僕は本を読んでいる。 山の手線外回り日暮里と鶯谷の間くらいだろうか。 規則的に揺れる車体音と、目の前の人間をまるで風景として認識しているような無関心な空気が心地良いのだ。 左に座る女の匂いと、車窓から差し込む西陽を反射する右ページが僕の世界を少し邪魔している。→@ukuf_ok
2014-05-16 21:41:35@lyndsay830 「そして世界は時を止めた」 この右ページに書かれている。今時が止まったとして僕は何を思うだろう。息を止めた夕焼けに何を思うだろう。進まない世界に意味はあるだろうか。 電車は進む。あと数駅で僕は降りる。勿論時は止まらない。→@iluvucuzuareu
2014-05-16 22:04:47@ukuf_ok がたんごとん。僕は無機質な音に問う。 「目的地がないならば、それは進んでいると言えるのだろうか」 前を向いていれば気がつかない。けれど僕は気がついてしまったのだ。永遠に進み続けることは、進まないことに似ている。 電車は、足を止めた。→@gi_li_xxx
2014-05-16 23:51:31@iluvucuzuareu ひとつ呼吸して外に出る。僕は物言わぬ彼を見送って、それから、丁寧に世界を踏みしめた。湿気を含んだ5月の風が肌を撫でては吹き抜ける。 「時を、止めに行こうか」 確信めいた思いつきに鼓動が早まる。僕は、人混みからそっと体を離した。→@peace_ke
2014-05-17 11:08:54@gi_li_xxx ふと腕時計を見る。17時を少し過ぎた所を指す針はカチコチと、静かに時を刻む。試しに針を止めてみるが、時が止まるはずはない。 「時の止め方を知っているかい?」僕を見つめる猫に問う。猫は「ニャア」と鳴いただけで、人混みの中に姿を消した。→@aki_koara
2014-05-17 12:56:38@peace_ke 僕もまた人混みへと混ざる。空はもう青くなり始めていた。 時を止め、今動いているもの全ての規則を終了し、音を失くし、僕が僕である核が宙に舞ったその先には、一体何が残るのか。そこに君は居るのだろうか? ふと、覚えのある香りがした。→@hatonoeris
2014-05-18 23:12:32@aki_koara 電車で代わる代わる隣り合わせるものとは違う、記憶を震わせる香り。終わりへと向かう空が感傷を掻き立て、歩き出す事が出来ない。人混みにいながら、独り切り離された様だった。同時に、確かに止まっていたはずの過去が色濃く、僕をいざなっていく。@kashiwam0chi
2014-05-19 23:30:04@hatonoeris まるで、白昼夢を見ているよう。あの日の光景が瞼の裏で蘇る。名も無いギターリストの演奏。落書きされた路地裏。場違いな時計台。この場所で、いつも誰かとたこ焼きを食べていた。誰かと他愛のない話で笑い合っていた。誰かと…。 →@honekha
2014-05-20 00:04:40@kashiwam0chi 全ては、おぼろ雲よりも淡く遠く。過ぎ去った時は一秒一秒が凍結されていた筈なのに、今になって開放されたそれらが、陽炎のように揺らめく。記憶が時を追い越していく。時計台の影で渡した誕生日プレゼントの香水。はにかんだ君の笑顔。→ @daidainyaaaa
2014-05-20 00:56:58@honekha 「さよなら」と追憶を抱きしめながら歌う。さよなら、さよなら、またいつか会いましょう。囁く歌が雑踏の中、ソーダ水の気泡みたいにぽつぽつと天に昇る。やがていつかこの歌は、追憶の人々の耳元で弾けて同じくセンチメンタルな白昼夢を見せるだろう。→@yukikuroune
2014-05-27 21:39:20@daidainyaaaa 追憶こそ、時を止めるための手段なのかもしれない。 僕の記憶に棲み着く君は、あのまま時を止めているし、思いを馳せる僕はそこで足踏みしているのだ。 反対に、ふわりと漂って誰の心にも残らないのは、時を泳いでいるということだろうか。 @Tsukune_1138
2014-05-27 23:18:18@yukikuroune 瞼を閉じると、眼前に白い大陸が迫っていた。ただただ薄荷水の匂いとミルズクロクラゲのみが漂うその光景を、僕は呆然と眺めていた。さよなら、さよなら、さよなら。耳の奥に残るその囁きは雪の中に埋れて消えていった。@_nmt1
2014-05-28 15:26:09@Tsukune_1138 雪の中の記憶に手を伸ばす。つめたくてあたたかいそれは、触れるとじわりと溶け、ぽつりと零れ落ちた。さよならを置いていった君と忘れ方を知ってしまった僕。いっそ海に飛び込んでしまおうか。→ @kofkof317
2014-05-28 16:51:23@_nmt1 ざぶん、と音を立てて思い出たちが沈んでいく。不確かな勢いで僕を責め立てる一方で、泣きたいほどの優しさで包み込まれた日々を救う手立てを探している。錆びついたひかがみ、爪先で震える氷の粒。僕はやはり動けない。君の微笑む顔がじわりと滲む。→@Clover8Key
2014-05-28 22:35:15