秀吉の婿入り

リカ=アナグラム @rika_anagram

こんばんわ。今夜のワンドロ課題をみて気になった世界があったので見てきたわ。

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あの二人の決意の物語を見てきたのでみてみなさい。

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タイトルはそうね。「秀吉の婿入り」と言ったところかしら。

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「ワシみたいなのが行ってもいいんかなぁ。」

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ここは六軒島へ向かう船の上。

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普段の彼を知る人から見れば「らしくない」と言うだろう。

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浮かない顔で一人船首にてごちる。

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深く煙草を吸い、息を吐く。

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「絵羽のやつは気にするこたぁ無いと言うとったが、ワシみたいなオッサンが行ったら機嫌がわるぅなるんじゃないやろか。」

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フゥー 今度は溜息をつく。

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「あなた、こんな所で何やってるの？」

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船内から絵羽が出てきて声を掛ける。

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「またつまらないことを考えてたんじゃ無いの？お父様のことなら気にしてもしょうもないわよ。」

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このやりとりも何度目だろうか。

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「そう言うても仕方ないやろ。お嬢さんを下さい。と言いに行くんや。緊張すなと言う方が無理な話や。」

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今度は絵羽が溜息をつく。

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「お父様の不機嫌ならいつものことなんだから気にしちゃ駄目よ。いつも通りのあなたで行けばいいのよ。」

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「普通に考えても娘の婿相手には苦い顔になるっちゅうのに、こんなオッサンが若い娘を下さい言いに行くんやで？ワシが同じ立場なら会いもせんわ…」

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そんな秀吉を横目に絵羽は隣に立つ。

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「いいのよ。お父様のことなんてどうでもいいじゃない。認めてくれないなら認めてくれないで、そのまま……家を出てしまえばいいのよ。」

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少し躊躇いつつも絵羽が語るその言葉は、震えつつも確かな意志が籠っていた。改めて秀吉は隣に立つ彼女を見直した。

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不安気な表情は隠そうともせずに…

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「絵羽、本当にええんか？結婚を決めた時だってお父はんを見返してやりたいゆうてたし、何より何年も一緒に暮らしてきた家族なんやで？」

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問う言葉に絵羽は視線をそのままに…

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船の行き先を真っ直ぐに見つめたまま弱気に言葉を紡ぐ。