感想:ちーちゃんはちょっと足りない

いかそうめん @12ax7x4

先日、秋田書店から出ている阿部共実さんの『ちーちゃんはちょっと足りない』を購入して、今日やっと読みました。 やはり阿部共実さんの作品は鮮烈な感じがします。 この方の作品は憂鬱な気分になるものが多くて読むタイミングを見計らっていました。読んだ今、案の定食欲が失せてしまいました。

いかそうめん @12ax7x4

前作『空が灰色だから』は短編集であった性質上、一話の中での急な展開に息を飲むようなことが多かったですが、今作は長編なのでキャラクターの理解がより深まる感じがして、展開もじわじわと心にくる感じがします。 twitpic.com/e58enf

拡大

いかそうめん @12ax7x4

阿部さんは長編を書かないのかな・・・とずっと思っていたのですが、期待以上の名作だったと思います。 同調圧力、閉塞感といったような集団社会の息苦しさが本当によく感じられる作品で、そういうところは浅野いにおさんの『おやすみプンプン』に通じる所もあると思います。

いかそうめん @12ax7x4

あずまきよひこさんの『よつばと！』は純粋な人間しかいないのどかな世界を描いた名作だと思いますが、この作品はいつまでも純粋でいると次第に社会に溶け込めなくなってしまう様子や、劣等感から人間関係が崩壊してしまう様子、小さな思い違いから自分の殻に閉じこもってしまう様子など (つづく)

いかそうめん @12ax7x4

前述した『よつばと！』やいわゆる日常系マンガのような人間付き合いの綺麗なところをすくい取ったような作品では排除されるような、人間関係の歯車が微妙に狂ってしまっているところが本当にリアルに表現されていると感じました。

いかそうめん @12ax7x4

同時発売された『ブラックギャラクシー6』という作品もあるらしいので買って来ようと思います。そっちは普通に笑えるギャグらしい。 『空が灰色だから』は本当に色々な展開の作品が混在していたので、今後の阿部共実さんがどんな作品を出されるのか予想がつかなくてワクワクしてます。

いかそうめん @12ax7x4

『空が灰色だから』は少年チャンピオンで連載されていましたが、先日手塚賞を受賞された施川ユウキさんもデビュー作である『がんばれ酢めし疑獄』をチャンピオンで連載されていました。『バキ』とか『浦安』のイメージが強い雑誌ですが、時々こういった連載が始まるので目が離せませんね。

いかそうめん @12ax7x4

『ちーちゃん』は同じく秋田書店から出ている「もっと！」に連載されていた作品です。

いかそうめん @12ax7x4

「もっと！」は割と最近創刊されたマンガ雑誌ですが、過去に「このマンガがすごい！」で一位を取った水沢悦子さんの『花のズボラ飯』や、伊藤潤二さん、カラスヤサトシさん、施川ユウキさん、ニャロメロンさん、クール教信者さん等の作品が掲載されていて面白い雑誌だと思います。