座礁艦隊　１　水陸機動団・独立機動試験小隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

妖精さんの技術力は超常的だ。けれど、艦娘自身は妖精さんの技術を扱えるわけではない。妖精さんがいなければほとんど何も出来ない。戦うことも、修理も、補給も、開発も。私たちが生まれる建造すら。にもかかわらず、私たちはこの小さな隣人たちのことを何一つ知らないのだ。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

妖精さんは管理法に違反することの他、艦娘に関係しないこともやらない。人間に従い、艦娘のためだけに尽くす。戦いや事故で消えても、いつの間にか戻っている。かれらは気にするそぶりも見せない。だから私たちも普段はまったく気にしない。建造された時から一緒にいるのだから。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

妖精さんがいなければ私たちは生きていくことすら難しくなるというのに。艦娘の生殺与奪権はこの、働きもののミトコンドリアが握っている。艦娘の創造主みたいなものなのかもしれない、と思ったこともある。何かの拍子に気まぐれを起こされれば、その瞬間私たちは、死ぬ。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

巻雲のことだから、妖精さんを手なずけようとしたことはあるんでしょ。 「もちろんです」 胸を張る巻雲。餓鬼みたいな体型のくせして地味に胸があるのが忌々しい。 「結果から言うと、無駄骨でした。こいつら説得も懐柔も脅迫も効かないんです。ホントにいろいろやったんですよお？」 #座礁艦隊

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その分だと拷問まがいのこともやったんじゃないの？ 妖精さんもよくクーデター起こさないわよね。 「そこが可愛くもあり小憎らしいところでもありますねえ」 巻雲は鋼材バーをいっぱいに頬張り、燃料を含んで口内でくちゃくちゃ混ぜた。汚い。目を逸らす。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「お二方は、ずいぶんと妖精さんのことを考えるのでありますね。実に、不可思議であります」 もそもそと鋼材バーをかじるあきつ丸の一言で、私はハッとした。人間が自分のミトコンドリアのことで思い悩むことなんてない。反乱を起こすかもなんて、それこそフィクションの読みすぎだ。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

案外私たち、そこんとこは似たもの同士なのかもね。ねえ巻雲。巻雲はあからさまに、げぇーっ、という顔をした。 「あなたと似てるう？ 死んでも御免こうむります」 言うと思ったわ。昼食の分を全て食べ終える。さあ、ちゃっちゃと目標を撃破して、演習終わらせましょう。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

青空の向こう側にもくもくと茶色い煙の層が立ちこめている。予報では午後から砂嵐が吹くとのことだが、当たったようだ。全員ガスマスク装着。戦闘機関の吸気にもフィルターを付けて。砂嵐に乗じて拠点Bを強襲するわ。 「白兵戦してもよろしいですかあ？」 却下。武装解除に留めなさい。 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

あきつ丸、アンタはどうするの？ 「自分はこのまま、叢雲どのに同行するであります。武器は、拾ってきたものでよろしければ」 背嚢に引っ掛けていたAKライフルを出してくる。ま、交戦距離は短くなるから、いいでしょ。じゃ移動開始。気どられるな。 「了解」「であります」 #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

<aground fleet> #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

<you ran aground> #座礁艦隊

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

<good luck> #座礁艦隊