【パズドラ二次創作】「全能神降臨」
- cagamiincage
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荒涼としたその戦場には花一輪、羽虫一匹たりとて生命の残滓はなく、ただ荒れ狂う神の雷に撃たれた大地が、刻まれた爪痕を痛々しく残すばかりであった。あらゆる命は神の暴虐の前に奪われたのか。いや、そうではない! 見よ。扇情的な巫女服を裂かれし女忍者が震える指先を必死に伸ばしている。1
2014-05-14 20:32:06「ベリアル……」女の伸ばす指の先には、地に伏した血まみれの悪魔が一匹。「千代女、生きていたのか!」ベリアルと呼ばれた悪魔は死にゆく苦痛を押し殺して顔を綻ばせた。愛する女の生存に驚きながら……。千代女は足を引きずりながらも男へと近付いていく。悪魔は拒むように大声で叫んだ。2
2014-05-14 20:46:19「俺のことはいい、早く逃げろ! ヤツが戻ってくる!!」「あなたを、置いてなんていけない」「バカ野郎、すぐに逃げろ! みんなもう死んじまったんだ! 火ノエルの爺さんも、ケリ姫も! ……ああっ、千代女、う、後ろっ!」「えっ」その瞬間、丸太のような腕が女忍者の頭をグイと掴んでいた! 3
2014-05-14 20:52:44「きゃああっ!」そのまま強引に地へと頭を押し付けられる! 男は女忍者の後頭部をサンダルで踏みにじった。「き、貴様ーっ!」愛する女の危機にベリアルは必死に腕を伸ばしたが、その右手の甲を、男は手にした銅の剣で刺し貫いた。「フンッ」悪魔の悲鳴をよそに男は鼻で笑う。4
2014-05-14 20:59:43それは恐るべき半裸の怪人であった。白髪に白髭。顔面に刻まれた深い皺。しかし、老齢とは思えぬ鍛え抜かれた肉体と鋭き光を宿す眼光。男は泣き叫ぶ悪魔を見下し、べろりと舌なめずりをして言った。「小童。教えてやろうかィ。なぜお前ら二人だけが生き残ったか」男はおもむろに股間に手を伸ばした。5
2014-05-14 21:06:22ムワワッ――、吐き気を催す臭気と共に醜悪怪奇なる馬の如き一物が顕となり、そのおぞましき威容に、色事を以って立身せし稀代の女忍者もたまらず瞳に涙を溜めて、ひいッと嗚咽を漏らす。だが男は更に嗜虐心を刺激されたか、憐れな二人の犠牲者に一物を見せつけつつ言った。「ワシは全能神ゼウス!」6
2014-05-14 21:15:11「全能ゆえに一目見ただけで分かった。貴様らが好きおうておることをな……。だから生かした!」ゼウスは千代女の袴を力任せに引き千切ると、熟れた桃のような尻へと自らを荒々しく沈めていく。「ギッギギギ……! 恋人の前で女を無惨に犯す! これほどの愉悦はあるまいて! のう! のう!」 7
2014-05-14 21:21:13「や、やめろ! やめてくれーっ! 俺はどうなってもいい。彼女は、彼女だけは助けてくれ」「ギギギ! そう急くでないわ。ワシは全能神。ゆえにホモセックスもお手のものよ。ガニュメーデース! この娘が使い物にならなくなれば、貴様の臀を存分に使うてやるからの」「こ、この外道ー!」8
2014-05-14 21:26:44「フンッ、何が外道か。ワシがたまに外界に降りればこぞって首を狙いにきおって。さりとて星空の神域で無聊をかこっておっても毎週末ごとに大挙して押し入り好き放題の勝手放題。どちらが外道よ。こんな役得でもなければやっとれんわ」悪魔には返す言葉もない。彼もゼウスの首を狙った一人だからだ。9
2014-05-14 21:33:54「うっ、ううっ、うっ……」ゼウスの下で千代女は屈辱に震え続け涙を流す。愛する女の痛ましい姿にベリアルの胸中は引き裂かれんばかり。「えー、ゼウスはまだ無理だよー」数時間前の記憶がフラッシュバックする。「大丈夫だ、何があっても俺がお前を守る。……俺は、お前の勇者だからな」10
2014-05-14 21:39:27だが、彼の蛮勇が仲間をーー火ノエルを、ケリ姫を、ポイズンエンチャンターを死に追いやり、愛する女の尊厳を踏みにじる結果となったのだ。「(クソッ、何が……何が勇者だ! 神よ、あなたに願う。どうか、この外道を。外道を屠る真の勇者を遣わしてくれ! そのためなら俺の命なんて……)」11
2014-05-14 21:44:29その時――! 哀れな悪魔の嘆きが天へと通じたのか。「ゲキョ――!!!」大気を切り裂く怪鳥の叫びが空に轟いた! 「何奴ッ!」ゼウスは身を起こし直ちに千代女を蹴り殺すと天を仰いだが、その顔に緑色の、異臭を発する唾のようなものが引っ掛かる! 「なんだこれは!」 12
