『アンネの日記』等の破損事件に寄せて

『アンネの日記』等のホロコースト関連本の破損事件をめぐる考察ツィートを時系列順にまとめました。随時更新していく予定。
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直立演人 @royterek

日本の言論上における反ユダヤ主義は「目立たない」水準を越えて久しい。露骨な反ユダヤ的なトンデモ説や陰謀論の類いは大抵の書店にも置いてあるし、ネットでもいくらでも読めるのだから。それでも「目立たない」とみなされ得るのは、標的にされる生身のユダヤ人が殆ど見受けられないからに過ぎない。

2014-02-24 19:47:38
直立演人 @royterek

「ユダヤ人不在の反ユダヤ主義」という現象があるが、日本の反ユダヤ主義は典型的なそれである。この点で日本に匹敵する国は世界のどこにもないだろう。

2014-02-24 19:49:00
直立演人 @royterek

ただし、アラブ世界や東欧諸国のように、ユダヤ人がかつてはいたが今は不在の国や地域を含めれば、その限りではないだろうが。@royterek:「ユダヤ人不在の反ユダヤ主義」という現象があるが、日本の反ユダヤ主義は典型的なそれである。この点で日本に匹敵する国は世界のどこにもないだろう。

2014-02-24 19:54:48
直立演人 @royterek

「ホロコースト否定を禁止する法律は、どの国にあるものではなく、その執行の程度は国によって異なる。しかし、ホロコースト否定を禁止する法律は、多くの自由民主主義諸国の法制度の確固たる部分をなしており、最高水準の法的見直しをくぐり抜けてきたのである」(E・ブライシュ『ヘイトスピーチ』)

2014-02-24 21:05:19
直立演人 @royterek

『アンネの日記』受容の歴史については、『ホロコースト大事典』の項目がなかなか参考になる。

2014-02-24 21:12:50
直立演人 @royterek

①「1970年代以降いわゆる「アンネ・フランクの神格化」に対する、(捏造説とは)別の、より信用できる批判が展開された。あいかわらず大衆はアンネを崇拝し日記を珍重しつづけたが、(ラジオ・テレビの)解説者は、彼女の名前とイメージの多用、頻繁になされる奇異な利用法を問題にした。」

2014-02-24 21:12:56
直立演人 @royterek

②「アンネ・フランクの賛美は「ホロコーストという大破滅を犠牲にした安っぽいお涙頂戴」の一形態であるという1962年のハンナ・アーレントの評言をしばしば引用しながら、批判者たちは、思春期のひとりのオランダの少女が「600万の犠牲者の声」を代弁しうるはずがない…と論じてきた」

2014-02-24 21:15:27
直立演人 @royterek

③「ドイツ人によるこのジェノサイドについてはっきり知らないうちに…直接経験しないところで終わっているアンネの日記は、この未曾有の歴史的大殺戮のおそるべき実態あるいは重大な意味を伝えていない。彼女の本はホロコーストにかかわる代表的なテキストとはいえないし、またそう呼ぶべきではない」

2014-02-24 21:18:00
直立演人 @royterek

④「ホロコーストの犠牲者のシンボルとしてもっぱらアンネにのみ焦点を絞ることによって、途方もない災いは、お尋ね者にされた人や無垢の子どもたちへの襲撃の一物語にすりかえられ、ひとつの民族と文化全体を滅ぼそうとした組織的な企図が忘れられてしまう、と批判者たちは論じる」

2014-02-24 21:19:57
直立演人 @royterek

『ホロコースト大事典』から今引用した部分で言及された批判は、専らアメリカで、しかもユダヤ系知識人からなされたものらしい。その中には、H・アーレント、B・ベッテルハイム、サンダー・ギルマン、G・スタイナーなどの蒼々たる顔ぶれがいたようだ。http://t.co/U1y8AjcAkG

2014-02-24 21:24:50
直立演人 @royterek

引用は控えるが、先に引用した箇所の直後に、一般に受容されたアンネ・フランク像(とくに映画や演劇を通じて流布したイメージ)に見られる脱ユダヤ化や非ユダヤ化の傾向に対する批判についての記述が続く。

2014-02-24 21:29:22
直立演人 @royterek

「アンネ・フランク伝説の中にはこれまで問題の多い利用のされ方をしたことがままあったにもかかわらず、彼女の書と遺産は永遠の価値を失っていない。日記そのものがひとりの快活な少女の繊細な観察力とすくすく伸びていく成長ぶりを証示し、深く人の心を揺り動かしてやまないのだが、→

