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ここに至ってクラナドは、おそるべき緊張関係をともなった戦場になっている。 可視と不可視。視覚と聴覚。ビジョンと音楽。 これらは、偶像崇拝への欲望/禁止との対立と言うこともできる。
2014-04-29 21:35:45見えるものと見えないものへの引き裂かれ。 それは、おそらく麻枝准の中にも起こっていたのではないか。Kanonにおいて、ビジョンの舞シナリオ、音響の真琴シナリオ、という二つの素養を同時に見せたシナリオライターは、無意識のうちにでも激しい緊張関係を孕んでいたのではないか。
2014-04-29 21:37:23しかし、麻枝准はついに偶像崇拝の禁を破ることになる。 <少女>そのものの顕現。星々が星座を結ぶようにして、見えてはならないはずの「幻想の少女」がタイトル画面にとうとう受肉する。 クラナドから極度の緊張をとらえた者だけは、気がつくことだろう。それはきっと罪深いことだと。
2014-04-29 21:39:21内在世界における、個々の救済と出産のドラマ。そのただ中に、超越世界における<少女>の出産というドラマが突入してくること。概念としての<少女>そのものの可視化。 麻枝准は、あきらかに偶像崇拝への欲望に負けている。その意味で、クラナドはたしかに「失敗作」とでも呼べるものなのだ。
2014-04-29 21:41:09しかし、長い長い坂道の果て、ついにとうとう顕現する<少女>の姿は、なぜか慰めである。 それはたしかに麻枝准の罪であるにもかかわらず、どこかプレイヤーの側に憐れみを感じさせる。 ひとときの<少女>の安息が、可視/不可視の緊張関係をほんの一瞬だけほどくのだ。これは憐れみだ。
2014-04-29 21:42:40このような<少女>のことを何と呼べばいいのかは解らない。 彼女は、渚でもある。汐でもある。杏でもある。他のすべての物語で想像された、すべての少女たちでもある。 量子力学的な比喩で語るべきだろうか。あるいは村上祐一氏の『ゴーストの条件』のように「水子」に譬えるべきか。
2014-04-29 21:44:23私がクラナドをして「畏怖すべき失敗作」と言うのは、以上のような、視覚的なものと聴覚的なものとの極限の緊張関係を捉えるからだ。 それは罪深いという点では「失敗作」だが、憐れみ深いという点では「畏怖すべき」対象でもあり、またどこか天才的ですらある「問題作」でもある。
2014-04-29 21:45:40さて、最後に。 私がクラナドから捉える視覚/聴覚の極限バトルであるが、実はこの対立はクラナドの作品内でみごとに脱臼され、破壊されることになるだろう。 それは、意外にも嗅覚によってなされることだろう。
2014-04-29 21:47:14私の批評的想像力をはるかに超えてみせるのは、ほかならぬ風子の嗅覚である。あの、最も不思議ちゃんという意味で<少女性>の強度が濃い、伊吹風子。 彼女こそが誰よりも早く、木漏れ日に眠る「幻想の少女」を発見してみせる。私に会いに来た子だ、と言って。
2014-04-29 21:48:49作品そのものによって、作品の核となる構造すらも解体再構築しようとする暴力性。 こういうところに麻枝准の「天才性」はあったはずだし、クラナドがどこまで行っても「問題作」である所以があるとは言えないだろうか。 10年経っても、クラナドは謎多き狂気の作品だと思っている。 大好きです!
2014-04-29 21:50:48【本日の一曲】少女の幻想 https://t.co/JpgQX0HQZl 畏怖すべき失敗作・CLANNADの「幻想の少女」のために。
2014-04-29 21:53:06沢渡真琴。 ヴェールの喪失⇒鈴の音(純粋音響化)...というくだりを見直している。 https://t.co/KmIUaVObhY 京アニ版シリーズに批判的である私だけど、key脳を再インストールするには即効性があってよいですよね!
2014-04-29 09:40:32@romeo_nakamura ただし、その嗅覚について何も具体的なこと言ってないし、魔術的にポカーンと眺めてるだけなのでツラいw
2014-04-29 21:56:34@seasidecity はげしく同意ですね! 『ONE』が孕んでいたノイズというか「不気味なもの」を、最近の自称・鍵信者が継承してないのが気がかりです。といっても、懐古厨の遠吠えなんでしょうけど。。。
2014-04-29 22:06:40@sprout333 この世界に対する漠然とした不安感はエロゲに通底するテーマですね。元長、田中あたりはかなり精力的に取り組んでました。話はずれますが、僕もクラナドは失敗作だと思っとります
2014-04-29 22:17:05ONEのスッキリしなさ具合はCLANNADと対比されてしかるべきだと思う。[えいえん]を捨てて帰ってくるときの主人公の表情が見えないからなのかもしれないが。
2014-04-29 22:22:01これって沙耶の唄にも繋がる話なんだけど、この世が耐えがたい苦痛にみちている時に別の世界に飛んでしまう人が再びこの世界に帰ってこれるのか否か。
2014-04-29 22:23:25@seasidecity 実は、かなーり強引で雑で歪な作品ですよね。そこが魅力でもあるのですが。世界的に見ても、あんなのそうそう無いなんではないかとw 「CLANNADは人生!」の人たちは、何故ああもナチュラルに感動的なヒューマンドラマとして消化できるのかって思います。
2014-04-29 22:22:55@sprout333 機能不全家族というのがテーマなのかなとは思わないでもないですが、最終的にこんな悲劇があったけど俺は生きていく!という作品なのかなと読んでしまいました。
2014-04-29 22:29:57この世界で生きていく!系の作品だと、水月の花梨エンドはとてもおもしろいと思った。記憶喪失の主人公が自分の謎にフタをして幼なじみと称する女の子との日常を守ろうとするエンド。
2014-04-29 22:32:21