2014-05-14 21:52:38次の瞬間――、全能神は見た。太陽を逆行に空を征く白い怪鳥の姿を。そして、その背に乗る一匹の獣の姿を。「鶴……!? いや、あれは……」聞いたことがある。口から草津の湯を吐き出す怪物の話を。確か、名をぐんまけ……い、いや! そんなことよりも、それに騎乗する獣の名こそ、あの……! 13
2014-05-14 22:01:11「ナカヨシノワーッ!」その獣が吠えた! せして、怪鳥の上から舞った! 重力に惹かれるまま獣は短い右手を振りかぶる! 「ナカヨシノワーッ!」「グウーッ!」全能神、間一髪ガード! しかし、重い! ただの獣の拳ではない! 獣はすかさず距離を取り、怪しく光る眼でゼウスを睨めつける。 14
2014-05-14 22:06:26ぞくっ――、とゼウスの背中に冷たいものが走る。辺りの空気が変わった。ドロップ変換か!? どこかに獣の仲間の魔剣士か忍者がいる。だが、曲者を見つけ出す暇はない! 「ナカヨシノワーッ!」再び獣が襲い来る! 「グオーッ!」変換からの右フック! ダメだ、あまりに重すぎる! 15
2014-05-14 22:11:47ゼウスのガードがこじ開けられ、獣の一撃が全能神の鼻梁を根本から削ぎ取った! 「グヌウーッ」激しく噴き出した神の血液が獣を赤く染め上げる。だが、神は倒れない。踏み止まり、左手にした雷で獣の左目を狙う。「ガニュメーデース!」しかし! 16
2014-05-14 22:19:22雷は止められていた。獣に突き刺さる数ミリ前で。たおやかな女の手によって。「き、貴様は……!」全能神が思わず呻く。女神はにやりと笑った。……イザナミ! 遥か極東の大地母神ではないか! ぐんまけんを騎獣とし、これほどの神格の守護を受ける者……。獣の正体、もはや認めざるを得ない。17
2014-05-14 22:27:30「キ、キティさん……」「ナカヨシノワァ……」認めるかのように、獣、いや、キティが不気味に呻いた。歪んだ口元から血に濡れた肉食獣の犬歯が垣間見える。……キティ。どんな汚れ仕事もカネ次第で引き受けるプロ中のプロ。その小さな体躯、短い四肢からは考えられぬ程の剛力を発揮する鬼の化身。18
2014-05-14 22:32:25ごくり、と口中の唾を飲み込むと、ゼウスは距離を取り、右手の剣、左手の雷を構え直した。「武人として……お相手願いたい」「ナカヨシノワァ……」キティは四つん這いになり、獣の獰猛さを見せつけながら凄み全能神の覚悟に応えた。武で挑まんとする相手に対し、あくまで一匹の獣として対峙する。19
2014-05-14 22:38:50「ナカヨシノ……」まるで爆ぜたかのように「ワーッ!!」獣が跳んだ! 「ゲキョーッ!」同時に空中の怪鳥が緑色の唾を吐きかける! 草津の湯! 「ガニュメーデース!」身を捻って全能神が回避。しかし、獣の一撃が脇腹を抉り、折れた肋骨がゼウスの肺を傷付ける! 「グアーッ!」吐血! 20
2014-05-14 22:45:11「ヌウーッ!」しかし、ゼウスは怯まず、鉄の拳をキティへ叩きつける。背後のイザナミがすかさず受け止めるが、その拳圧のままイザナミを撃ち殺した! 「ナメるな糞アマッ!」さらに後方に雷を投擲! 「ゲゲエーッ!」身を隠しドロップを操作していた風魔小太郎が断末魔の悲鳴を上げる! 21
2014-05-14 22:49:05「残るは一匹!」振り下ろした剣がグーンッと伸びて空中の怪鳥を一刀両断。「ゲキョーッ!」しかし、胸元の獣が全能神の胸元へ飛び付いていた! 「ナカヨシノワーッ!」腸を喰いちぎらんとする! 「グオオッ!」迎え撃つゼウスの拳。打撃の衝撃が大気を揺るがし、白い獣も流石に飛び退る。21
2014-05-14 22:54:13「ヌウウ!」ゼウスがたまらず膝を突く。鉄の腹筋はたやすく噛みちぎられて、溢れ出す腸を右手で必死に押さえ付けている。「ナカ……ヨシノ……」だが、獣も流石に無傷ではない! 口から噛みちぎった腹の肉と共に、彼女自身の血を吐いた。「ワ……」「クックッ……。貴様は最後の勝機を逃した!」22
2014-05-14 22:59:56息を荒らげながらも勝ち誇った顔で宣言する。全能神の眼力はキティの秘密を見抜いていた! あの小さな体躯で爆発的な攻撃力を発揮するには何らかのトリガーがあるはずだ。……おそらくは仲間の協力。いわゆるスキルの存在が彼女にあの獰猛さをもたらしている! ゼウスはそれを見抜いていた。23
2014-05-14 23:03:50