“桜が咲けば白は君を覆う”

浅欺@TO THE TOP！！ @asagi01dog

空は曇っている。あの日のように良く晴れてはない。なのに風は春を告げる香りがいっぱいで、髪を撫でるのも優しく暖かかった。

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外に出る時羽織ってきたｶｰﾃﾞｨｶﾞﾝを脱ぐ。露になった腕は白く、赤い痕がいくつもあった。誰かに見られたくなくてずっと隠してきたけれど、今は全部さらけ出してしまいたい気分だった。

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そうしてすべて洗い流したかったのかもしれない。白い箱に閉じ込められて、愛想笑いを繰り返して、消毒液の匂いに酔わされて、そんな毎日を。

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花が咲いてる。桜はまだ蕾だけれど、あぁ今年はきっとそばで見ることが出来る。触れて嗅いで包み込んで。本物とずっと。そう確信しているのだ。

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「こんなところにいたのかっ！」遠くから息を切らした声がやってくる。ばたばたと足音大きく、目の前で止まった。「探してたんだっ、…さぁ、帰ろう？」そして、少し汗ばんだ手を差し伸べた。

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強い風が吹いた。ぼさぼさに伸ばされた髪が弄ばれ、彼が視界から写ったり消えたりした。彼はまだ苦しそうに荒い呼吸を繰り返す。体は彼の手を取らずに、さっと背中を向けた。