無双の研究 2

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Problem Paradise @propara

【無双の研究004a】去年の詰パラ11月号短大に発表した作品について、たぶん解説を読んだだけではなんのことやらわからないだろうと思うので、なぜあの作品を作ったのか、その理由と創作過程を公開しておこうと思う。http://t.co/zoaeU2GCb3

2014-02-19 18:59:30
Problem Paradise @propara

【無双の研究004b】作意は、43飛成、同歩、36角、45飛合、同角、同玉、15飛、25角合、同飛、同飛、18角、27金合、同角、同飛成、46金、54玉、53角成、65玉、55金、同と、77桂、76玉、85銀、同成香、54馬、同と、85桂、65玉、66香まで29手詰。

2014-02-19 19:02:37
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【無双の研究004c】作意で、4手目の45飛合が飛先飛香、8手目の25角が角先角歩、12手目の27金合が金先金歩である。すなわち、形式的な部分だけで見ると、テーマは飛先飛香+角先角歩+金先金歩になるわけだが、狙いはもう少し別のところにある。

2014-02-19 19:06:40
Problem Paradise @propara

【無双の研究004d】そもそもの出発点は、「同じ意味付けによる、複数の不利合駒の組み合わせ」を考えようとしたことにあった。ここで言う「同じ意味付け」とは、打歩詰になる地点が同じで、不利合駒でもらった駒を打つことによって余計に発生したガードされているマス目が同じ、という意味である。

2014-02-19 19:10:21
Problem Paradise @propara

【無双の研究004e】ここで少し横道に。五代大橋宗桂の『象戯手鑑』第97番は、「双方角不成」の第1号局として歴史的価値があるとされている。作意は22歩成、同玉、28飛、同角不成、44角不成、31玉、22金、42玉、43歩以下37手詰。http://t.co/p4A0avLj5z

2014-02-19 19:28:02
Problem Paradise @propara

【無双の研究004f】もちろん、これはこれで貴重な一局なのだが、先手44角不成は将来43歩を打つためであるのに対して、後手28角不成は将来64に戻ったときに63歩を打たせないため。すなわち、打歩になる場所がまったく別。こういう作り方をすると、2局をノリで貼り合わせた感じがする。

2014-02-19 19:40:07
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【無双の研究004g】五代宗桂の双方角不成と比較していただきたいのが、宗看の『無双』第90番で、こちらは双方飛不成。http://t.co/mSMU1btwtj

2014-02-19 20:21:19
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【無双の研究004h】作意は27馬、38歩合、48金、同玉、57角、同玉、48金、同玉、38飛不成、47馬、57玉、58歩、同金、同飛、同玉、59金、57玉、49桂、同飛不成以下37手詰。

2014-02-19 20:23:49
Problem Paradise @propara

【無双の研究004i】もうおわかりだろうが、攻め方38飛不成も、受け方49飛不成も、いずれも58歩と打てるかどうかの打歩詰をめぐる攻防である。こういう作り方をすると、双方の不成が単なる足し算ではなく、一つの場所で有機的につながっている印象を与える。

2014-02-19 20:26:49
Problem Paradise @propara

【無双の研究004j】つまり、「双方不成」という表面的なタグだけでは見えないものを、宗看は見ていたような気がする。こういう例は、『無双』のあちこちに見出だせるものであり、だからこそ『無双』は現代に生きている作品集なのだ。

2014-02-19 20:29:50
Problem Paradise @propara

【無双の研究004k】そこで「同じ意味付けによる複数の不利合駒(応手)の組み合わせ」という当初の問題に戻ろう。つまり、単に「不利合駒(応手)を複数回やる」という足し算の問題ではなく、その複数に統一的な仕掛けを設定したかったわけだ。

2014-02-19 20:33:25
Problem Paradise @propara

【無双の研究004l】これをどうやって調べるかというと、まず後手玉を仮に55に置き、香から飛までの駒を王手に打つとき(ただし香銀金飛は歩との比較のため56に打つ)、55以外に発生する利きを図に書く。たとえば金ならこんな図になる。 http://t.co/0lXAxDYNnK

