世界の艦船平成2年(1990年)4月号 海上自衛隊の潜水艦隊

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海自の涙滴型潜水艦

ふゅ〜りあす @tebasaki_s

海自初の新造潜水艦おやしお型(昭和31年度計画艦)、最初の計画案では1軸推進でずんぐりとした革新的な船型だったが、用兵側の支持が得られず、細長い在来型の水中高速潜水艦の建造案に。 計画が概成した同年11月に、米海軍艦船局に海自調査団が渡米。 #世艦 #420 初出 #320

2014-05-22 23:04:07
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

米「水上、水中、どちらの性能を重視した艦を建造するのか?」 日「両方である」 この返答により、話の成り行きによっては提供するはずだった涙滴型船体実験潜水艦アルバコアの実験データを引っ込める事となった。 #世艦 #420 初出 #320

2014-05-22 23:07:16
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

検討会の最後に涙滴型SSバーベル級の透視図を渡された事も合わせると、日米双方の担当者の「あーあー」と云う声が聞こえそうなエピソードである。 ちなみに団員だった筑土提督は、「アルバコアを見ていくか?」と聞かれてポーツマスで見たそうである。もっとも入渠中を遠影でだが #世艦 #420

2014-05-22 23:14:14
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

バーベル級の透視図の寄贈エピソードは、「丸」419号「日の丸ティアドロップサブ海底王列伝」。 昔は古臭い煽りめいたタイトルはどうかと思っていたが、不調と云われる「世界の艦船」に比べ好調と云われる「丸」の差を比べると、どっちがいいのかよく分からなくなる。それだけが理由ではないにせよ

2014-05-22 23:31:40

水中高速標的艦 ターゲットサービスの時代

ふゅ〜りあす @tebasaki_s

帝国海軍を、というより我が国にとどめを刺したのは潜水艦だったので、海上防衛任務の主体は対潜となり、当時の世界の趨勢は「潜水艦には潜水艦で」というのが当時の世界の趨勢だった。しかし潜水艦建造など口にするのもはばかられる風潮だった。 #世艦 #420

2014-05-26 23:59:09
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

他方、対潜訓練、特にソナー訓練には実物の潜水艦が欠かせない。当初は米潜水艦の派遣に頼ったが、そういつでも来てくれる訳ではなかった。作戦中の戦力であったから当然ではあるが。 そこで潜水艦の貸与を要請する事になり、ガトー級が1隻貸与される事に。 #世艦 #420

2014-05-27 00:03:51
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

「対潜訓練目標」と言うことでシュノーケルも無かった「くろしお」だが、ともあれ海自潜水艦部隊の草分けとなった。 で、「くろしおだけだと数が足りない」という事で国産潜水艦が建造される事になった。「水中高速目標艦」と称された「おやしお」である。 #世艦 #420

2014-05-27 00:09:08
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

生い立ち故に水中高速型ではなく、水上航行もそれ相応に考慮されていたが、目的からすると間違ってはいないと思う。 事実、「はやしお」型も対潜訓練標的とハンター・キラーを任務とし、「なつしお」型「おおしお」もそれに続く。作戦専任艦の建造は「あさしお」型が最初になる #世艦 #420

2014-05-27 00:16:50
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

ちなみに「はやしお」型は、米海軍に依存しにくくなった対潜訓練目的艦を増加させるために、小型化され34年度に2隻建造されている。続く「なつしお」型は35年度に2隻。 隻数の急増が至上命令であった事がよく分かる。 出来る範囲で対潜潜水艦としての能力を持たせて。 #世艦 #420

2014-05-27 00:21:23
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

純粋な水中高速型、対潜潜水艦でなかったのは実情に応じたものではある反面、涙滴型船体の導入はかなり遅れて「うずしお」型からとなった。当時の状況に過適応したといえるかもしれないが、「当時の運用者は見識が無かった」と後知恵で批判する気にはなれない。 #世艦 #420

2014-05-27 00:26:33

16隻体制

ふゅ〜りあす @tebasaki_s

「厳然と存在する16隻の枠は、NS80より強靭なタガを海上自衛隊にはめこみ、柔軟な運用すらできにくくしているのである。潜水艦乗りが口を開けば「足りない、足りない」というのはこういうワケがあるからだ。 #世艦 #420

2014-05-26 23:38:14
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

「16隻体制とかなんだよ。防衛大綱の別表定めたやつしね!」感がやたらとすごいけど、こういう共通認識があった事も忘れられていくのだろうなぁ。「潜水艦16隻体制の隻数に大した根拠はない」に対するすごい反発を見たことがあるし。 #世艦 #420

2014-05-23 00:24:11
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

大綱定数の16隻に満たない14隻しかない潜水艦、しかしまだ使えるのに16年で除籍されていく。こういう時期に特務潜水艦(ATSS)が誕生。 整備や哨区への移動は無理にしても、せめて訓練等に数少ない潜水艦を使わなくて済めば、その分余裕が出来る。運用に制限があっても。 #世艦 #420

2014-05-23 00:35:12
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

潜水艦に限らないが、前線に就ける兵力は1/3と云われる。 1/3が哨区、1/3が修理・整備、1/3が哨区との往復と教育訓練。 で、対潜水艦戦が主任務と考えると、3海峡付近や沿岸での待ちぶせ。 3海峡に1隻づつ張り付くとしても3隻、通常はペアであろう事は無視する。 #世艦 #420

2014-05-23 00:49:27
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

加えて、沿岸、千島沖、はてはシーレンに貼り付けるとなると、各1隻としても既に6隻。 で、16隻の1/3はと考えると5隻強。とても積み上げ式で、所用兵力を考えて定められた数とは思えない。 #世艦 #420

2014-05-23 00:52:14
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

有事における海自潜水艦の展開状況 #世艦 #420 pic.twitter.com/8kjRXdBDrr

2014-05-27 00:29:15
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ふゅ〜りあす @tebasaki_s

ここで「防衛計画の大綱・別表」の保有量ではなく、但し書きに注意してみる。 「この表は、大綱策定時において現有し、または取得を予定している装備体系を前提とする」 つまり、その時点までで最も多く所有したのが16隻という追認にすぎない。 #世艦 #420

2014-05-23 00:55:41

22隻体制からあれこれ

ふゅ〜りあす @tebasaki_s

近年ようやく大綱別表の潜水艦が22隻に増やされたが、その1/3は7隻強。先ほどの所用隻数の計算からすると足りないが、長年16年の寿命を持つ潜水艦を年1隻建造でやってきた事による制限のなか、出来る範囲で増やしたのだろう。

2014-05-23 01:06:01
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

それに練習潜水艦(TSS)の数も増えた分、哨区に就ける艦も増えるはずだ。

2014-05-23 01:06:30
ふゅ〜りあす @tebasaki_s

「政治的に、現実的にはこれだけしか整備出来ない」というのは分かる。軍備に限らず必要なだけリソースを注ぎ込める仕事なんてそうそう存在しないし、国に事業は妥協の産物でしかないし。いくら理想としても過疎地に大都市と同じように病院を作れないし、その折り合いをつけていく事こそが政治だし。

2014-05-23 01:17:01