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山下天明
@tennmei_tis
天明】ぶらりと黒かばんに学校指定のサブバックをもって家に帰るでもなく気の向くままに歩いている。歩き続けている。ごくまれにだが、唐突にどうしようもなく歩きたくなるのだ。ひきこもっていたくない気持ちになるのだ。
2014-05-30 22:09:53
山下天明
@tennmei_tis
天明】日は地平線の向こうへ、とうの昔に落ちている。今じゃ頭の上にはしんしんと月が白く輝いているのみだ。月明かりと等間隔に灯る街灯を頼りに彷徨っているが、こうも暗いと色が見えやしない。自分の好きな色が形を潜めている。丁度黒い布で目隠ししたようだ。
2014-05-30 22:12:50
山下天明
@tennmei_tis
天明】色が見えないのがどうにも、気に入らない。気に入らないならどうにかしてその鬱陶しい布をとっぱらってやれ。明るい夜にしてやろうか、いっそのこと。そして昼を暗くしてみようか。逆転の発想だ。また何か違うものを感じるかもしれない。とんとん、一度立ち止まって爪先で地面を鳴らす。
2014-05-30 22:15:48
山下天明
@tennmei_tis
天明】頭の中で自分の声が響いた。どうやら自分は目の前の世界に不服でありながらも光景を美しく感じているらしい。おもわず鼻で笑う。
2014-05-30 22:19:30
山下天明
@tennmei_tis
天明】ふん、ともう一度鼻で笑い歩み出す。とんとんとん。先ほどより１テンポのよい歩調で地面をたたく。家に帰る気はどうにも起きない。夜だから寝てしまっているんだろう。なら無理に叩き起こす必要もない。
2014-05-30 22:23:27
山下天明
@tennmei_tis
天明】くだらない、と一言吐き捨てよう。自分が持つ無駄な反骨精神は何も人だけに向けられるものではなかったようだ。気にくわない夜の黒にその姿は溶け込んでいく。
2014-05-30 22:25:08
山下天明
@tennmei_tis
天明】夜を明るくできないなら、楽しむ方法をいつか見つければいい。黒い烏を白だと言い張るより、ずっとマシな気がするから。今だけは、
2014-05-30 22:26:41
狭間 駿
@c_yu_n
狭間】ゆっくり、ゆっくり、杖を出しては一歩ずつ歩く。排気音。ビルのあいだを、ひゅう、と抜けていく風。一歩ずつ、足元を確認しながら歩く。
2014-05-31 20:54:06
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@M_Tstory
大貴】歩道橋の下ではゴウゴウと車が唸りあげている。音を煩く思いながらも歩道橋の手すりに両腕を置き車道の両脇を歩く人間を眺めている。季節のせいか、全体的に服の色がモノトーン調だ。街路樹も禿げているし余計に寒い気持ちになる。
2014-05-31 20:52:07
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@M_Tstory
大貴】正直、自分の体温は人よりぐっと冷たいので常人の寒い感覚とは違うわけだが。視覚的に寒い。ため息をひとつ吐いて人を眺める。先月の中頃から２人の人物を探しているのだがやはり、ご縁はそうそう紡がれるものではないようだ。
2014-05-31 20:53:43
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@M_Tstory
大貴】時を司るどこかの国の神はウラノスとクロノスだったか。確かそんな名前だった気がする。母が遺した本棚においてあった本にはそんな事が書いてあった。チャンスの神は前髪しかないから、掴むチャンスは一度きり。
2014-05-31 20:56:46
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@M_Tstory
大貴】視線をなんとなしに車道脇の歩道へうつせばゆらりと白いものがゆっくりと動いている。一瞬、幻覚か何かで雪を見たかと思ったが、「……」見たことのある頭だ。寄りかかるように歩道橋の手すりに身を預けていたが、パッとはね起き勢いよく階段をおりていく。
2014-05-31 20:59:26
狭間 駿
@c_yu_n
狭間】目を上げて見るようなものもないから、地面を見たまま歩く。気をつけないと、感覚のない足はすぐにたやすく捩じれる。痛みがないから、怪我をしても気づかない。きちんと身を守るなら、間違えないよう見ておかなければいけない。
2014-05-31 21:02:07
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@M_Tstory
大貴】人ごみをかきわけて走る。何度か自分より背の高い大人にぶつかるがちょっと頭を下げて、また白へ向かって走っていく。
2014-05-31 21:01:44