レイズ・ザ・フラッグ・オブ・ヘイトレッド #2
「ははあ、解ったぞ。これは一大事だな」部長はしきりに頷いた後、新しい葉巻に火をつけさせる。「つまり君は、革命的暴力も攻撃的ハッキングも無く、音楽の力だけで社会変革を起こせると本気で思い込んでる、自己満足のイディオットか?」「ああそうだ、ファック野郎。最初から言ってるだろ?」 46
2014-03-27 18:46:40「イヤーッ!」秘書が再びヌンチャク!「アバーッ!」「……本当ならますますタダで釈放するワケには行かんな。他に首謀者がいるのか。もっと賢い奴。周波数を探り当てた奴が……」「ヘイ、要するにお前らは、俺しか逮捕できず、もっと情報が必要って事か?……教えたらマジで俺を釈放するか?」 47
2014-03-27 18:55:41「……ああ、君はまだ生きてたのか?釈放するとも。すぐにね。何なら、数百万円ほど、ポンと手渡してやろう」部長がタニグチを睨む。「ヘッ!」タニグチは不敵な笑みを浮かべ、サイバネアイの視点操作で非接触IRCタイピングを行った。『バクハツ』と。「安心して死ねるぜ!マザファッカ!」 48
2014-03-27 18:59:35ナムアミダブツ!タニグチの胸から警告アラーム音!タニグチは脳内UNIX経由で、自らの胸部に搭載したハラキリ自爆装置を作動させたのだ!「アイエエエエエエ!」「アイーエエエエエエ!」その場に居た全員が、爆発に備えて身を屈める!「ざまあ見やがれ!マザファッカ!」タニグチは笑う! 49
2014-03-27 19:04:15だが……ピコピコピコピコ……キューン…。警告アラームは減衰!「おい、何だこりゃ」タニグチは自らの胸に問いかける。「ハハハハハハハハ!」「ハハハハハハハハ!」その場に居たタニグチ以外の全員が立ち上がり、手を叩いて笑う。「その件については報告済みで、解除してある」部長が笑った。 50
2014-03-27 19:09:23「ファック……!俺を笑い者にするために、芝居を打ったか?」心の中でハイクすら詠み、死に備えていた彼は、ほとんど放心状態で頭をもたれた。「その通りだ」部長が冷酷な声で告げる。「クズの名誉と自尊心をとことんまでファックして、いたぶるためだ!最終的に、君は笑って服従するだろう!」 51
2014-03-27 19:15:38「笑いたまえよ。我々のユーモアはパンチが利いてたろう?」「ファック野郎」「DJにしては随分語彙に乏しいな」「早く殺せよ」タニグチが諦めたように吐き捨てる。「死んでも仲間を売らんという、お決まりのヤツか?愚かなお仲間の後でも追うか?その権利はやらん。生かさず殺さず楽しむからな」52
2014-03-27 19:24:05「……オイ、今何て言った?」「今?」部長が秘書に問う。「生かさず殺さず」「ああ。生かさず殺さず!」「仲間の後を追うか、と言ったろ?」タニグチが狂犬めいた目で食って掛かる。「ああ。伝えるのを忘れていた。本当に忘れていた。ひとり死んだ。治安維持警察にカタナで斬り掛かったからな」 53
2014-03-27 19:32:19それがクルーの誰を指しているか、彼にはすぐに解った。そして、これが部長のブルシットなどではない事も解った。あの息子ならば、本気でトルーパーズに斬り掛かるだろう事を彼は知っていた!「ニスイ!馬鹿野郎が!」タニグチが血相を変えて叫んだ!身をよじらすが、もはや振り上げる拳も無い! 54
2014-03-27 19:38:28「俺の息子を殺しやがったな!ファック野郎どもめ!おい!ブッダ!聞いてるのか!何とかならねえのか!」タニグチは発狂マニアックめいて暴れる。「息子がいたのか?……何がスイッチになるか、解らんもんだな」部長は淡々と、葉巻の先でタニグチの目に狙いを定めた。その時。 55
2014-03-27 19:45:07「イヤーッ!」「グワーッ!」KRAAAASH!上等な桐製の隠し扉が外側から蹴破られ、ボロボロになった警備員の死体が室内へと蹴り込まれた!「アイエエエエ!?」部長が情けない悲鳴を上げる!「「「ザッケンナコラー!」」」オナタカミ・トルーパーズがライオットガンで謎の侵入者を迎撃! 56
2014-03-27 19:54:02BLAMBLAMBLAM!「イヤーッ!」陰惨な空気を切り裂く、鋭いカラテシャウト!連続側転で散弾を完全回避!それはニンジャ!それは紛れも無くニンジャであった!「イヤーッ!」そのニンジャは側宙を決めながら両胸の二挺拳銃を抜き発砲!BLAMBLAM!「アバーッ!」「グワーッ!」 57
2014-03-27 20:03:31オナタカミ・トルーパーズが脳天を撃たれ即死!噴き出すバイオ血液!おお……何たる真実!銃弾で砕かれたヘルムの下には、サングラスをかけた角刈りの男!彼らの正体はクローンヤクザ!「スッゾコラー!」生き残りがカラテ突撃!「イヤーッ!」ニンジャの回転キックが首を飛ばす!「アバーッ!」 58
2014-03-27 20:08:05「アイエエエエエエ!ニンジャ!?」部長が失禁!ニンジャは室内にタニグチがいることを確認すると、二挺拳銃を納め、背中のカタナを抜いた。そしてアイサツした。「ドーモ、デリヴァラーです」「デ、デリヴァラー=サン!?アマクダリか!?聞いた事が無いぞ!?私は何も悪い事をしていない!」 59
2014-03-27 20:14:05「デリヴァラー……?」タニグチは急性NRSに陥る暇すら無く、ぽかんと見ていた。彼には直感的に分かった。それが己の息子、ニスイであると。「…生きてたのか?」タニグチは問いかけた。だがニンジャは何も返さなかった。代わりに、淡々と歩み寄り、途中にいた無抵抗の秘書二人を斬り殺した。 60
2014-03-27 20:22:49