#完全ノープラン艦これ与太話 【エンカウンター・ウィズ・サブピーシーズ・オブ・キメラ・ツー】　#1～#2

春魔解丼 @vespiking

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山城は霧の立ち込めるオリョール海を1隻、歩いていた。西側エリアの敵艦掃討はほぼ完了したが、燃料や弾薬はかなりダブついている。飛龍を連れ帰ったついでに補給したぶんが余っているのだ。山城はそのまま、フラリと最深部へ足を運んだ。 #KZNPLN

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東部オリョール海最深部。ドーム状の岩礁に囲まれた、洋上の小さな隔絶空間。霧と岩礁で陽光は届かぬが、海底から湧き上がる霊的エネルギーの光が岩壁を照らす。思わず息を呑むシンピテキ・アトモスフィアが聖域に満ちていた。 #KZNPLN

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飛龍はここで『エンゲージ』……否、『ケッコンカッコカリ』を行い、大本営四天王クリタと壮絶な一騎討ちを演じた。山城は同席こそしなかったが、話にはよく聞いている。山城は、飛龍が真の意味で腹を割って話せる親友の1隻だ。親友の晴れ姿を想像し、しばしの感慨に浸る。 #KZNPLN

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最深部へ向かう道中、敵艦はほとんどいなかった。通常であればこの近辺には戦艦や空母部隊がおり、プラスアルファのインセティブにも期待できたのだが、居なければ居ないでそれでよい。静かにこの絶景を味わうのも、たまには良いものだ。 #KZNPLN

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山城はしばしリラックスした後、ゆっくりと腰を上げた。霧が深さを増している。濃霧は『猫』の兆候だ。厄介事にならぬ内に帰投しよう。重い艤装を軽々と担ぎ上げ、山城はシンピテキ空間を出る。日は既に暮れていた。 #KZNPLN

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……山城は気付くべきだったのだ。ここは狩場だ。敵艦がいないのは、既に狩り尽されていたからなのだ。霧中に棲まう龍殺しの狩人に。 #KZNPLN

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霧の中から突如、ジゴクめいた声が響いた。山城は身構える。声に驚いたのではない。反射的に身構えたのだ。おそるべき殺気を感じ取って。「……戦艦だろうが、関係ない。航空機を運用するなら、皆殺す」 #KZNPLN

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白い霧に浮かぶ黒い艦影が、ゆっくりと頭を垂れ、厳かにアイサツした。「ドーモ。CVスレイヤーです」 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【エンカウンター・ウィズ・サブピーシーズ・オブ・キメラ・ツー】 #2終わり。#3へ続く。 #KZNPLN