ゴリキドはスイッチを押す。ゴリジュゲイターの首の付根で積層対人地雷が炸裂した。先に取り付いた時、これを設置した。「アンギャアアアッ!!」飛び散った緑色のバイオ血液が、ゴリキドと、赤黒のゴリラ着ぐるみへと降り注ぐ。 25
2014-02-26 14:00:53だが、ゴリジュゲイターは未だ絶命してはいなかった。「ヨロシサンの/CEOになりたかった/生まれ変わったらなる」ゴリキドには意味を解する事叶わぬハイクを読み、ゴリジュゲイターは異郷の地に散った。 26
2014-02-26 14:01:52男は、椅子に座って部下からの報告を聞いていた。「ゴリジュゲイターの反応が消失しました。場所は、フルーツ・ピラー跡地です」「……そうか。戦闘記録は?」「取れています。ですが、対人戦で撃破されるようでは……」 28
2014-02-26 14:03:30「やはり失敗だな。予定通り、計画は終了。熱帯仕様クローンヤクザのデータだけ、本社へ送れ」「了解です」部下は部屋から退出する。……だが、男はそれを直前で呼び止めた。「なあ、相手は、どんな奴だった?」 29
2014-02-26 14:04:17「それが……その、赤黒のゴリラの着ぐるみを着た、奇妙な男だった様で」部下は困惑しながら答えた。何かの不条理から目を逸らす様に。「そうか」男は微笑む。「データ送信後、我々も日本へ戻るぞ」「ハイ!」 30
2014-02-26 14:05:15部下が退室した後。「神秘は、結局神秘のまま……か」そう呟き、彼は表紙に『バイオゴリラ計画』とタイプされた書類の束を、シュレッダーへと放り込んだ。 31
2014-02-26 14:06:25ゴリジュゲイターは死んだ。これで、街に少しはましな平穏が戻るであろう。……それが、例え僅かな間であろうとも。ネオキンシャサの肉食ホタル集団めいた明かりをゴリキドは見下ろしながらゴリキドは思う。 33
2014-02-26 14:12:48ゴリラは滅びた。だが、ゴリキドは生きていた。己の命の意味を考え、ゴリキドは戦い続ける道を選んだ。ゴリラではなく、一人の人間として。復讐ではなく、己の信じる真実のために。か弱き人々を社会の闇から守るために。 34
2014-02-26 14:13:27それが、ゴリキドの選択であった。時に卑怯な手段も取り、時に泥水を啜り、時に苦い敗北を味わい、……時には「赤黒のゴリラ」の存在すら利用する。それでも彼は足掻き続ける。その命が果てる時まで。 35
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