こちら月面鎮守府

なにをどうしてか月面に集められた艦娘たち。撃滅すべき目標は火星棲鬼。前代未聞の密閉環境の中で、公開羞恥プレイにさらされる天龍さんの運命やいかに。俺得。
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現場猫教授 @Dr_crowfake

「あの……月面に集められた私達ですけど、どうしたらいいんでしょうか」と困惑する瑞鶴に、天龍は云い放った。「やるこたぁ海でも宇宙でも変わらねぇ、深海棲艦撃滅だ!」「宇宙って深海なんですか?」そう問う吹雪に、天龍は自信あり気に応える。「そりゃ宇宙の海は俺の海って言葉もあるしな!」

2014-06-06 11:33:10
現場猫教授 @Dr_crowfake

「あたしは夜戦ができればいいよー」そういって寝に入ろうとする川内を天龍が蹴飛ばす。「バカ、月の昼は14日あるんだぞ、その間寝てるつもりかよ!」「でも眠いしー」「起きろ! ったく、しょうがねえ連中だなあ」天龍は爛々と輝く片目で遥か彼方の星を睨む。火星。そここそが攻略目標なのだ。

2014-06-06 11:35:45
現場猫教授 @Dr_crowfake

「見ていろよ火星棲鬼……! 俺たちが叩き潰してやるからな!」「でも、どうやって火星まで?」そう問う瑞鶴に天龍は絶句し、ややあって吐き出すように応える。「気合だよ、気合! 宇宙は海だから海とおなじようにいけるって!」「はぁ……」「そうですかー(棒」「眠い……」

2014-06-06 11:38:58
現場猫教授 @Dr_crowfake

三者の反応が鈍いのを知って天龍とて気合が空回りしているのを感じざるをえない。「ま、その、行く手段は提督が考えてくれるさ。それよかこの……」「居住ドームの生活改善ですね!」と元気よく吹雪。そして賛同する瑞鶴「そうですね……ここはひとつ、腕をふるいましょう!」「あたし眠い」川内は呟く

2014-06-06 11:42:12
現場猫教授 @Dr_crowfake

「いやいや作戦計画だってば! 居住ドームの中のことなんかどうでもいいだろ?」慌てる天龍。「よくありません! 艦娘たるもの、常に万全の体制でいなければ!」「そうよ、万全の体制なら七面鳥うちなんて言わせないわ!」吹雪と瑞鶴が声を揃える。そして川内は眠りこけている。万事休す。

2014-06-06 11:44:36
現場猫教授 @Dr_crowfake

居住ドーム内には天龍の航海日誌とは名ばかりの厨二病妄想が書き綴られたノートが多数存在する。その一冊でも読まれたら観の破滅だ。一生をいじられキャラとして生きねばならないという屈辱は、天龍にして耐え難いものだった。ならば後の先! 「よ~し大掃除するぞー!」彼女は高らかに宣言した。

2014-06-06 11:47:28
現場猫教授 @Dr_crowfake

自分がリーダーシップを取って、まずいものを隠匿しようという腹づもりだ。だがそれは瑞鶴に遮られる。「我が艦隊の旗艦は私ですから……!」控えめながらも迫力のある口調に天龍はたじろぐ。「そ、そうだったな。じゃあ瑞鶴、指揮はお前に任せたから、俺らは片付けするぜ」不審そうに天龍を見る吹雪。

2014-06-06 11:50:29
現場猫教授 @Dr_crowfake

「何か隠してませんか?」「か、隠し事なんてねえよ!」「嘘だっ!!」「つかキャラ変わってるだろ、ブリザードさんかお前は!」いつしか片手にナタを持った吹雪がゆらりと立ち上がり天龍を睨む。たじろぐ天龍。一触即発の気配。それを打ち破ったのは「ぐー」川内のいびきだった。

2014-06-06 11:53:37
現場猫教授 @Dr_crowfake

「川内さんったら居住ドームのどまんなかで寝てしまうなんて……これじゃ片付けは無理ですね」「そ、そうだな」思わぬインシデントに肝を冷やしつつも、大掃除>黒歴史開陳コンボを避ける事に成功した天龍は一息ついた。しかし、自分を見る吹雪の視線が冷たいものに変わっているのも気づいていた。

2014-06-06 11:55:50
現場猫教授 @Dr_crowfake

「な、なあおまえ、なんか勘違いしてるみたいだけどさあ」「……」「別に俺は隠し事とかしてないし! 黒歴史ノートとか持ち歩いてないし! ましてやこの月面鎮守府に持ち込めるわけねぇし!」吹雪のブリザードのような視線にさらされ、天龍はついつい喋らずともいいことを喋ってしまう。

2014-06-06 11:58:06
現場猫教授 @Dr_crowfake

「つまり、わざわざこの月面鎮守府まで持ち込むような秘密が天龍さんにあったってことですね! 同じ艦隊の仲間なのに、こそこそ隠し立てするのは良くないですよね?」吹雪は狡猾にも瑞鶴に意見を求める。「そうね。天龍さんはもっとオープンになっていいと思うの」死刑宣告だった。

2014-06-06 12:01:05
現場猫教授 @Dr_crowfake

かくして、天龍は自身の妄想を描いた黒歴史ノートを艦隊全員い開陳することになった。「将来は改2になってキャプテンキソーとためをはる海賊になりたい、ですって」「ぷっ」「フルーツ牛乳飲めば雷ちゃんみたいに深海棲艦化でパワーアップですって」「ぷぷっ」公開処刑だった。

2014-06-06 12:03:57
現場猫教授 @Dr_crowfake

「やーめーろーよー!」天龍は膝を抱えてそう叫ぶが、瑞鶴と吹雪の黒歴史ノート朗読は止まらない。「俺の名は天龍、フフ、怖いか? 1日百回も練習してるんですね凄い!」天真爛漫な吹雪の声が地獄の悪魔のように響いた。「こわーい! 天龍さんこわーい! 眼帯こわーい! 目からビームこわーい!」

2014-06-06 12:07:48
現場猫教授 @Dr_crowfake

恥辱の限界に達した天龍は片目をグルグル目にしながら吹雪に襲いかかり、瑞鶴にボコられた。「ダメですよ天龍さん。こうやって相互理解を深めないと」「……理解……されたく……なかった……」「大丈夫ですよ天龍さん。厨二病は一過性の病気なんですから、治るまで私達が面倒見ますわ」「やめろー!」

2014-06-06 12:11:08
現場猫教授 @Dr_crowfake

しかし天龍の心からの悲鳴も届くことはなかった。宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも届かない……「エイリアンオチかよ!」

2014-06-06 12:12:18