オオカミ東堂

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やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

東堂君「電気がなくても俺が輝いているから停電も安心」ボク「寝ろ」東堂君「寝れん」ボク「寝れへんのええけど話しかけんといてくれる」東堂君「なぁ御堂筋、今泉くんばかりでなく俺にも何かお話ししてくれないか」ボク「イヤや体力使うめんどい」東堂君「ユキちゃんの寝顔写真の提供」ボク「把握」

2014-04-11 01:13:47
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ボク「童話のお題は?」東堂君「巻ちゃん」ボク「障害でももってんのかキミは…小鞠ィ〜!なんか有名な童話一ついうて〜!」小鞠「え、なんでしょう。オオカミ少年?」ボク「ハイ決定」東堂君「イヤな予感しかしないな。」

2014-04-11 01:20:08
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ボク「…オオカミが来たぞー!といつものように東堂は叫びます。すると、多勢の召使が慌てたように外に出ました。よく声の通る丘の上で叫ぶ東堂を見つけると、彼のもとへかけ出して行きます。王子、危ないですから、ね?お城に戻りましょう。召使がそう小声で東堂に伝え、嫌がる彼をお城に戻します。」

2014-04-11 01:25:14
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ボク「東堂は頬を膨らまし、つまらん、昔は町の人間がこぞって顔を出して俺を見てまた騙されたと笑ったのに。最近ではお前達のような城の人間ばかりだ。一体どうしたというんだ。ブツブツと言うと、使用人はやれやれといった顔で東堂に返します。」

2014-04-11 01:30:25
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ボク「それが何ヶ月も続けば町の人間もバカではありません。学習するに決まっているでしょう。困るんですよ、勝手に外においでになられては、さぁ、お勉強の時間です。したくをしてください、先生がもうきてらっしゃいますの。面倒臭そうに東堂に言うと、召使はさっさと奥に引っ込んでしまいました。」

2014-04-11 01:34:41
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ボク「あぁつまらないつまらないと幼い王子は一人広い広いお城の一室でわめくのでした。 次の日、いつものように朝一番に起きた東堂はご機嫌に鼻歌をうたいながらお気に入りのカチューシャをつけます。そうして、庭の抜け道から城の外に出るのでした。」

2014-04-11 01:40:45
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ボク「この抜け道は昔、お母様が生きていた頃に毎朝一緒に散歩をしていた道です。美しい花々が咲き、小川が流れて小さな可愛らしい魚達がちらちらと泳いでいます。その道の茂みをぬければ、町に行くことが出来るのです。東堂は、今日こそまた昔のように町の人々を驚かせてやろうと丘に向かいました。」

2014-04-11 01:44:20
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ボク「風のように走り、ブーツで土を蹴ります。朝の冷たい空気が心地よく、空にはまだ太陽は登っていません。丘の上まで登り、さァ、今日は個人情報を垂れ流すぞと叫んでやろうと息を吸い込もうとしましたが、丘の大きな木の木陰に寝転がった人を見て、東堂はそれを声にする事をやめました。」

2014-04-11 01:48:38
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ボク「そこには、スヤスヤと眠る長い玉虫色の髪をした男がいるのでした。東堂は、少し怖がりながらもつんつんと横たわる男の頬をつつきます。すると、ソレは眉間に皺をよせ、うぅとうめくと目を開きました。変な頭。ボソッと呟くと、その目を覚ました男はうるさいショと不機嫌そうに言います。」

2014-04-11 01:51:56
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ボク「なんだ、お前は何故こんな時間にこんな場所に居るのだ?お家はどこだ?迷子か?と勢いよくまくしたてると、鬱陶しそうに睨まれました。…まぁ、迷子ってことにしとくわ。キョロキョロとまわりを見るその男の真似をしながら東堂は得意げに笑います。」

2014-04-11 01:55:16
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ボク「ふふん、やはり迷子か!よし、俺が親のところへ連れて行ってやろう!ワッハッハ!笑う東堂に、男はパシンと頭を軽くはたきます。オレはお前じゃない、マキシマだ。はたかれた場所をさすりながら東堂はマキちゃん!と笑顔で言いました。マキシマはその呼び名を特に嫌がる風でもなく髪を弄ります」

2014-04-11 02:02:23
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ボク「ま、家はこっからでも見えるけどナ。呟くマキシマに東堂は首を傾げます。そうなのか?ははぁ、丘の上からは見えるが下におりると道順が分からないのだな。大丈夫だ。俺はこの国のことは知り尽くして居る。言ってみろマキちゃん!わぁわぁと長身のマキシマの背中によじ登りながら東堂は言います」

