新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

俺の周りの人について…と言ったのです、が。人の話をする前に自己紹介するべきなようなので、少し俺自身の話をさせて頂きます。 出身は美濃大垣藩、兄市村辰之助も新選組隊士です。大垣藩が出身地で間違いはないのですが、幼い頃に市村の家が藩から追放されています #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

慶応三年に兄と共に新選組に入隊、その後箱館まで転戦します。兄は途中で抜けて大垣に帰っていますが。その後は皆さんご存知の通り、です。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

自己紹介はこの程度にして、本題に入りましょうか。俺を含めた歳の近い隊士の当初の役職名は両長召抱人。両長というのは局長と副長のことですが、要は小姓ですね。なので普通の隊士の方とは違い、京都時代は戦線に立っていません。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

井上泰助。井上組長の甥にあたります。慶応三年入隊。鳥羽伏見の戦いの折、討死された井上組長の首と刀を持って引き上げようとしたものの重くて泣く泣く断念した、というのは有名なのではないでしょうか。彼は当時十二歳、かなり若いです。その後は江戸で脱退、天寿を全うしています。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

前回、話が鳥羽伏見までで終わっておりましたので、その後のことを簡単に説明しておきます。大体、戦線の北上と共に転戦。もちろん、途中で人の入れ替わりはありましたが… #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

上田馬之丞、という隊士を紹介しましょう。兄と共に慶応三年に入隊、鳥羽伏見での戦の後、江戸へ帰還。その後甲陽鎮撫隊と名を改め出陣した際、兄は戦死。彼はその後も在隊し蝦夷地での松前城攻めにも参戦。江差に向かった折に松前藩兵に捕まり、その後どうなったのかは不明です。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

次は、玉置良蔵。俺や先ほどの上田を始め、両長召抱人の役職についた隊士は兄と一緒に、というのが多いのですが玉置は兄弟絡みではありません。安政二年生まれなので平成の感覚…実年齢にすれば僅か十二歳の少年が何を思って入隊したのか、というのは考えてみる価値があるのでは #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

玉置も先ほどの紹介と同じく、京から江戸へ、会津、仙台、箱館…と、転戦したのち、正確な時期は残っていませんが明治二年初め頃に病死しています。その時の年齢は十四と書かれていたり、十五と書かれていたりはっきりしませんがどちらにせよとても若いです。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

過去に紹介したのは、井上組長の甥　井上泰助・上田馬之丞・玉置良蔵の三人でした。…ということで、最後はわかる人にはわかっていたであろう、田村銀之助で終わろうと思います。昨年、八重の桜が西南戦争を迎えた時に少し出てきてはおりましたが。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

さて、田村銀之助とはどんな。まず生まれは安政三年…西暦にして1856年、今の平成の時代からすると俺たち軒並み百歳軽く超えてしまうという非常に実感のわかない数字になってしまうので、俺を引き合いに出すと彼は2つ年下です。輪をかけて若いですね。ちなみに出身は磐城平藩。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

新選組隊士の兄は2人、田村一郎と田村録五郎。入隊時期は慶応三年、1867年。あの頃は数え年でしたが、敢えて実年齢でいうと11歳です。そして彼も俺や過去に紹介した隊士たちと同じく、両長召抱人、となります。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

１つ１つ追っていくと過去と話が重複する、かつある程度ご存知と思いますので駆け足というか飛び越えさせて頂きますが、京から江戸、会津…と箱館まで転戦します。そして箱館にて副長のもとを離れ「榎本総裁付け」となります。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

ついでに陸軍隊隊長・春日左衛門様の養子に…って野村さん、こっちを睨まないでください。そしてこの春日様、重症を負い箱館総攻撃の次の日に五稜郭にて服毒自殺、その姿を彼は看取ったそうです。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

その後五稜郭落城が迫り、切腹の覚悟を決めた榎本総裁に降伏して生き延びることを諭されると、「私も武士の家に生まれたものであって、皆さんと一緒にこの城に立て籠もった以上は死する覚悟である」と述べ、感嘆されたそうです。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

…という感じだったのですがご存知の通り箱館政府は降伏、彼も弘前の寺院に収容されますが年少ゆえに、ということで比較的早く放免され薩摩藩の黒田清隆様のもとに引き取られます。それから多少のなんやかんやがあった末に陸軍の下士官に。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

そして八重の桜の際にお話ししたように西南戦争にも従軍。が、その後は陸軍をやめて一時期北海道に渡ったりなんやかんや転々とし、大正13年、享年69歳の人生を終えます。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

はい、時系列に語ってきましたが、今までより長いですね。端折ってるのに長いですね。俺より銀の方がわかってることが多いです。本人が長生きして語っていること、五稜郭降伏までいたこと…など要因はいくつかありますが、珍しく謎の少ない人物なので気になる方は調べてみては。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

さて、余談。伊庭さんのもるひねの話しを伝えたのはこの銀之助なんだとか。そして、明治維新後の「史談会」に出席し、自分のこと、新選組のこと、箱館政府のこと、多くのこと語り残しています。 #新選組十代組

市村鉄之助 @Ichimura_1854

戦死した方、口を閉ざした方が少なくなかった中、彼のお陰で光の当たりにくい事実がこうして後世に残っています、だから…というわけではないですが、また皆さんが後の時代に引き継いでくださればと思います。では、これにて #新選組十代組　終了です。 ご静聴、ありがとうございました。