ヒア・カムズ・ザ・サン #6
ZBOOOM!強烈な震動の直後、車体の後ろから明らかに不穏な爆発音。「何だ!?」レッドハッグは窓から顔を出そうとしたが、ニンジャスレイヤーがその肩を掴んで制した。「首が吹き飛ぶぞ」「……アイ、アイ」レッドハッグは素直に従った。「クソ忌々しいスナイパー!」 20
2014-03-27 23:38:54「この車も、そう長くは保つまい」震動の中でニンジャスレイヤーが告げた。荒っぽいシフトチェンジを行うたび、車体がバネ仕掛けめいて上下に揺さぶられる。レッドハッグは天井を両手で押さえ、支え棒じみて身体を支えた。「ンなこたァわかってる。だけど、もうちょいだね。奴らをブッ叩くまでさ」21
2014-03-27 23:44:30「そういう事だ」限界までアクセルを踏み込むと、タイヤが悲鳴を上げ、加速Gが襲いかかった。「ホラこれ、ヤバイ」レッドハッグが燃料メーターを指さした。「グングン減ってる。タンクをやられたよね」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは急ハンドル!BOOOM!直後、再びトラックに着弾! 22
2014-03-27 23:48:26「グワーッ!」レッドハッグは額を車体にぶつけて呻いた。「もっと安全運転しなよ!」「かわれ」ニンジャスレイヤーがレッドハッグの腕をぐいと掴み、ハンドルに引き寄せた。「あン?こんな時に冗談は……」「理由あっての事だ」言うなり彼は滑るように窓から外へ出、ルーフに這い上がった! 23
2014-03-27 23:53:25ギャギャギャギャ!ギャギャギャギャ!乗り手の交替直後の暴れるトラック上でニンジャスレイヤーは見事なニンジャバランス感覚を発揮。振り落とされまいとする。彼は管制塔を見上げる。既に実際相当近い。彼の視線は屋上の影を捉える。「スゥーッ……ハァーッ……」呼吸を深める。チャドー呼吸を!24
2014-03-27 23:57:37ルルルル……ルルルルル!不穏な高速回転音が接近する!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは恐るべき勢いでスリケンを投擲した。数十メートル離れた地点に火花が閃いた。コンマ数秒後、あさっての方向で何かが地面を抉った。ゴウランガ!彼はスリケンにスリケンをぶつけ、軌道を逸らせたのだ!25
2014-03-28 00:01:42「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーは呻いた。確かにこれはブルズアイだ。足場は不安定、高速移動しながらのスリケン投擲。困難を極めるカラテだ。だが、狙撃手に決定打を与えるには足りず、当座の凌ぎにしかなるまい。ルルルル……ルルルル!次なる高速回転音接近!「イヤーッ!」 26
2014-03-28 00:06:27再び数十メートル地点で火花!ギャルルル!轍を踏んだ車体が傾ぎ、ニンジャスレイヤーは振り落とされかける。ルルルル!更なる高速回転音接近!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはのけぞる!肩口に深い抉り傷!管制塔上、殺意で研ぎ澄まされた視線がニンジャスレイヤーを射る!さらに、その時! 27
2014-03-28 00:13:17「虫ケラァーッ!」KRAAASH!巨大な質量がトラック後部に叩きつけられた!ニンジャスレイヤーは体勢復帰し、降ってきたものを振り返った。否、それは降ってきたのではなかった。追って走ってきたのだ。そして跳躍し、取り付いたのだ。……ナムサン!鈍色の頑強ニンジャ、コーナラーである!28
2014-03-28 00:16:18「どうなッてる!」車内からレッドハッグの声が聴こえた。ニンジャスレイヤーは車上でカラテを構え、叫び返した。「野暮用だ!走れ!とにかく距離を詰めろ!」「虫!ケラッ!」コーナラーが車上を接近!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはチョップを繰り出す!「イヤーッ!」コーナラーが応戦! 29
