転成合神ゲンキダーＪ〜序章〜

ゲンキダーＪ @Genkider_J

驚いた。タコ杉のやつ、子どもを逃がすどころか、ゲンキダーＫを召喚しやがった。まだまだ半人前だっていうのに。でも、Ｋのやつ転成合神の術を成功させやがった。僕だって何年もかかったのに。ならばこんなところでくたばってなんかいられないよな。もう一度だ。天狗の底力、見せてやるよ。

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「こんなの、聞いてないぞ？！」不意に現れたＫに驚き隙が生まれた。今しかない。フルパワーで束縛を振りほどいた。「高尾の天狗と絆を結び、蔓延る悪から護り抜く！転成合神！ゲンキダーＪ！」「同じくゲンキダーＫ！」

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「いくぞ！ゲンキダーパンチ！」「ゲンキダーキック！」ＪとＫの技が炸裂する。「親子の絆、受けてみろ！！ゲンキダーダブルパンチ！！」二つの拳がぞう怪人の土手っ腹に、深々と突き刺さった。ガチン！と音がして、象の姿はみるみるうちに、古びた骨の化石に戻っていった。

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「ハチオウジゾウの化石に戻ってしまったか！！く、くそー！覚えていろ！！皆のもの、ひけひけ！！」将軍風の男は、戦闘員を引き連れ、次元の彼方へと今度こそ去っていった。「子ども科学館に戻さなくちゃね」骨を拾い上げ、Ｋ、いや、我が子が言う。

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「それを言うならサイエンスドームだろ？まあいい。天狗の力でうまいことするさ、な？ゲンキダーＪ？」僕は術を解き、そこにいる二人の烏天狗のうち大きい方に喋りかけた。仕方ないなという顔で笑っていた。「僕らはイベントに戻るよ。ありがとう」

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「またね！」「うん！」無邪気なものだ。あんな出来事があったのに、子ども同士っていうのは、すぐに友達になっちまう。それが子どもの強さかな。「また、力が必要になったら、力を貸す」ゲンキダーＪが言う。いやいや、そんな出来事、金輪際ごめんだよ。

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僕は二人の烏天狗に別れを告げ、登山道に戻った。イベントは改めて仕切り直しだ。そんなことを考えて我が子と手をつなぎ、山路をゆく。

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風が気持ちいい。こんな日はここに上るに限る。太い枝に座り、街を眺める。「また、ここにいるんだ。あの親子、また会えるかな、Ｊ？」Ｋのやつがその上の枝にぶら下がり、声をかけてくる。「どうかな。この街には強い絆がある。それさえあれば、何者にも負けはしないさ」

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「それでも力が足りない時は…」「その時こそ、僕らの出番さ。さて、そろそろ戻ろう。源気谷の長老連中にが、待っている」「マスターの修行もね」二つの羽音が、高尾の山の奥へと消えて行った。そこには初夏の到来を思わせる風だけが、山々に吹き抜けていった……。

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「やっぱ山はいいですね、ボス」「今度は三福団子にしましょうよ」黒いつなぎを来た二人の男が、現場監督風の男の後に続いて山を登る。現場監督風の男は、何故かイライラしているようだった。

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「馬鹿もん！我々は登山を楽しんでいるのではない。敵陣視察だ」唾を飛ばして一喝。「でも、ボス。それは…その手には天狗焼きが…。「こ、これは、天狗を食らうというゲン担ぎだ〜！今度こそ、見てろよ！ゲンキダーＪめ！……ん？」

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男が足元を見ると、近年できた山頂に続く給水施設の土管が、先日の大雨によって頭を出していた。 「よーし、こいつを使って…見てろよ、ゲンキダーＪめー！わーっはっはっはっ」その背後でヒソヒソ。 「ボス、また何か考えたみたいよ」「普通に入れてって言えばいいのに。素直じゃないね」

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世界一の登山客数を誇る高尾山には、本当に色んな人が登って来るのでした。