2014-04-11 02:07:17
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ボク「分かった分かった。教えるショ、お家。オレの家ってのは…あそこッショ。まだ小さい東堂にも見えるよう腰を屈めて彼が指差したのは、まだ青く薄暗い空でした。ど?案内できるかい?ニヤニヤと笑う彼に、東堂はキラキラと目を輝かせます。」

2014-04-11 02:15:21
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ボク「マキちゃん!マキちゃんは神様なのか?!マリア様か!キャッキャとマキシマの周りを跳ね回る東堂。ですがマキシマは首を左右にふりました。やぁ、違うね。俺はカミサマじゃねぇ。お前らが言う、そうだ。天使サマ、ショ。そうマキシマが言った瞬間彼の背中からは美しい純白の翼がはえたのでした」

2014-04-11 02:18:45
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ボク「緑の草原に羽が舞い、それが落ちた場所には花が咲きます。口が思い切りあいた東堂にマキシマはクハッと笑いました。す…凄い…天使様だ…天使…天使様が降りてきたぞーッ!東堂は先程の個人情報の有無をとりやめ、今日は本当のことを叫びました。ですが、家からは誰も出てくる気配はありません」

2014-04-11 02:21:35
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ボク「かわりに遠くのお城から、沢山の召使がかけてきました。むぅ、またか。東堂はしゅんと肩をおとします。マキシマは大きな翼をはためかせ、東堂に言いました。何ショ。お前もしかして王子様なんショ?そう聞くと、小さい彼はフンと鼻をならします。」

2014-04-11 02:23:59
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ボク「一応な。俺は兄様より何倍も劣っているから、その通りだと胸をはれるようなものでもないが…。全くおもしろくないものだ。俯く東堂は、ハッとした顔でマキシマの顔を見上げます。なぁ、マキちゃん。お前はお家から出てきたのだろ。行く場所がないのだろ。だったらうちにくるよな?」

2014-04-11 02:28:07
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ボク「よし、俺の召使にも言ってくるぞ!東堂は大きな声で言うと、丘を勢いよく下りました。こちらへかけてきた召使のもとへむかいます。すると、召使はいつものように外は危ないですからお城に戻りましょうと慌てたように言うのです。」

2014-04-11 02:32:00
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ボク「東堂は、何をいつも危ないと言って居るのだ?お前らにもお父様の間抜けな臆病がうつったか。外には何もないと言うと、一人の召使が困ったような顔で口を開くのでした。外には天使がウロついているのです。さぁ、帰りましょう。王女様も天使に見初められてお亡くなりになられたのですから…」

2014-04-11 02:36:25
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ボク「小さな声で呟き、東堂の腕を掴みます。それを嫌がり、東堂はわめきながら召使の太い腕からなんとか逃れました。待て、待て!天使サマがまるで恐ろしいという言い草だな!見ろ、丘の上を。あの美しい天使サマの、一体どこが怖いと言うのだ!東堂はビシッと丘の上を指差します。」

2014-04-11 02:40:12
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ボク「そこには先程と同じく緑色の髪をなびかせ、美しい翼を広げた男が面倒臭そうな顔でこちらを見ていました。召使はその様子を見て眉をひそめます。なにも居ないではないですか。不満気に言います。やぁ、また王子に騙されてしまった。ほら、もう帰りますよ。」

2014-04-11 02:43:03
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ボク「また再び腕をひかれ、無理やり馬車に乗せられてしまいました…。東堂はマキちゃぁん!と窓にむかって叫ぶと、隣から低い声で何ショ。と聞こえます。ワァと東堂は飛び上がりました。いつの間にかマキシマは馬車の、東堂の隣に座っていたのです。あの大きく美しい翼はしまわれていました。」

2014-04-11 02:46:49
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ボク「東堂が、何もない空間を見て飛び上がったのを何事かと驚いて見た召使は、しばらくしてからまた騙されたとため息をつき、なにもなかったかのように黙ります。東堂はペチペチとマキシマの翼が生えていた背中を触りました。」

2014-04-11 02:49:15
やる気のない御堂筋 翔 @0pb3254810c176w

ボク「なぁマキちゃん。マキちゃんは人には見えんのか?そうマキシマに聞くと、彼は首をふりました。いんや、俺は大人には見えねぇのさ。彼はこたえると、小さな王子はそうか?と微妙な顔で言います。」

2014-04-11 02:51:44
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