- gayreiner_bot
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「本日、諸君らは訓練兵を卒業する。その中で最も、訓練成績が良かった上位10名を発表する。呼ばれたものは前へ」
2014-03-19 14:03:52「ーー……本日を以って訓練兵を卒業する諸君らには、3つの選択肢がある」 「後日、所属兵科を問う。本日はこれにて第104期訓練兵団解散式を終える……以上!」 「ハッ!」
2014-03-19 14:04:47今日は問題ないんだ、不安なのは……これから先だ。ジャンの一言でより憲兵団の志願がとても自然なことに思える。今日ここまで上手くやってきた、誰も僕らを疑う者はいないだろう。 「みんな内地に行きたいよな……で、お前らは」 「僕は憲兵団を志願するよ」
2014-03-19 16:38:25「私も……だけど、あんたと一緒とは思われたくないわ」 そう、僕らはジャンや他の彼らとは違う、だって、僕らは…… 「なあ……」
2014-03-19 16:40:47「内地が快適とか言ったな……この街も5年前まで内地だったんだぞ」 エレンだ。こうなると思った、そう……分かるほどに、僕らは訓練兵団として長く此処に居すぎた。 まだ大丈夫だ、焦る必要はない。まだ少しだけ時間があるから万が一……ライナーが、つられてしまっても。まだ時間は……
2014-03-19 16:43:53エレンとジャンの言い合いが始まる。よく見るこの光景も、きっとこれで最後だ。彼らが別々の道を選ぶからではない。僕らがそれをぶち壊すからだ。 止めに声を掛けるライナー、君は、今……
2014-03-19 16:46:22エレンがミカサに回収されていく、この一連の流れを見るのもこれが最後だ。二人が出て行くのにみんなが注目する中、僕はアニからの目配せを受けてライナーの隣に腰を下ろす。 「ライナー、君は……今のエレンとジャンの話、どう思う?」
2014-03-19 16:51:27「どうって、そうだな……どっちの言うことも分からなくはない。そうだろう、誰だって我が身が大切で、エレンみたいな奴は少数派だ」 「(ああ……)」 「だが、エレンの言いたい事もわかる。俺たちは何の為にこの長い間力を身につけてきた?」 「……ライナーは、君は、調査兵団に行きたいのか?」
2014-03-19 16:56:19「どうだろうな……お前は憲兵団だったか。アニも同じか……前から、言ってたもんな」 「(今大事なのは、所属兵科の選択何かじゃない。明日に向けて、君は……)あの、ライナー、今夜話したい事があるんだ」
2014-03-19 17:06:22「今じゃダメなのか」 「ふ、二人で……話したい」 「(最近あまり話していなかったからな、もし俺が調査兵団を選択すれば……こいつとはもう、そう会う事はなくなる訳か)……わかった」
2014-03-19 17:09:03「(あの後、エレンが気を失ったらしい。好都合だ。朝まで眠っていてくれればきっと、ライナーに接触させないまま作戦が遂行できる)ライナー……来てくれてありがとう」 「ああ……此処も最後だな」
2014-03-19 20:26:15「……ライナー、僕たちは今日まで、本当に……頑張ってきたよね。君も、ありがとう。お疲れ様」 「……ああ?お前も、お疲れ。ベルトルト、お前には先に言わなければと思ったんだが、俺は」 「いいよ」
2014-03-19 20:33:43「な、何がだ?」 「何も言わなくて良い。君が何を選ぼうと僕らには関係ない」 「……ベルトルト?僕ら、って」 「怖いんだ、僕……怖くてどうにかなりそうだ」
2014-03-19 20:41:08「お前は憲兵団だろ、それならジャンの言うように安全だ。みんなあれだけ頑張って力を付けたじゃないか。俺らが力を合わせれば、超大型巨人だって」
2014-03-19 20:41:58「……っ、……ああ、そうだよ、僕もそう思う(だから、怖い。彼らがどれだけ強くて、どれだけ僕らを殺す力を身につけて来たか、あれだけ近くで見て来たんだ)」 「それなら」 「……それだからこそ、だよ」
2014-03-19 20:47:59「(最後まで、こいつが何を言いたいのか、俺には分からないのか)」 「……何言ってるか、わからないだろ。それで構わないよ。怖くてどうかしてしまったんだって、そう思ってくれ」
2014-03-19 20:52:49「ライナー、わかる?震えてるだろ……僕、君がいないと」 「(頬に触れる指先も、ゆっくりと近付く唇も、震えている。夜とは言えもう随分あたたかくなったと言うのに)……ベルトルト」 「ライナー、僕を……守ってくれ」
2014-03-19 21:07:11「……ああ、すまん。分かってる、ベルトルト……」 「……怖くて、明日殺されるんじゃないかと思うと」 「大丈夫だ、お前なら出来る」 「とても眠れそうにない」 「そうなったら、俺が守る」
2014-03-19 21:19:18「本当に?……ライナー、何も考えたくないんだ。今日だけは、頼むから……ライナー、僕が言いたいこと、わかるか」 「……ああ、わかる。後悔しないか」 「万が一、明日……僕が死ぬようなことになったら。それこそきっと、後悔する」
2014-03-19 21:22:07「……そんな事にはさせねえ」 「わかってる。でも、頼む……僕を、安心させてくれ。ライナー、君と……朝まで二人で居たい」 「っつっても、こんな所で……準備とかもあるしよ」 「それだけど……少しは、自分で……綺麗にしたつもりだ。いいんだよね?僕が、その……」
2014-03-19 21:39:26「べ、ベルトルト……」 「えっ、違ったのか?でも前に君が」 「イヤ、違わないが……お前、無理してないか」 「してない」 「……なあ、ヤケになってるなら」 「なってない!ライナー、お願いだ……明日、頑張る勇気が欲しい。今夜は、一人で怯えていたくないんだ」
2014-03-19 21:56:27「(ベルトルトが此処まで強く何かを頼む事は珍しい、それに……正直自分で洗って来ただとかここまでの誘いを受けて、とても我慢出来そうにないが……どうするのがこいつの為になるのか)」 「此処で構わない、痛くてもいいし、ライナーになら何をされても構わないから」
2014-03-19 22:00:46「ああ、……わかった。そうまで言われて、俺も流石に抑えられそうにない」 「ライナー」 「……良いんだよな、これで」 「僕が、そうして欲しいんだ……ライナー。ありがとう……」
2014-03-19 22:08:47抱きしめて初めてベルトルトが此処まで震えていた事に気付く。今は確かに、普通の状態ではないのかもしれない、大切にしたくはあるが……きっと、これが正しい筈だ。重ねた唇も、緊張からか乾燥している。
2014-03-19 22:22:16「今日はみんな、最後の夜だから。こんな所にくる人も他人に構ってる暇もない……だから、最後まで」 「俺たちが此処でどうしていようと、気にする奴は居ないだろうな。それぞれの所属兵科に行くための別れの挨拶だが……本当に、最期の別れの挨拶になる奴も居るだろう」
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