二人の母【テドイア】

大崎巧実（裏） @mboxtw2

産んだ子をテッドさんは確実に愛してくれる。大事にしてくれる。家も裕福だし、幸せになる。そうモモは自分に言い聞かせるんです。これで良かったんだ、って。 そして子供の顔を見れたテッドさんは物凄い早さで回復していくんですね。 動かなかった身体を必死に動かすんです。

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テッドさんが必死に身体を動かせるようにしたかったのはただ一つ。自分の手で子供が抱きたかったから。その一心で無茶ともいえる量のリハビリをこなし、望みを叶えるんです。 そんなテッドさん見てたらモモも本当の事はますます言えなくなってしまう。

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真実を知らないテッドさんは、モモの産んだ子をイアの子だと信じて接していく。両親に愛されて大きくなっていく子供。 その幸せを崩す訳にいかない、とモモは二人の傍から離れる事にするのです。 安心して二人に託せる、そう信じて。 でも最後の最後に揺れる事になるのですが。

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別れてしまう事が決定した時。テッドさんがモモに言うんですね。妊娠させる事が出来なかったな、って。 その言葉に、は？ってなるモモちゃんだったけど、意味を知って愕然とするんです。 テッドさんはモモを孕ませたかった。モモの望みを叶えてやりたかったから。

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ずっと昔に一度だけ、モモが言った事があるのです。もしも欲しいと言えるのなら、あなたの子供が欲しいって。冗談だよ、ってモモは流すんだけどテッドさんはそれを忘れなかった。 だからモモの為にあげたかったんです。何も望まないモモが初めて欲しいと言ったものだったから。

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テッドさんはいつもモモに甘えてて、モモから沢山のものを貰った。けれど、お前には何もやれなかったな、って最後に言うんですよ。 事故の後遺症で子供が望めない事をテッドさんは知ってる。だからもう頑張ってもモモに子供をあげられない、って寂しそうに。

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それを聞いたモモは心中穏やかじゃないわけです。もっとそれを早く言って欲しかった。そうしたら、あの子をあげたりはしなかったのに、って。 テッドさんがくれた最初で最後の贈り物を、モモは自分で手放してしまったのです。それが彼女にとっては酷く悲しかった。

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今更、二人の子と信じたあの子は私が産んだ子なの、なんて告げられる筈もなく。そしてそうと信じてるテッドさんに何も言える筈もなく。 一人、モモは泣くのです。後悔に。手放した我が子を想いながら。 そうして離れた土地で、モモは孤児院を開くのです。

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モモは自分が我が子に与える事が出来なかった愛情を、代わりに子供達に注ぐ事にしたんです。 それはある意味自分の罪悪感によるもので、そして懺悔でもあり、気持ちを昇華する為のものであり。 子供達に囲まれて、毎日暮らし始めるのです。

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そんなモモの孤児院に、毎月多額の寄付が送られてくる。 送り主はイア。我が子を奪った事への罪悪感から。でもそのまま金を出そうとしてもモモは受け取らない。だからこそ寄付と言う形で送り続けるのです。モモが受け取りやすいように。 モモも善意の寄付として、と言う建前で受け取ってる。

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モモにとってはそんな金などいらなかったけれど、孤児院の運営にはやっぱり金は必要だし、自分の気持ちで今居る子供達を不幸に出来ないと、割り切って受け取るんです。 寄付としては少々多い額なのだけれど、テッドさんもモモにならって事で許してる。沢山世話になったし好きな子に代わりはないから。

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その後。テッドさんは育っていく我が子がモモの子である事は知らないまま。そしてイアも告げる事はない。 父親はテッドさんで間違いないのだから、テッドさんに似てる部分も当然あるし、モモの面影があってもイアに似てるんだろうなって勘違いしちゃう。 二人とも優しい女だったから。

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そんなお話。子供はテッドさんとイアを本当の両親だと信じて大きくなっていくんですね。まあ確かに片方は本当に親なんだけど。 ちなみに、モモが産んだ子供はカイトだったりする。両親赤系で子供青かよ、という突っ込みはしてはいけない（笑）