2014-02-24 21:33:21
直立演人 @royterek

→また酷薄にも切り詰められてしまった彼女の人生に対する情熱も証示して変わらぬ深い感動を喚起するドキュメントなのである」(「アンネ・フランク」、ウォルター・ラカー編『ホロコースト大事典』柏書房)

2014-02-24 21:35:21
宇宙鳥 @uchuunitori

東欧在住です。今は不在どころか二重国籍を持って大いに活動しています…。@royterekただし、アラブ世界や東欧諸国のように、ユダヤ人がかつてはいたが今は不在の国や地域を含めれば、その限りではないだろうが。@royterek

2014-02-24 23:53:48
直立演人 @royterek

@igazsagutmutato 数的にかつてと比べて激減したというつもりでしたが、表現が足りなかったようです。

2014-02-25 00:09:30
直立演人 @royterek

『アンネの日記』事件、陰謀論の線では「在日特権」論との共通性が、歴史認識の線では『はだしのゲン』排除の動向とも類似性が見られる。

2014-02-25 14:44:38
直立演人 @royterek

未読ながら、フィリップ・ロスの『ゴースト・ライター』という小説では、アンネ・フランクが実はホロコーストを生き延びていたという劇中劇が展開されるらしい。彼女は、日記の刊行後、アメリカでひっそりと暮らすのだが、日記を書いた少女が自分であることを誰にも打ち明けられずに悩み続けるという。

2014-02-25 15:09:01
直立演人 @royterek

「ナチスによって迫害追及された人びとに関する…最初の導入書としてこの本が読まれるならば、かつてフィリップ・ロスが呼んだ「虐殺されたユダヤ人から奪われた、かけがえのない人生の年月」を思い起こさせる忘れがたい形見として今もかなり役に立ちうるであろう」(『ホロコースト大事典』)

2014-02-25 15:12:36
直立演人 @royterek

私がユダヤ研究に手を染め始めた1990年代後半には、「マルコポーロ事件」等はあったものの、日本における排外主義も反ユダヤ主義も今日ほど露骨なものではなかった。かつてとの違いは、ユダヤ人をめぐる歴史的事象が日本の現状を考える上で、残念ながら、極めて緊急性を帯びてしまうところにある。

2014-02-25 19:57:03
西岡昌紀 @nishiokamasanor

@royterek マルコポーロ廃刊事件と「反ユダヤ主義」の間には何の関係も有りませんが?⇒http://t.co/mj0s640kEk

2014-02-25 20:47:57
直立演人 @royterek

岩上安身「無邪気なホロコースト・リビジョニストー「ナチ『ガス室』はなかった」の筆者・西岡昌紀とは何物なのか?」(「宝島30」 1995年4月号 JICC出版)いまやIWJの創始者として大活躍中の岩上さんのこの論考、恥ずかしながらいま初めて読んだが、実に的確で非の打ちどころがない。

2014-02-26 01:05:13
直立演人 @royterek

ホロコースト否定論を一瞬でも信じかけた人がいたら、ぜひ今こそこの論考を読んでいただきたい。http://t.co/DaGw2I2HZd 『アンネの日記』をめぐる今回のような忌まわしい事件が起きてしまったのは、こうした真っ当な論考を易々とスルーしてしまう反知性主義の根深さ故だろう。

2014-02-26 01:14:32
直立演人 @royterek

西岡昌紀氏との対話を元にした岩上さんの論考を読むと、たしかに、この人物の頭の中では、ホロコースト否定論の彼流のお粗末な日本への「紹介」は、反ユダヤ主義とは何の関係もないという認識なのだろう。ホロコースト否定論が実際の生還者にどれほどの苦痛を与えるのか想像ができないのも想像できる。

2014-02-26 01:27:20
直立演人 @royterek

西岡昌紀氏のようなある意味でつかみどころのないホロコースト否定論者と、激情的な反ユダヤ主義者とでは、前者の方が比較にならぬくらい危険だと思う。というのも、前者による「科学的」ないし「客観的」を装った否定論は、一定の批判的な認識をもたない数多くの人に容易に信じられてしまうのだから。

2014-02-26 01:47:11
直立演人 @royterek

絶滅収容所からの生還率は限りなく低かったとはいえ、生還者とともに捕まったSSや看守も少なからずいた。彼らのうちの多くの者による無数の証言が、微細な部分では多少の誤差はあったとしても、一致して認めていたような基本的事実を、あたかも集団幻想を見ていたかのように断じることの途方もなさ。

2014-02-26 01:53:15
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