俺とよるほーの100日ちょっと

カイン @gyoniku

何故続けるのか、そう彼に聞いてみたことがある。対する彼の回答は、ただ一言、「分からん」。誰が、いつ、どう広めたのか、一切不明。神秘のベールに包まれた、謎多き文化。だからこそ、人はその四文字に惹かれてしまうのかもしれない。「よるほー」。ただそれだけで、今宵も人々はゆるく繋がり合う。

カイン @gyoniku

「TLにはよるほーとありますが」「はい、よるほーです。深夜0時の訪れを知らせます」「……で、そのよるほーは、他人のTLに流される上で何のメリットがあるのですか？」「クソ程もありません。よるほーも、全てのツイートにも等しく価値が無い」満足した試験官はニヤリと笑い、彼をリムーブした。

カイン @gyoniku

「先生、急患です！」「またか。これで何件目だ？ 原因不明の昏睡、外傷は一切無し。薬物、毒物の形跡も無し。共通点は一つ。全員、携帯電話を握り締めたまま脳が焼き切れていた、と」「ケータイ中毒、ですか？」「……オカルトだよ、そんなもの」そうして着々と進行するよるほーテロの犯人が俺です。

カイン @gyoniku

@mokkorikuku よるほーは遊びじゃねェんだ。生半可な覚悟でこの世界に首突っ込んだらよ、死ぬぜ？

カイン @gyoniku

よるほー。大好きだったお爺ちゃんは完全に耄碌してしまって、思い出したようにこの一言を喋るだけだ。「お爺ちゃん、よるほーって……何なの？」 答えを知る前にお爺ちゃんは逝ってしまった。だから僕は、答えを求めて旅に出た。これが僕に出来る限りの供養だから。時計の針は0時丁度を指していた。

カイン @gyoniku

「……つまり、探偵さん。被害者は一ヶ月も前に死んでいて、なんらかの方法でそれを隠していたと」 「ええ。今は便利なツールも沢山ありますからね。道具の進化を逆手に取った、教訓とも言える事件でした。そして、定時の生存確認となる“よるほー”によってそのトリックを可能にしたのが」 俺です。

カイン @gyoniku

「一日一回のよるほーを欠かさないだけで脳年齢がみるみる若返る！ ボケ防止に、よるほーで始める健康な毎日！」などと謳い取り込んだ主婦層が「今、ツイッターで急増する“よるほー”とは！？」「にわかよるほーウゼエ」などと話題になる暗黒の時代をワイングラスを傾けながら眺める黒幕が俺です。

カイン @gyoniku

近未来。深夜を熱く彩るエクストリームスポーツ・よるほーの選手である貴方は、鯖への負荷を掛けつつ完璧なよるほーをキメる「G・よるほー」の使い手として名を馳せていた。しかしその夜の対戦相手、外套の下に隠された素顔は、G・よるほーの開祖……次回、「復活のクジラ師匠」に、フォローミーッ！

カイン @gyoniku

「知ってるか？ 二十歳までにこの言葉を忘れないと、そいつは必ず死んじまうんだ。恐ろしい話だよな？ ケケッ……まあ安心しな。こんな変な言葉、すぐ忘れちまうさ。将来、下らない笑い話としてでも思い出してくれや」貴方がすっかり忘れていたその言葉。それが、今、目の前に流れる……“よるほー”

カイン @gyoniku

「だから今日も、俺は呟くことを止めないのかもしれない。“よるほー"。哀れな道化と言われても、俺はこの言葉を止める術を、立ち止まる方法を忘れてしまった。ふぁぼ乞食は冥府魔道……この文明を滅ぼした悪魔の誘惑……」「は、博士！？」失われし文化・ツイッターの禁忌に触れ呪われたのが俺です。

カイン @gyoniku

「八月九日。雨。この無人島に流れ着いてから早三ヶ月。一向に救助の気配は無い。俺のいないTL、彼らは気にも留めずに楽しくやっているんだろうな。おっと、0時だ。よるほー」「九月九日、助け来ない。よるほー」「十月。よるほー」「よるほーよるほーよ（ここから先は掠れて読めなくなっている）」

カイン @gyoniku

私が如何にして“それ”と出会ったか。その始まりを説明するのは簡単だが、理解は出来ないだろう。その文化は単純であり、複雑でもあり、何よりも奇妙すぎたから。尚、このpostはよるほーとは一切関係ありません。長文よるほーを読むと無意識にふぁぼってしまうという発言に基づいた思考実験です。

