侠か！｣ 王牙を敵と認識した康一君は、即座に戦闘態勢に入る。 ｢砕いちまえ、ナタク！｣ #リプサタスペ

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次の瞬間、王牙の頬を見えない何かがかすめていく。 ｢見えない攻撃……。なるほど、これがうっかり・デスの言っていた州胆道とやらか｣ ｢それはこの辺の中国人が聞き間違えた名前よ。この力は、側に立つもの……スタンドだ！｣ #リプサタスペ

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｢スタンド……俺のじいさんの親友の恩師の孫の嫁の後輩とはまったく関係ないアメリカの不動産王がつけた呼び名だ｣ ｢いらんやろ、そのボケ｣ 王牙は冷静につっこんだ。 #リプサタスペ

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｢特に恨みはないが、金のために死んでもらうぞ、康一君｣ ｢嫌じゃぼけーっ！｣ 王牙の触手による一撃と、康一君のスタンドによる一撃。 それが、同時に相手へヒットする。 #リプサタスペ

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｢グッ！｣ ｢ちっ！｣ お互いの攻撃力は、ほぼ互角。 となれば、すでに手榴弾で手傷を負っている康一君の方が不利。 康一君は、すぐにそれを理解した。 #リプサタスペ

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｢悔しいがここは……逃げるんだよぉーっ！｣ 康一君は逃げ出した！ むろん、王牙もただで逃がすわけがない。 だが、中華街は康一君のホームグラウンドだ。 裏路地に逃げ込んだ彼は、瞬く間に王牙の視界から消えてしまった。 #リプサタスペ

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｢くそっ！｣ 人間の姿に戻った王牙は歯がみする。 彼とてプロの端くれ。 すでに前金をもらっている以上、依頼は達成しなくてはならない。 ｢待っていろ、康一君。次こそは必ず……！｣ #リプサタスペ

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一方その頃、倒壊した康一君のアジトでは……。 ｢やべーわー。死ぬかと思ったわー｣ 死んだはずの鷲尾が頭をかいていた。 これぞ彼が持つ異能の一つ、【死んだふり】である。 #リプサタスペ

杉田KuKio @KuKioJYHKM

｢つーか家に手榴弾投げ込まれるとか、康一君どんな生活してるんだよ。さすがにこれじゃ住めないしなー。他に泊めてくれる人探さないと｣ 暢気な口調で呟くと、鷲尾は中華街の人混みの中に消えていった。 第1話　終 #リプサタスペ