子ども短歌：最終シリーズ（上）

村井ニボシ @niboshi2000

わけりゃ二つの朝顔なれど～、一つにからんで花が咲く～♪　だいぶ間が空きましたが、子供短歌やります。久しぶりに、サボれる時間ができたんだ。

村井ニボシ @niboshi2000

信長は　明智光秀に　ころされる　しかし今でも　骨みつからず（中央小4年）　評：歴史のミステリーにハマったんだね。「信長は明智光秀にころされる」っていう深みのないまとめ方がすごくいいぞ。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

おちこんで　なきそうになる　こころでも　うみをみてると　けいきつけられ（あさひ小4年）　評：都市生活にどっぷり漬かってる身としては、自然に精神を救う力があるということにはどうしても懐疑的だが、「けいきつけられ」という箇所が魅力的だ。元気じゃないのね。波の三々七拍子。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

おやじたち　若い子どもに　目がくらむ　キモイと言われ　号泣する（鹿追中2年）　評：どういう状況なのかよくわからんけど、なんかドキッとしちゃうわ。そうだよ！若い子供が可愛いと思うよ！　目がくらむよ！　キモイのはわかってるけど、それでも！　ある種とても若者らしい歌だな。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

れおの画像　見せろと言われて　見せたらさ　きもいと言われて　へこむのがオチ（開成中2年）　評：我々はみな、キモいと言われる恐怖と戦っている。「れお」何かのキャラクターか。ケータイに保存してるんだろうけど、見せたらキモいって言われるよなー。好きな物を好きと言えない。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

たくさんの　想いをのせた　この手紙　切手をはらない　手渡しだから（寿都中2年）　評：最優秀賞（4作品にだけ与えられる栄冠）に選ばれてたやつ。「切手をはらない手渡しだから」という愚直な言い方に、これから死地へ挑む者の緊張感があらわれている。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

二人して　雨の日ブランコ　こいでいる　次の日雨晴れ　また遊ぼうよ（山の手小6年）　評：雨の日でさえも共にブランコをこいだ仲だ、明日が晴れるなら、そりゃあまた遊ぶだろう。そ知らぬ言い方で高らかに友情を歌う。君たち、無限だな。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

社員旅行　エッチスケッチ　ワンタッチ　意味のわからん　社員旅行（糸井小6年）　評：じょ、状況が分からん。社員旅行に子供がついてくってこともあるのだろうか。で、酔った部長がセクハラしてたんすかね。意味は分からなくても、その微妙に淀んだ空気を感じ取ったのだろうか。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

短歌には　ふしぎな力　あるんだね　つくるもよいが　読むのもよいな（中の島小4年）　評：申し訳ないけど、期待されるようなパワーはないよ！　中身のない短歌をありがとう！ #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

窓からの　景色のぞきて　考える　分からぬ答え　山に教わる（樹海中3年）　評：わかる。授業ねむいし頭働かないからボーッと外を眺めてね、「あの葉っぱにも二次関数とか三次関数とか使われてるんだし、自然の神秘を教示してくれないかなあ」ってね。青春の2、3割がこんなんですわ。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

天の上　行ってみたいな　羽根つけて　天使になりたい　パトラッシュ（明成中2年）　評：羽がはえて飛びたい願望。でもそれ、死んじゃうやつだから！　最後に入れた、まさかの「パトラッシュ」のお陰で、1レベル上の短歌になったね。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

うれしかった　かぞくぜんいん　おうえんに　のれたのれたよ　ほじょとれた（星置東小1年）　評：そうだ、自転車の補助輪が取れるという喜びは、確かにあった。それだけのことに家族全員が応援に駆け付ける。ジブリ映画のラストシーンのような祝祭の感覚。私が取れたのは小2だったなあ #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

秋の味覚　さんまにくり　たくさんだ　まるで日本の四季のよう　秋はいいな（上野幌東小5年）　評：あのね、秋は、四季のひとつだよ。あと字数守る気ねえなお前。この小学校から出された短歌はこれ一つだけ。組織の力ではなく、こいつは自分の意志のみでこれを応募した。それがすごい。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

友だちと　さけびながらの　ばけやしき（大谷地小5年）　評：どこからか要望があった気がしたので、「これ俳句じゃーん」ってやつ。ルールを守れなかったくせに、ちゃんと字数は合わせようとしたせいで、「ばけやしき」という珍語が生まれた。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

夏休み　ロンドン五輪　金七こ（大谷地小5年）　評：短歌コンテストに応募された俳句シリーズ。短歌を募集するのにはちゃんと理由があって、5・7・5だけだとどうにも空虚なんだよね。なんだろう、この無の味は。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

夏休み　はこだてに　行った（大谷地小5年）　評：ついに俳句ですらなくなったシリーズ。「夏休み、函館に、行った」なんかすごい重い情感。ヒロシマの原爆を描いた映画の、しょっぱなのモノローグみたいだ。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

これひどいな！　「夏休み　はこだてに　行った」　ひどい！　ひどすぎる！

村井ニボシ @niboshi2000

おおかみは　今日も生きる　そのために　家畜を狩りて　死肉を荒らす（紀見北中2年）　評：素晴らしき哉中二病。中学生ともなれば狼に憧れるものだ。「餓狼」「銀狼」「一匹狼」どれもかっこいい。でも家畜を狩って死肉を荒らすってのは、人間にするとどういう生活なのだろうか。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

一日は　二十四時間　短いな　もっと長けりゃ　おれはうれしい（苫前中1年）　評：私もそう思うけど、1日が30時間になったら、どうせその分長く働かされるんだよな。ああ、自分の時間だけ長くならないものですか。あと老化も遅く。 #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

今日は次でおわりー。

村井ニボシ @niboshi2000

バイオリン　上にのったら　こわれたよ　ままにおこられ　ベッドにもぐる（函館三育小4年）　評：「バイオリンに乗ったら壊れた」←当たり前だ。「ママに怒られた」←当たり前だ。「悲しいからベッドに潜る」←当たり前だ！　ごく自然な流れの中で、バイオリンに乗ったことだけが異常！ #tanka

村井ニボシ @niboshi2000

惚れて通えば千里も一里～、逢わで帰ればまた千里～♪　また次回。このバイオリンの短歌も、この学校唯一の短歌なんですよ。すごい。一発でこれなのが半端ない。