カイン @gyoniku

「ヘヘッ、俺としたことが、無理なよるほーが祟ってツイッタラー生命を絶たれちまった……だがな……！」 「おとっつぁん、もうやめて！」 「うおおっ、よるほー！ よるほー！」 彼らは、文字通り命を削りネタを捻り出す。ひたすらに星を目指すその姿は、火に群がり燃え尽きる虫たちの様であった。

カイン @gyoniku

「何、呟く度に“北”に資金が流れる魔法の言葉がある？ ……馬鹿言っちゃあいけねえよ。俺はその、いんたあねっと、ってやつに明るくないが、多分不可能さ。ま、潜入してみますかね……ツイッター、とやらに」これが記録に残る探偵の最期の肉声だ。彼が呟いた最後の言葉は……そう、「よるほー」だ。

カイン @gyoniku

いくらその言葉を重ねても、もう、満たされることはないのだろう。初めてそれを呟いた時のあの快感、興奮。そんな感情は失われて久しい。そも、それが何を意味していたのかすら忘却の彼方。しかし、毎晩TLに流れるその言葉を見る度、俺の意識が勝手に呟くんだ……「よるほー」。それは午前零時の幻。

カイン @gyoniku

最近起床postとよるほーしかしてないような気がしてならないのだけど、ツイッターで上手く立ち回る術として「希少性」が挙げられていたのに倣いどんどん希少な生物になり遂には絶滅危惧種に指定されるものの手厚く保護しすぎたせいで今度はゴミの如く扱われる様になって最期はひっそりと死にたい。

カイン @gyoniku

かーッ、やっぱり仕事の後のよるほーは格別だぜぇ！ おい、なんだ新人、よるほーしねえのか？ ……何ィ、最近の若ェのはよるほーの仕方も知らねえのか！ ヤだねぇ、ゆとりって奴ぁ！ いいか、俺が若い頃はなあ……

カイン @gyoniku

「なあ、毎晩一生懸命パソコンに向かって何やってるんだ？ 勉強なら父さんにも任せろよな。こう見えてもな、父さん、昔は……ああ、まずはお前からパソコンの使い方を教わらないとな、ハハッ」「うるせえクソジジイ！ TLに乗り遅れるだろうが！」 ……過度のよるほーは貴方の家庭を崩壊させます。

カイン @gyoniku

「ああ、君のそれ、そのpost。もしかしてよるほーのつもりかい？ ……フッ、失礼。私の国のよるほーと比べたら、まるで児戯に等しいものだから。この日本という国は平和なのだと再認識していた」 「あ、あのフクロウの紋章、アイツまさか……！」 「YORUHO（吹っ飛ばされる主人公たち）」

カイン @gyoniku

『脱出ゲーム・よるほールーム』 後頭部の鈍い痛みに目を覚ますと、そこは密室。記憶を失った貴方の手には携帯電話が握られていた。圏外……しかし、その画面に残された「よるほー」の一言は、この状況を打破する切り札となる。そんな気がした。が、助けは来なかった。貴方は死んだ。GAMEOVER

カイン @gyoniku

百の会話を交わすよりも、一の言葉の方が余程強く「繋がり」を感じる事があるように、この文化もまた、不器用なコミュニケーションの一形態として発達しているのだろうなあ。つまり、まあ、なんだ。よるほーってこったよ。

カイン @gyoniku

「よるほーが権利だと思ってる、そこのお前。一度よるほーと呟いた瞬間から、奴はその性質を変える。……義務になるんだ！ 奴からは決して逃れられぬ。深夜0時、奴は俺のタイムラインに現れて、よるほー、また今日も、ああ、よるほー、よるほーよるほー、よるほー……」（手記はここで終わっている）

カイン @gyoniku

「一流のよるほー戦士たち、その昼の姿は散々なものである。社会人ならぬ社壊人。学業に生きない学生。だが、それらも全てこの瞬間のため。深夜0時を迎えた瞬間、彼らは真の姿を現すのだ。伝説によれば、彼らは“よるほー”の一言で岩を砕き、滝を割り、空を裂く……というわけだ」 「いいから働け」

カイン @gyoniku

……む、今きみ、何をpostした？ あーあー、やっぱりなー。これだから新参者は困るんだ。このタイムラインでは無断よるほーは禁止されてるんだよ。それでもよるほーしたいって言うなら、ここからずっと南にあるミクシィボイス村に行くといい。まあ、あそこは治安が悪いからね。気を付けなさい。

カイン @gyoniku

「よるほー」0時ジャスト、たった一言だけそう呟くのはベテランツイッタラーのAさん。「最近の新参は本当のよるほーを知らないから困る。よるほーは神聖で不可侵、競技的な側面を持つ真剣勝負だというのに」Aさんのような昔気質のよるほー人は徐々にその数を減らし、今や絶滅危惧種とされている……