「千の想いを」~第二章・交錯・分岐イベントTi-4~
- mamiya_AFS
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「お姉、起きてる?」 ノックをしてから、そっとドアを開ける。 起きていたみたいだ、良かった。 「これ、お姉の好きなかぼちゃの煮つけ。あたしが作ったの」 ベッドの脇のテーブルに置く。
2014-03-15 21:05:39椅子に腰掛けて、今日の出来事を伝える。 伊吹が天才だった事、天龍が実は料理が上手かった事、いつの間にか料理勝負になっていた事。 …天龍とケンカした事。 「昨日だよ。昨日、あいつに何を言われたの?」
2014-03-15 21:08:54「千歳に聞け、としか言わないから…。 ねぇ、あいつに何を言われたの? 何かひどい事言われたんでしょ。 教えてよ。お姉の分もあいつを殴っておくから」 パジャマの裾を掴む。
2014-03-15 21:10:20そう…。 …ごめんなさい、千代田。今はまだ話せない。けれど、千代田やみんなの為なの。 辛いのはわかるけれど…、お願い、信じて。
2014-03-15 18:25:50ぎりっ。 奥歯が鳴る。 今まであたしに嘘も隠し事もしてこなかったお姉が。 なんだかんだで良い奴だと信じていた天龍が。 揃ってあたしの心配を無碍にする。揃ってあたしの言葉をはぐらかす。 どろりと、暗くて重い何かが胸の中にわだかまる。
2014-03-15 21:12:52…。 …くそっ。 食材をあれだけ丁寧に扱えるあいつが、悪い奴なわけないじゃないか…! 酷い奴に、あんな美味しい料理を作れるわけがない…! わかってるわよ、そんなの…!
2014-03-15 21:14:56「あたしも大好きだよ、お姉。 いつか、ちゃんと全部話してね。 ごめん、今から訓練だから、もう行くわ。かぼちゃ、食べ切れなかったら残していいから」 立ち上がる。戦闘まであと3日。少しでもうちらは強くならないといけない。
2014-03-15 21:18:59「うん、大丈夫。お姉が復帰したら最強の艦隊が出来上がってるかもよ。 じゃね、おやすみ!」 遅れたらあいつに何を言われるかわかったもんじゃない。 廊下を駆ける。なんかいつもここを走って通ってるなぁ。
2014-03-15 21:20:37――千代田が座っていた椅子を千歳がじぃっ、と見詰める。 千代田が掴んでいた袖を、千歳が逆の手でさする。 さっきまで灯っていた感情を失った瞳で、妹がいた空間をじぃっ、と見詰め続ける。
2014-03-15 21:23:09