一次創作短編:奏者と侍女

オリジナルの超短編です。都合良ければ読んでみて下さい。
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檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

御手洗梓は、真夜中のコンサートホール が舞台で『ハンバーガー』が出てくる喧嘩する話を6ツイート以内で書いてみましょう。 shindanmaker.com/139886 あーこれはギャグ不可避ですわ。

2014-06-16 10:15:07
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

------午前2時3分。 エナメル質のモノに繊維の詰まった葉が擦れ合う音。 ミンチ肉とパンを咀嚼する音。 それらが、このコンサートホールに響く。 音は中央に置かれたピアノ椅子からだ。 そこには……金髪碧眼のやけに細身な少年が、かなり大きめのハンバーガーを片手に佇んでいた。(1)

2014-06-16 10:21:44
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

少年はぼんやりと、 ホールの広さ、 照明、 客席、 手元のカワイ製ピアノへと次々に目を通し、 そしてまたハンバーガーを口に含もうとして、大口を開けた。 だがその時。 「こらっ……だから、それはやめなさいって、言ったでしょう?」 舞台袖から、黒髪を腰まで伸ばした女が現れた。(2)

2014-06-16 10:27:18
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「Fxxkin' bxxch……」 少年は小さく呟いたが、 「聞こえてますけどお?」 ここには、残念ながら彼の言を隠してくれる喧騒は、無い。 「何度も言わせないで。これをやらないと、上手く弾けないんだ」 「なら、せめて楽屋でやってよ」 「楽屋じゃダメ、ここじゃなきゃヤだ」 (3)

2014-06-16 10:30:43
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

黒髪の女は、諦めた様子で深く溜め息をついた。 「大丈夫。床とか、ピアノ汚さないようにするから」 「……あの人が忘れられないの?」 ……彼女の問いに、少年は俯きながら喋り始める。 「そりゃそうだよ。アイツはお前にも代え難い。俺に『下界』の楽しみの全てを、教えてくれたんだから」(4)

2014-06-16 10:34:55
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

二人の間に、気まずい空気が流れる。 だが、それは負の性愛の瘴気ではない。 「お姉ちゃんが、悪かったのかな。あんたの事、しっかり面倒見てって、父さんと母さん、最期に言ってたのに……ごめんね」 「俺は寧ろ、お前の教育は間違ってなかったと思うけどね」 「そりゃあんたはね」(5)

2014-06-16 10:38:53
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「何時迄、そうし続けるの?」 「夢が覚める迄。俺が……いつか『少年』じゃ無くなる迄、かもね」 少年は、女へ背を向けた。 「ごめんね、姉ちゃん。でも……」 「いい。あいつの目当てが、あんただったって事、気付けなかったのは私のせいだし」 女は、ピアノの脚にもたれ座った。(終)

2014-06-16 10:44:17