古鷹青葉を見守る衣笠さんbot #11

更新十一回目のまとめです。 呉軍港空襲組の語る青葉。そして衣笠を打ちのめす真実。
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古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「まるで地獄の幽鬼がにたりと笑ったかのようでの……。それからの青葉は、ふさぎ込まなくなった。日がな一日空を眺め続けるようになった」 手が震える。耳をふさぎたい。聞きたくない。けれど、利根の言葉を聞かずにいられない。 「そう……青葉は、死ぬことだけを考えておったんじゃ」

2014-03-28 06:15:12
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私は利根の顔を穴が開くほど見つめ続けた。けれど、利根は「今のは嘘じゃ」などとは決して言ってくれなかった。努めて感情を抑えるように淡々と続きを語る。 「そして、その日がやってきた。7月24日の空襲じゃ。繰り返し無数にやってくる敵機に対し吾輩らは必死に応戦した……が、多勢に無勢」

2014-03-28 06:20:39
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「動けぬ吾輩らに次々に敵弾が降り注いだ。青葉も被弾した。爆弾の命中が1、至近弾が1……青葉は、着底した」 思わず顔を覆う。青葉、青葉。生き延びて苦しんで、死ぬことが償いだなんて思い込むところまで追い詰められて。でも、これで、やっと。 「……じゃが、それで終わりではなかった」

2014-03-28 06:28:29
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

利根の言葉が、私を容赦なく叩きのめす。 「青葉は着底はしたものの、まだ砲は使える状態じゃったからの……乗組員は退去せなんだ。しかし、青葉にとっては……」 私は思わず両耳をふさいでいた。けれど、目は利根の口から離せなかった。生殺しじゃ、と利根の唇が動いたのが見て取れた。

2014-03-28 06:34:12
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

もはや、涙は出なかった。私の感情を司る器官が麻痺してしまったかのようだった。 「……28日、再びの空襲で爆弾の命中4、青葉は艦尾を切断されて大破し、戦闘不能になった……これで、青葉の戦いは終わった……」 けれど、利根の表情は、青葉の苦しみはまだ終わりではないことを告げていた。

2014-03-28 06:41:01
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

追い詰められて死ぬことだけしか考えられなくなった青葉。敵に発見されてることを知って、これで確実に戦って沈めると暗い喜びにひたった青葉。一度目の爆撃では死にきれなかった青葉。なお戦って、やっと解放されたはずだった青葉。それなのに。 「青葉さんは、建造された時こう呟いていたのです」

2014-03-28 06:48:17
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

それまで黙って話を聞いていた電ちゃんが口を開いた。彼女はこの鎮守府の初期艦娘で、ほとんどの艦娘の建造に関わっている。 「『これが、報いなんですね』と……」

2014-03-28 06:50:50