2014-03-28 00:20:48「イヤーッ!」「イヤーッ!」ぶつかりあうカラテ!ギャギャギャギャ!ドリフトめいた転回でトラック後部が流れる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは体勢を崩したコーナラーの膝を蹴り潰しに行く!「グワーッ!」だが、硬い!ルルルル……スリケン飛来!「イヤーッ!」ブリッジ回避! 30
2014-03-28 00:24:20「イヤーッ!」コーナラーが拳を振り下ろす!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは転がって回避!寝た姿勢からコーナラーの腿を蹴る!「グワーッ!」身をひねり、手をついて起き上がりながら回し蹴りを繰り出す!「イヤーッ!」メイア・ルーア・ジ・コンパッソだ!「グワーッ!」だが硬い! 31
2014-03-28 00:25:59「虫ケラ!虫!虫!ケラッ!」コーナラーはニンジャスレイヤーの脚を抱えながら、押し潰す!「グワーッ!」車上でマウント・ポジションを取る!ナムサン!ニンジャスレイヤー、これはかなりアブナイ!「イヤーッ!」「グワーッ!」マウントパンチ!「イヤーッ!」「グワーッ!」マウントパンチ! 32
2014-03-28 00:28:08「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは身を捩り、振り下ろされる無骨な拳を受ける。重く硬い!だが一方で彼は敵のカラテの力量を測ってもいた。オートマトンじみたこの敵が振るう力任せの拳を!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」33
2014-03-28 00:32:19このまま殴られ続ければ爆発四散してしまう!だが彼は絶望していなかった。拳を受けながら、彼は風を感じていた!トラックの速度を!「イヤーッ!」「グワーッ!」重く硬い拳!だがスナイパースリケンは飛ばない。コーナラーの巨体が邪魔になのだ。そして、角度……ついに狙撃可能域を越え……!34
2014-03-28 00:34:48KRAAAAAASH!管制塔セキュリティゲートに、キャノンボール棺桶と化したトラックは衝突した!そして、KRA-TOOOOOOOM!爆発!炎が四方八方に拡散!「グワーッ!」吹き飛ばされる二者!やや離れた地点で受け身を取ったのはレッドハッグ!衝突直前に車外へ逃れていたのだ! 35
2014-03-28 00:36:33「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」転がり落ちた二者はそのままカラテ応酬を再開する。レッドハッグは駆け出した。「そいつ、任せたよ!塔の中は任せな!」「このゴーレムを操作するニンジャが必ず居る!」ニンジャスレイヤーは叫んだ。「見つけ出し、殺せ!」36
2014-03-28 00:39:41(親愛なる読者の皆さん:今回の更新時、若干の地磁気タイポグラフィが見られましたが、脳内で直せば事足りる範囲であった為、テンポ重点、速度は血と鉄であり、スリケンを生み出す事を思えば、今回は敢えて顧みず、そのまま掲載しました。ケジメは既に適切に行われました)
2014-03-28 00:47:29「カウントダウンだ……」フクトシン博士が強化ガラス窓に手をつき、万感を込めて呟いた時、ヘファイストスは血走った目を見開き、拳を固め、踵を返して出口へ向かった。「入られたのか?」腰の後ろで手を組み、悠然と見守るはメフィストフェレス、その眼差しは冷たかった。 38
2014-03-28 22:27:15「仕留めます。ニンジャの一匹ごとき」ヘファイストスは言った。「最重点敵のニンジャスレイヤーは、我がジツを前に手も足も出ておりません!」メフィストフェレスの横でシャドウドラゴンは無言。微動だにしない。権限者からの……即ちこの場においてはメフィストフェレスからの命令が無いからだ。39
2014-03-28 22:30:31「イヤーッ!」ヘファイストスが回転ジャンプで退出すると、「フクトシン博士!」メフィストフェレスが恐ろしく張りのある声を放った。「終わりだ。十分だ」「そんな!」フクトシン博士は、信じられぬ、といった様子、傷ついた目で老人を振り返った。「今、飛ぶんだ」「そうだ。仕事は終わった」 40
2014-03-28 22:37:01