新聞屋さんとラミ男騒動

開店二日目でこれですよ。もう世も末ですね。
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触手専門店 @syoks_shop

悲鳴と騒音が聞こえる。「ちょっと、どうしたんですか!」『店主やばい!ラミ男のやつが暴れまわってて!』「牛女は?あの怪力なら止められるはずです」『無理だよ!もう何匹かあいつの歌でバタバタ倒れてんだ!牛女も蛇女も耳栓してるからいいけど...もうやばい!店主早く!』

2014-05-19 23:41:10
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「チッ!お客様を全員店から出しなさい!今すぐ!!」『わ、わかった閉店時間だしね!お客さん帰らせるよ!』触手生物たちがちりじりになり、店内の客を外へ出し始める。店主は腕まくりをしながら店の奥へと歩を進めた。

2014-05-19 23:44:07
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店の奥から人間のものではない声と、聴くと思わず身の毛のよだつような旋律が聴こえてくる。声の主のまわりで必死に主を静止しようとしているらしい人間がいるが、その手に力はなく、へたりこんでいる二人の女がいた。女たちは店主の姿を見かけると同時に叫んだ。『『店主!』』

2014-05-19 23:53:34
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「ラミ男!」店主は一喝すると同時にその声の主に蹴りを入れた。声の主は壁に思い切り叩きつけられ、その衝撃に歌うのをやめてぼんやりと店主を見つめた。 『あ、れ...俺...』 「ラミ男、どうしてこんなに暴れたんです。あの二人はお客様ですよ?」 『お...客..でも』

2014-05-19 23:58:03
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『店主がすごく困ってたから...俺...』 「いや、助けてくれるのはありがたいのですが、歌で人を殺そうなどとしてはいけませんよ。あなたの歌はそのためにあるのではないはずですよね?」 ラミ男はしゅんと肩をすくめた。『でも、俺...また店主、いや屋敷主がいなくなるのかと思って...』

2014-05-20 00:00:50
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「いなくなりませんよ僕は..一体何の話を...」『だって、この前まで屋敷でずっと一緒だったのに....夜起きたら...屋敷主も誰もいなくなってて....』そこまで聞くと店主と女たち、そして他の触手生物たちはぎょっとした。『ぁ、もしかしてあたいたちが店主を店に連行した時の』

2014-05-20 00:04:37
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「俺...すごく不安で...屋敷の中、屋敷の外の庭、外の森の中、泉の近く...もういろんなところ探して探して、でもみんないなくてすごく不安で....屋敷に戻ってまた寝たらみんなぞろぞろ帰ってきて....俺、おいてかれるのすごくいやなのに.....ひっく」ラミ男はついに泣き出した。

2014-05-20 00:06:42
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(なるほど自分たちがほぼ責任だ!!)ラミ男以外の全員がそう思った。以心伝心、皆の心は一つだった。わぁわぁと泣きじゃくるラミ男をみんなでなだめる。「すみませんラミ男。あの時は僕たちも悪かったです。」『というか屋敷主を連行したあたいたちが悪いんだよ!』口々に謝罪を述べる中、牛女が

2014-05-20 00:09:28
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『モォごめんねぇ、だってラミ男ちゃん、影が薄いんだものぉ☆』 その一言でその場が永久凍土と化した。店に氷河期がやってきた。寒い、というか空気が重たいこの店にかかるGだけが意図的に操作されたかのように。『牛女ァーーーーーーーッ!!!!』その場の(ラミ男除く)全員が牛女に叫んだ。

2014-05-20 00:12:32
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『うぇえ、俺、影...うすいんれすかぁ...うえぇ屋敷ぬしぃ...ヒック、ぐず』「ホラホラもう泣くのはおよしなさい。せっかくの整った顔が台無しです。いいですかラミ男、置き去りの件は一同揃って謝ります。今回のような暴走に発展したのもこちらに非がありますからお咎めはなしにしましょう」

2014-05-20 00:16:35
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「ただし、今回みたいにお客様に危害を加えるような行為は一切許しません!僕との約束ですよ?」『う、ぁ...はい...じゃあの二人なんだったん..ですか?』「あぁ、あの二人は新聞屋さんですよ、ウチの店が開店したから遊びに来てくださったんです。まぁ取材はお断りしたんですけれどもね。」

2014-05-20 00:19:20
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「さ、わかったらもう泣きやんで大人しくしなさい。いいですね?」店主が優しくぽんぽんと頭を撫でるとラミ男は小さく はい、とつぶやいた。『ひぁー!一時はどうなるかと思ったよあたい』『モォ~新聞屋ひとつでこんなことになるなんてぇ~』女たちがその場に横になると店主が手を叩いた。

2014-05-20 00:22:31
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「さ、皆さん戸締りして帰りますよ。はぁ~眠い。全く誰かの訪問の度にこんなすったもんだじゃ身体が持ちませんよ。」店主がため息をついた。 やがて店から灯りが消え、本日の触手専門店は営業を終了した。

2014-05-20 00:25:02