2014-02-19 20:38:46
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【無双の研究004m】角の場合は、44に打つとすればこんな図になる。ついでに、46に打った場合の図も作っておく。 http://t.co/RA0zkdyj0f

2014-02-19 20:40:35
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【無双の研究004n】こうして得られた香〜飛の利きを表す図を、2枚ペアにして重ねたとき、その利きが重なるマス目があるかどうかがわかる。その結果を表にしたのがこれ。 http://t.co/NNbVkObPMz

2014-02-19 20:43:37
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【無双の研究004o】この表で、「同じ意味付けによる、2種の不利合駒(応手)の組み合わせ」がすべて尽くされている。

2014-02-19 20:46:09
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【無双の研究004p】いちばんわかりやすい例は、この金銀の組み合わせだろうか。図で、○が金の利き、●が銀の利き、そして◎が金銀の重なる利きである。 http://t.co/SsRMyRhNzI

2014-02-19 20:48:28
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【無双の研究004q】この金銀の組み合わせは、正解者ゼロの記録を作った田島暁雄の69手が最初の例。ここでは詳解しないが、打歩詰誘致になる形はいずれも57銀(金)と打って、46に利きがあるため、35玉のときに36歩が打歩になる。 http://t.co/D0CPqvRIUa

2014-02-19 20:56:18
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【無双の研究004r】飛先飛歩+金先金歩+銀先銀歩+香先香歩(看寿賞受賞作)を作ったときに、素材のスケッチとして作った金銀の組み合わせによる拙作。発表する意味がないのでゴミ箱行きになったが、ここでお見せしておく。http://t.co/VVL6DvenT0

2014-02-19 21:03:28
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【無双の研究004s】拙作の作意は81飛成、83銀合、同成桂、同桂、73銀打、同金、同銀不成、同歩、85金、93玉、95香、同桂、94金、同玉、61馬、同角、85成桂、93玉、94歩、同角、同成桂、同玉、72角、93玉、83龍まで25手詰

2014-02-19 21:06:48
Problem Paradise @propara

【無双の研究004t】飛金の組み合わせの図。○が飛の利き、●が金の利き、◎が飛金が重なる利きである。57というお尻のマスがポイントになって打歩になる、というのはおもしろいかもしれない。誰かやってみませんか。 http://t.co/0jZxZDACE0

2014-02-19 21:11:54
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【無双の研究004u】ありそでないのは、角銀の組み合わせ。○が角の利き、●が銀の利きである。ごらんのとおり、2つが重なるマス目はない。 http://t.co/6wo3SEkHS4

2014-02-19 21:14:26
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Problem Paradise @propara

【無双の研究004v】前の表のうち、すでに作例がある組み合わせは飛香、金銀。残りの飛角、飛金、角金、角桂、角香は、この時点では例がない(ただし、これから述べるように、飛角、飛金、角金は短大の拙作が実現している)。誰かやってみてね。

2014-02-19 21:18:30
Problem Paradise @propara

【無双の研究004w】で、次にわたしが考えたのは、「同じ意味付けで、3種の不利合駒(応手)の組み合わせ」は存在するか?という問題だった。これは、すでに作った図と表からすぐに答えが出てくる。その組み合わせは、飛角金、飛角香の2通りしかない。

2014-02-19 21:21:02
Problem Paradise @propara

【無双の研究004x】飛角金の組み合わせを表したのがこの図。○が飛の利き、●が角の利き、×が金の利き、そして◎が飛角金が重なるマス目を表す。この組み合わせでは、この3枚の重なるマス目が66に限定されている。 http://t.co/6hwtW59sn5

2014-02-19 21:26:19
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Problem Paradise @propara

【無双の研究004y】なお、角を46に打つ場合には、飛角金の利きが重なる地点は57になる。もちろんこれでもいいのだが、創作現場的には不便。その理由は次に述べる。

2014-02-19 21:28:10