#変態不知火さん 『Please,Don't call my "Name"!』

高峯みやび提督(@sukamelancholy)による、 #変態不知火さん の番外編、 『Please,Don't call my "Name"!』をまとめました♪ まとめ一覧→http://togetter.com/li/624713
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高峯みやび @sukamelancholy

「そして適正値が高い者を集めて、改めて精密な検査をした。……ある駆逐艦の適性が最も高いと言われ、私の孫娘は軍へ連れていかれてしまった。何を言おうとも人類の未来の為だと抜かし、会う事すら許されなかった。もう普通の生活に戻る事もない、とも」 #変態不知火さん

2014-06-13 00:29:39
高峯みやび @sukamelancholy

割ってしまいかねない程に老人はグラスを強く握り、酒を煽る。静寂が店を包む。「――私の娘も大層悲しんでいた。だが人類の為と言う大義名分を支えにして泣き言は言わなかった。…………適性した孫娘が、奴らによって沈められたという報告を聞くまでは」 #変態不知火さん

2014-06-13 00:31:45
高峯みやび @sukamelancholy

「それからだ、私が反艦娘派になったのは。何故だ、何故私の孫娘は死ななければならなかったのだ。何故、女学生でしか艦娘は存在し得なかったのか。いくら嘆いても仕方あるまい。現実は残酷だ」 #変態不知火さん

2014-06-13 00:36:06
高峯みやび @sukamelancholy

「だが私は一人でも救いたかった。艦娘として生き、艦娘として死ぬ彼女らを。孫娘に何も出来なかった無念を晴らす様に、複製された彼女らを人間に戻るように。……なんでもやった。公には言えぬ事もした。自身のエゴだと知っていても、止まる訳にはいかなかった」 #変態不知火さん

2014-06-13 00:38:54
高峯みやび @sukamelancholy

「……鎮守府の襲撃の事件が起きた時、軍から解放した子供たちから連絡が来た。〝おじいちゃんの夢、叶えるから〟と。……そうではなかった。私が望んだのは彼女らが〝人間として幸せになる〟事を望んでいたのに、彼女らは〝人間に復讐する〟事を選んでしまった」 #変態不知火さん

2014-06-13 00:41:54
高峯みやび @sukamelancholy

「私のエゴが多くの人間を死なせる事になるとは、思いもしなかった。止めようにも彼女らは彼女らだけで生き抜く術を身に着け、何処に居るかも見当が付かなかった。なんと心苦しい事か。全ての責任は私にあるというのに、撒いた種は私の手を離れ毒を撒く殺人の花になってしまった」 #変態不知火さん

2014-06-13 00:44:30
高峯みやび @sukamelancholy

「彼女らの襲撃を受けて亡くなった者たちには、大変申し訳ない事をした。勿論、君にもだ。……君たちが止めなければ、彼女らは世界を敵に回し続け滅んでいただろう。だが同時に君らが憎くもある。……よくも殺したな、とね」……酒を一気に煽り。老人は項垂れる。 #変態不知火さん

2014-06-13 00:48:28
高峯みやび @sukamelancholy

「だが復讐の負の連鎖は断ち切らねばならない。本来なら私がやりたかったが、今となっては……もう遅すぎたな」そうして老人は俺の方を見て、言った。「全ては私に責任がある。この私を軍に突き出すならばするがいい」しかし俺は首を振り、スマートフォンである場所に電話をかける。 #変態不知火さん

2014-06-13 00:50:43
高峯みやび @sukamelancholy

『――はい』……どうぞ。俺は老人にスマートフォンを渡す。老人は怪訝そうに受け取るが、スマートフォンを耳に当てると、急に老人は涙を流した。 #変態不知火さん

2014-06-13 00:53:20
高峯みやび @sukamelancholy

『――おじいちゃん』「真知……真知なのか?」『私の為に、頑張ってくれて、ありがとう』「……う、う……ぐっ、違う。おじいちゃんが勝手にやった事だったんだ。こんな事になるなんて、思わなかったんだ」『……それでも、嬉しかったよ』「…………あ、あぁ……真知…………」 #変態不知火さん

2014-06-13 00:56:19
高峯みやび @sukamelancholy

『おじいちゃんの孫で、幸せだったよ。ありがとう』「そうか、そうか……。おじいちゃんも、そうだ。真知が生まれてくれてとても嬉しかった。……ありがとう、真知」『……うん。おじいちゃん、それじゃあ、ね』「……あぁ、もう一度声を聞かせてくれてありがとう、真知」 #変態不知火さん

2014-06-13 00:58:51
高峯みやび @sukamelancholy

『元気でね、おじいちゃん』「あぁ。さようなら、真知」『さようなら、おじいちゃん』「…………」溢れた涙を拭う事もせず、老人は通話が切れたスマートフォンを握りしめ、泣き続ける。……気休めの演技だが、今の老人には救いになれたかもしれない。 #変態不知火さん

2014-06-13 01:01:07
高峯みやび @sukamelancholy

――俺は店を出て、煙草に火を点ける。懐に忍ばせた自動拳銃をセーフティに切り替え、空へ向けて紫煙を吐き出す。「これでよかったのですか」俺に声をかけたのは秘書艦の一人、不知火。これでよかったと思う。少なくとも、殺す程ではなかったさ。 #変態不知火さん

2014-06-13 01:04:21
高峯みやび @sukamelancholy

あの爺さんも思い詰めていたのがわかったし、気休めの演技だが、それでも救いがないまま死ぬのも、可哀想だ。「……そうですか」……これでいいんだ。さぁ、帰ろうぜ。今日も皆でデカい宴会部屋で寝るぞ。「そうですね。……また枕投げでもしましょうか」怒られないといいがな。 #変態不知火さん

2014-06-13 01:09:48
高峯みやび @sukamelancholy

……一か月後。 漸く鎮守府が建て直され、今日からまた鎮守府で仕事をする事になる。旅館で過ごした一ヶ月は所属していた艦娘にとって初めての修学旅行とのようだったらしく、それはそれははしゃいでいた。俺もいろいろな所に連れまわされた。正に遊びつくしの一ヶ月だった。 #変態不知火さん

2014-06-13 01:13:54
高峯みやび @sukamelancholy

本当の事を言うと旅館での生活が名残惜しいが、燃えた鎮守府も建て直され、戦争はまだ終わっていない。今日からまた戦いの日々だ。そんな事を思いながら車に揺られていて、新しく建った鎮守府を見て、盛大にこけた。 #変態不知火さん

2014-06-13 01:21:23
高峯みやび @sukamelancholy

提督「なぁ、ここ鎮守府だよな」 不知火「はい」 Bis「……」 提督「一ヶ月前に全焼して吹っ飛んで、建て直されたよな」 不知火「はい」 加賀「……」 提督「じゃあさ……」 陸奥「あらあら♪」 提督「なんで鎮守府の建物が前と同じじゃなくてラブホになってんだよ!」 #変態不知火さん

2014-06-13 01:23:33
高峯みやび @sukamelancholy

不知火「不知火がそう要請しました。秘書艦なので、それぐらいの権限はあるかと」 提督「ねえよ! 一言言えよ!」 不知火「外見だけではないです、ちゃんと中身も個室はラブホテルと同じです」 提督「余計なお世話だ」 不知火「良いですよ、回転ベッド」 提督「いらねえ」 #変態不知火さん

2014-06-13 01:25:24
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