幸村長編まとめ①

ゆこ @yuko_ps

「じゃあ、なんで顔赤いの？」！！その言葉にいよいよ口をつぐむ。さっきまでとは打って変わって楽しそうな幸村くん。自分だってさっきは赤面してたくせに…！！言いたいけど言えない。そんな無謀さは持ち合わせていない。ゆ、幸村くんのせいだよ…、私の呟いた言葉に「へえ」と嬉しそうに彼は笑った。

ゆこ @yuko_ps

結局、廊下での態度はなんだったんだろう。気になったけれど、機嫌は直ったみたいだし別にいいか、と言及するのはやめた。昼休み終了のチャイムが鳴って、いつも通り教室に帰ろうとしたら、ふいに幸村くんが口を開いた。「…あ、そうだ。これから用事がある時はここ集合ね」そして徐に携帯を取り出す。

ゆこ @yuko_ps

はい、携帯画面を差し出され、そこには幸村くんのものと思しきアドレスと番号。え、え？「…登録。早くしなよ」煩わしげな彼に、はい！と慌てて自分のものを取り出して赤外線。登録できたよ、と言えば「用事ある時はメールか電話するから、5分以内にここに来るようにね」なんて、さらっと無茶な要求。

ゆこ @yuko_ps

無理だ、そう思っても反論できませんもちろん。結局、はい…と頷いてその日は解散。そして帰宅後、私の数少ない連絡先に追加された『幸村くん』の名前を見つめながらぼんやりと考える。私たちって、付き合ってない…んだよね？告白も断ったし…。そこで、あの帰り道での真っ赤な幸村くんを思い出す。

ゆこ @yuko_ps

……やっぱりあれは、照れてたんだろうか。まさか、まさかとは思うけど、幸村くんは私と付き合ってるつもりだった…とか……………、いや、やっぱりありえない。ぶんぶんと頭を横に振ってその考えを打ち消す。じゃあ、私と幸村くんは一体なんなんだろう。…奴隷と主人？複雑すぎるけど一番近い気が…。